田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 №341 蹴る

2022-03-02 15:35:45 | 映画観賞・感想

 筋ジストロフィー脊髄性筋萎縮症(SMA)、脳性麻痺など難病に侵されて体の自由もままならない人たちにとって「電動車椅子サッカー」との出会いは、生きる希望の全てだった。電動車椅子サッカーに賭ける人たちを追ったドキュメンタリーである。

   

 「北澤豪さっぽろフットボールシネマフェスティバル」の上映第一弾は「蹴る」だった。

          

 映画は永岡真理という脊髄性筋萎縮症を発症した女の子が小学校2年生から車椅子サッカーを始めて、ぐいぐいと力を付けて、やがて女性初の日本代表(電動車椅子サッカーの場合男女混合である)にまで成長する。しかし、代表の場で思うように力を発揮できなくて、その後は日本代表に呼ばれなくなってしまうも、懸命に復帰しようとする姿を追う。

   

※ 北澤豪氏と談笑する長岡真理さんです。

 一方、映画の途中からは東武範という筋ジストロフィーに侵され、病状が進む中においてもサッカー第一の生活を送り、華麗なテクニックを披露して日本代表の座を掴み、ワールドカップに出場するまでの姿を追う。

      

※ 右側の人が東武模さんです。

 その他の選手たちも出演しているが、カメラが主として追うのは前述の二人である。彼ら二人に共通しているのは、車椅子サッカーにおいて「日本代表」という座を射止めるために全てを犠牲にしてその座を希求していることだ。彼らを突き動かしているのは、重篤な病のために人の助けを借りないと生きていくことさえ困難な環境において、電動車椅子サッカーだけが唯一自分の存在証明となる手段と考えているからだろうと思えた。特に東武範君の場合など、病状が進む中でワールドカップが行われたアメリカまで行くのも命がけの覚悟で赴くのだった。そこまでして電動車椅子サッカーにのめり込む若者たちを見ていると「あゝ、今の時代に電動車椅子サッカーというスポーツがあって良かったなぁ」という思いを抱きながら画面を眺め続けた私だった…。

   

※ 左側のボールは電動車椅子サッカー用のボールです。右側は通常のサッカーボールです。

 難病であるが故、体の自由が利かないが故、彼らの選択肢は極端に狭められている。そんな彼らが少しでも前向きに生きていくために、一つでも多くの選択肢が用意されている世の中になっていくことが望まれる。その選択肢の一つとして「電動車椅子サッカー」が存在していたことを思い知らされた映画「蹴る」だった。

《トークセッション》北澤豪 × 芳賀博信

   

※ 左側が北澤豪氏、右側は芳賀博信氏です。 

 二人は元プロサッカー選手という共通の顔の他、もう一つ共通した顔を持っている。それは北澤豪氏が「日本障がい者サッカー連盟会長」の任にあること。一方、芳賀博信氏はサッカー選手などのセカンドキャリア支援のための「 NPO法人セカンドサポート理事長」としての活動の一環として北海道唯一のブラインドサッカーチーム「ナマーラ北海道」を立ち上げ、チームの一員として支えているという顔を持つ。つまり二人はサッカーというスポーツを通して障がい者に対しても温かい眼差しを注いでいる二人なのである。彼ら二人から、障がい者スポーツ(サッカー)の現在の環境や状況を知ることができた。

 北澤氏は現在日本国内には障がい者サッカーの組織として次のような組織があることを紹介してくれた。◆アンプティサッカー、◆CPサッカー、◆ソーシャルフットボール、◆知的障がい者サッカー、◆ブラインドサッカー、◆デフサッカー、◆電動車椅子サッカー、と実に多彩であることを教えられた。それぞれがどのような障害を持った方向けのサッカーなのかは、各々でお調べいただきたい。



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