久々の本格的なクラシックコンサートだった。クラシックに造詣が深いわけではないが、やはり久々に聴く弦の響きには心が洗われるような感動を覚える。PMFに関わるクラシック音楽家の音を堪能した。
3月8日(火)夜、札幌コンサートホールKitaraの小ホールで開催された表記コンサートを聴いた。「PMF Connects LIVE!」について配布されたプログラムに記されていたことを転写すると「新型コロナウィルス感染症の影響で休止していた有観客公演を順次再開するにあたり、音楽の持つ力を一人でも多くの方と分かち合いたい…そんな思いを胸に、2020年秋からPMF修了生によるコンサート『PMF Connects LIVE!』シリーズを開始しました。今回は、2021年夏のPMF音楽祭に出演する予定だったアーティストがKitaraに再集結。明るくやわらかなアンサンブルの音色で、一足先に春の訪れをお楽しみください」と説明されていた。
演奏された曲目と、演奏したアーティストは次のとおりである。
◆モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423
有賀叶(ヴァイオリン)/島英恵(ヴィオラ)
◆ハイドン/弦楽三重奏曲 ト長調 作品53 第一番
有賀叶(ヴァイオリン)/古市沙羅(ヴィオラ)/菅井瑛斗(チェロ)
◆モーツァルト/ホルン五重奏曲 変ホ長調 K.407
白戸麻未(ホルン)/有賀叶(ヴァイオリン)/島英恵(ヴィオラ1)
古市沙羅(ヴィオラ2)/菅井瑛斗(チェロ)
~~~ 休 憩(15分)~~~
◆ライネック/フルート・ソナタ「ウンディーネ」作品167
八條美奈子(フルート)/谷敷さなえ(ピアノ)
◆ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 ニ長調 作品18 第3番
マクシミリアン・カルテット(札幌交響楽団メンバー)
この日の出演したアーティストとPMFの関りは、まず前半3曲を演奏した方々は多くの音楽家の出身校として名高い「桐朋学園大学」関係者である。その中でホルンの白戸麻未さんは2021年度のPMFのメンバーとして選出され、他の4人の方は同じく2021年度の音楽大学選抜メンバーとして選ばれた方である。4曲目のフルートの八條美奈子さん、5曲目のヴィオラの物部憲一さん、チェロの武田芽衣さんは、過去にPMFメンバーとして選出された修了生ということである。
いずれもがPMFに関わった方々の演奏であるから、どの演奏も確かなレベルの演奏を聴かせていただいた。その中でもクラシック音楽の場合、私はやはり弦楽器の音を聴くことに何よりの感動をおぼえる一瞬である。特にこの日の演奏はアンサンブルということで一つ一つの弦楽器の音を聞き分けることができ、心楽しいひと時だった。
私はこの日、小ホールながら幸いにも最前列の席に座ることができた。最前列での鑑賞など初めての体験だったが、おかげで一つ一つの楽器の音がよく伝わってきた。さらには演奏者たちの表情もよく見て取ることができた。
そこで発見したことが二つあった。一つはオーケストラだとほとんど聞き取ることができないチェロの音が意外に良く耳に届いたことだ。弦楽四重奏の場合、第1ヴァイオリンとチェロがよく耳に届き、第2ヴァイオリンとヴィオラは脇役のように聴こえてしまったのは私の耳がまだ初心者の域を脱していない証拠?
次に音楽家の表情であるが、これはさまざまだった。私が好ましいと思えたのは、けっしてオーバーにはならずとも、表情豊かに演奏している音楽家の表情を見ながら演奏を聴くことだった。無表情に見える音楽家の演奏はどこか心が籠っていないように思えたのは私だけだったのだろうか?
故レナード・バーンスタインが1990年に創設したPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)が毎年夏、札幌市で開催され続けてきたことを札幌市民の一人として誇らしく思っている。その思いを私はPMF生のコンサートを積極的に聴かせていただくことによって僅かでも協力したいと思っている。昨年は残念ながら中止となってしまったが、今夏に無事開催できた暁にはまたいくつかのコンサートを聴きたいと思っている。