市役所の担当者が語ってくれた札幌市の現状だから、多少は割り引いて聞く必要があるかもしれないが、札幌市の大気・土壌・水環境は今のところ安心して暮らせる状況のようである。改めて札幌市に住み続けようと思った。
私が所属する「めだかの学校」が10月から本年度下半期の学習に入ったことは拙ブログでも触れたはずである。下半期の学びは、札幌市の出前講座を活用した「SDGs学習会」と、「北海道遺産」のDVDを視聴し、体験や感想を話し合う「DVDフォーラム『北海道遺産を映像で訪ねる』」の2本立てでスタートし、順調に消化している。
去る11月14日(月)は、「SDGs学習会」の2度目の学習会だった。この回のテーマは「札幌市の大気・土壌・水環境について」と題して札幌市の環境局の環境対策課長からお話を伺った。
大気・土壌・水環境を看るということは、地域で発生する「公害」について監視するということである。その「公害」とは、主として「大気汚染」、「水質汚濁」、「騒音」、「振動」、「悪臭」、「土壌汚染」、「地盤沈下」の7つを指すとのことである。
まず「大気汚染」であるが、札幌市の過去には石炭の暖房による煤煙の問題、工場から排出される排煙、あるいはスパイクタイヤでの走行による車粉の問題などがあったが、現在ではすべて改善され、現在では微小粒子状物質(PM2.5)濃度が全国大都市の中で最も低い数値を誇っているそうだ。その理由としては、他都市に比べ工場が少ないことと、大陸から遠い(中国の大気汚染の影響が少ない)ことが挙げられるという。
次に「騒音」、「振動」について、近年「騒音」に対する苦情件数が減少傾向にあると話された。但し、コロナ禍となった今再び上昇傾向にあるということは人々がストレスに苛まれていることの証の一つなのかもしれない。「騒音」、「振動」については、法規制に基づき監督・指導を徹底しているとした。「悪臭」問題についても同様との説明だった。
「水質汚濁(河川水)」については、札幌市の水源は「定山渓ダム」、「豊平峡ダム」であるが、「札幌市の水道水」については他府県から移入した方々が異口同音に「美味しい!」と発するように自慢できる水質のようである。事実、講義においても両ダムの下流にあたる豊平川のBOD(生物化学的酸素要求量)の様々な数値は全て環境基準に適合しているという。「豊平川にサケが戻った!」というニュースが市民を喜ばせたのもずいぶん以前のことである。(1980年代)
「水質汚濁(地下水)」についても、令和3年度の概況調査において札幌市は環境基準適合率が96%とのことで、こちらも心配なさそうである。
「土壌汚染」については、「土壌汚染対策法」に基づき監視をすることにより、令和4年現在で「要措置区域」9地点、「形質変更時要届出区域」21地点を指定し、監視・指導しているとのことである。ただ、講義後の話し合いで参加者の中から新幹線工事による排出土に含まれる有害物質の処理の問題が心配であるとの声が出された。
最後に「地盤沈下」の問題であるが、札幌市は豊平川の扇状地に開かれた地域のため、特に市の北部地域の地盤沈下が過去には深刻な問題だったようである。近年の調査では全ての地域が年間1.0cm未満ということで大きな問題とはなっていないようである。但し、建設、あるいは工事事業者には地下水の揚水量などについて報告を義務付け、地盤沈下に繋がる不必要な揚水の監視を行っているとした。
以上、札幌市の担当者からのお話だったが、誰もが住みやすく健康で生活していくために(SDGsの理念)に、私たちが気付いていないところでの監視、指導、あるいは必要に応じての施策などが講じられていることを実感した講座だった。
※ 掲載した写真・図は全てウェブ上から拝借したものです。