田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

さっぽろラウンドウォーク1周年記念セミナー

2024-05-26 15:33:55 | 講演・講義・フォーラム等
 う~ん。いまひとつ決定打に欠けるかなぁ…、との思いを拭えなかった。私も「めだかの学校」の同好者と取り組み始めた「さっぽろラウンドウォーク」だが、当初の目論見ほど賛同者が広がっていない現状をどう打破するか、を趣旨としたセミナーだったのだが…。

    

 札幌における「滞在型交流観光」へのイノベーションとして北大の観光学高等研究センターを中心として「さっぽろラウンドウォーク」(SRW)がオープンして1年が経過したことを記念して本日午前、北大構内で記念のセミナーが開催されたので参加してきた。
 セミナーは話題提供として、
 ① 「フランスのグラン・ランドネ(G・R)に学ぶ歩く旅」
    北大大学院メディアコミュニケーション研究院講師 吉沢 直 氏
 ② 「さっぽろラウンドウォークの課題と今後の可能性」
    (株)ジオ代表取締役、北海道科学大学客員准教授 小川浩一郎 氏

 続いてワークショップとして、「『歩く旅』による札幌での観光滞在時間の増大に向けて取り組むこととは?」と題して木村宏氏(北大観光学高等研究センター客員教授)をファシリテーターとして主催者と参加者が協議した。
 話題提供では吉沢氏のお話が興味深かった。諸外国のウォーキング事情としては、アメリカ、イギリス、韓国など実状についてきこれまで伺ったことはあったが、フランスは初めてだった。フランス語で「ランドネ」とは、登山などとは違いもっと気軽なハイキングやウォーキングのことを指すという。
 その中、グラン・ランドネとは長距離型のハイキングやウォーキングを指すようだ(1週間とか、1ヵ月を要するようなコース)。つまり日本でいうところのロングトレイルである。フランスではそうしたグラン・ランドネのコースが20ヵ所制定されているという。その他、短いコースは多数用意されているという。
 そしてフランスもまたヨーロッパ各国と同様に “歩く文化” が根付いていて、20歳以上の成人の半数以上がランドネを楽しんでいるという調査結果が出ているそうだ。
 ヨーロッパは夏季の昼間時間が長く夜9時くらいまで明るいため、勤務後にランドネを楽しむ人も多いという。また、バカンス文化が根付いていることもその要因のようである。
 そうしたこともあり、コースはチャレンジ的なものだけではなく文化的に楽しむ要素も含まれたコース整備が多数存在し、コース内の道標も整備されているという。
 吉沢氏はこうしたフランスのランドネ文化から学ぶことが多いのではないか、と提言された。

 小川氏は、さっぽろラウンドウォークのコース設定に携わり、実際に会社の事業として「さっぽろラウンドウォーク」のコースを引率した経験から、その課題や可能性について話された。
 小川氏はコース一周140キロを10のセクションに分けたが、一般人には少し難しい面があるのでは?と提起され、自らの会社の企画としては18に分割して実施しているとした。それに伴いアクセスの難しさも指摘した。そうすることで市民が参加しやすくなるのではと提言された。ただ、本来の目的である「滞在型交流観光」についての言及はなかったように感じた。

 そしてワークショップであるが、前述したように「さっぽろラウンドウォーク」の本来の設置目的が「滞在型交流観光」に寄与するものであるとしているが、一年を経過して思うような成果をあげられていない現状のようであり、そのことに対する明確な対策も模索中のようである。その点についてはワークショップの中でも特に名案といえるものは提起されなかった。

 この問題に対して、私は次のように考える。本来の目的はコース設置の根源的目的であるので変更する必要はないと考えるが、当面はまず「さっぽろラウンドウォーク」のことを札幌市民に周知徹底を図るべきではないか、と考える。
 より多くの札幌市民が「さっぽろラウンドウォーク」を楽しみ、その魅力を発信することが先決だと考える。多くの札幌市民が楽しむことで、コースの改善も図られるであろう。また、体験した市民が利用者目線から提言することでより魅力あるトレイルコースへとバージョンアップが図られる可能性も否定できない。
 ワークショップでは、そうした観点から私も発言させてもらった。ただ、私としてはまずは今年中に全コースを踏破することで見えてくるものがあるのでは?とも思っている。
 「さっぽろラウンドウォーク」がいつか札幌観光の一つの目玉となることを密かに願っているのだが…。