田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

ヒグマと出逢わないためのヒントを得た?

2024-05-25 20:32:02 | 講演・講義・フォーラム等
 ヒグマ遭難の事例の中、登山者がヒグマに出逢う確率は低いという。それは鈴を付け、集団で行動することが関係しているのではないかと研究者は云う。さらには、ヒグマの年間の捕食の行動にも留意することが大切なようだ。

    

 私のブログは “見て・聴いて・体験して” それをレポすることが中心である。だから私は年中マグロが海を回遊し続けるように常に札幌内外を動き続けねばならないと自覚している。
 ところが昨日のように突然のアクシデントに見舞われるとお手上げである。幸い私が患った “目まい” の症状は大事に至らなかったようだ。まだ全快とは言いかねるが、昨日一日ゆっくり休んだことでかなり快癒することができた。
 それで今日は、参加申込をしていた札幌市中央図書館で開催された「札幌サイエンスフォーラム 市民科学講演会」に参加してきた。
 講演のテーマは「北海道のヒグマとどう向き合うか?」と題して北大野生動物研究院 野生動物教室の坪田敏男教授が講演するのを拝聴した。

  
      

 坪田氏は北大獣医学部に入学し、北大ヒグマ研究グループ(通称:北大クマ研)に入部すると共に、学部でもクマに関わり続けて45年間研究を続けている方だそうだ。途中で岐阜大学農学部にも籍を置き、ツキノワグマの研究もされたというヒグマ(ツキノワグマ)研究の第一人者である。
 さらに坪田氏は現在(北海道)「ヒグマの会」の会長もされている。
 実は私は昨年11月に「ヒグマの会」が主催した「ヒグマフォーラム2023」に参加していたのだが、その際にお聴きしたこととかなりダブるところがあったで、本稿では新たに獲得した知識を中心にレポすることにしたい。
 まず最近のヒグマ研究として、ヒグマの体毛を採取することによりDNA鑑定が行えるようになり、個体の血縁等を特定できるようになったそうだ。
 また、ヒグマを箱わななどで捕獲し発信器を装着することによってヒグマの行動範囲を追跡することが可能にもなったという。その結果オスグマの行動範囲は400キロを超えて行動することも判明したそうだ。
 意外に思えたことも伺った。ヒグマは近年増加傾向にあると伝えられているが、本州以西に住むツキノワグマも東北地方を中心に被害の増加が伝えられている。ところが、九州ではすでに絶滅し、四国においてもツキノワグマは絶滅寸前の状況だという。
 さて、道内においては人間とヒグマの軋轢のニュースが絶えないが、私の関心もそこにある。登山の一人歩きは年齢も年齢だし、周りからも危険だからと止められたこともあり卒業気分であるが、現在取り組んでいる「さっぽろラウンドウォーク」はできれば完成させたいと思っている。ところがルート上にヒグマの出没のニュースが伝えられ、そのルートを一時回避したことは拙ブログでも投稿したところである。
 そこで、その点について坪田氏のお話を注意深くお聴きした。
 すると、ヒグマが人里近くに出現する要因は何といっても「食糧を確保」するためであるという。特に春から夏にかけては食糧が少なく人里近くに出没する可能性が高いという。また、昨年のように主食であるドングリが不作の場合はそのことが顕著になるという。坪田氏によると「今年は昨年ほど不作になることはない」(ドングリは隔年毎で出来に差があるらしい)と話された。したがって、奥山の木の実などが実る秋は人里に出没する可能性が低くなるというのが一般的のようだ。
 そしてヒグマの特性である。嗅覚は犬よりも鋭く数キロ先までかぎ分ける能力があるという。また、聴力も優れているし、視力も人間より優れているという。こうした特性を考えると、山行する人が鈴やホイッスルを持参すること、食糧を山中に残さないこと、などが重要になってくると考えられる。
 登山者がヒグマの被害になったというニュースは意外に少ない。それは登山者の多くが鈴やラジオなどを持参し、登山道から外れずに行動しているからではないか、坪田氏も指摘された、
 こうしたことを念頭にして、私たちが取り組んでいる「さっぽろラウンドウォーク」の「西野市民の森」を通るセクション2(旭山記念公園 ⇒ 宮の沢ふれあい公園)は、山の実りが豊富となる10月に、全員が鈴かホイッスルを持参し、ワイワイ言いながら賑やかにウォーキングすることになるかな?と今のところ考えているが、さらに関係機関からの情報を収集したいと思っている。