是川石器時代遺跡は縄文晩期の遺跡ということで、それ以前よりは高度な技術がほどこされたものが発掘された遺跡である。特に、赤いベンガラを塗った漆製品が数多く発掘された遺跡として知られている。
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午前中に七戸町の「二ツ森貝塚」の見学を終えた私は八戸市に舞い戻った。八戸市には「長七谷地貝塚」という関連資産があり寄ってみたのだが、ただの原っぱで看板があるのみで見るべきところもなかったのでパスして、もう一つの遺跡「是川石器時代遺跡」へ向かった。
「是川石器時代遺跡」は、現在遺跡自体が整備工事中ということだったが、「是川埋蔵文化財センター 是川縄文館」をガイドが説明してくれるというので訪れることにしていた。
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※ 是川石器時代遺跡のガイダンス施設の「是川埋蔵文化財センター 是川縄文館」
の建物です。
ガイダンス施設である「是川縄文館」はなかなか立派な施設だった。私が「是川縄文館」に到着すると、やはり男性のお年を召したボランティアガイドが待っていてくれた。
ガイドは「二ツ森貝塚」のガイドと同様、能弁に「是川石器時代遺跡」について語ってくれた。特に、特色の一つである漆(ウルシ)の収集方法については、漆の木から漆を収集する道具も展示されていてその方法を詳しく説明してくれた。その製品の一つで完全な形で出土したわけではないが「木胎漆器」と題する漆塗りの赤い木の器が「是川石器時代遺跡」から出土した代表的なものとして紹介されている。ベンガラの赤色を混ぜた漆を土器や木器に塗ったものは祭祀に用いたとされているが、そもそも縄文人が赤色を好んだのは、赤色が生命の力を象徴する色として尊び、人の死と再生を意味するのではないかとガイドは説明された。
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※ これがパンフレットの表紙にも使われている「木胎漆器」です。本物は赤色がやや退色していますが、確かにベンガラの色が残っています。
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※ 同じ赤色の漆がほどこされている土器の入れ物です。
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※ 木製の櫛にも赤色の漆が塗られています。
また、もう一つ「是川石器時代遺跡」を代表するものとして国宝にもなっている「合掌土偶」は縄文館の中でも特別な形で展示されていた。その他にも数々の貴重な遺物が展示されていたが、その数があまりにも多いために私はそれらを十分に消化することはできなかった。
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※ 国宝の「合掌土偶」です。土偶で国宝に指定されているのは5体だそうです。
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※ こちらは八戸市民に人気があるという「頬杖土偶」です。
縄文館の入口付近に二つの胸像が建っていた。ガイドによると、お二人は地元の素封家だった泉山岩次郎と斐次郎という義兄弟だという。彼らは自らの畑から出土した貴重な遺物の数々を散逸しないよう自費でもって護ったことによって、現在縄文館に貴重な出土品が展示されることになった恩人であるということだった。
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※ 是川縄文館内に建てられた泉山岩次郎と斐次郎の胸像です。
最後にガイドの方は、現在整備工事中ではあったが「是川石器時代遺跡」を構成する遺跡の一つ「中居遺跡」に案内してくれて、柵の外から低地に小川が流れる遺跡を案内してくれた。
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※ 泉山岩次郎の畑跡だという「仲居遺跡」です。(現在整備中とのこと)
この遺跡においてもボランティアガイドの方が丁寧に遺跡について説明してくれたことが有難かった。
ガイダンス施設「八戸市埋蔵文化財センター 是川縄文館」 青森県八戸市是川横山1
◇入館料 250円
◇訪問日 10月12日(木)