田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

都心エネルギーアクションプラン

2020-02-14 20:16:24 | 講演・講義・フォーラム等

 札幌市は、都心部を低炭素で持続可能なまちづくりへ進めるためのアクションプランを昨年12月に策定したという。その策定に関わった関係者がそれぞれの立場から提言していただいたのだが…。

    

 2月12日(水)午後、道新ホールにおいて「都心エネルギーアクションプラン “キックオフ”フォーラム」なるものが開催され参加した。なお、副題は「~2030低炭素で持続可能な札幌都心を目指して~」とあった。

 開催のねらいは2020年から2030年の北海道新幹線札幌開通までの間に札幌都心の各所で再開発が盛んとなる計画があるが、それらの地域のエネルギーを低炭素で持続可能な地域とするために札幌市が提言するまちづくりに協力を要請するフォーラムと私は解した。したがって市民参加をうたっていたが、札幌市にとってもっとも参加を願っていたのはデベローッバーであり、ビル開発の関係者のようだった。それは会場の前方のかなりの席が関係者席と指定されていたことからもうかがえた。

 フォーラムは次のような構成になっていた。

 【基調講演】

 ◇「都心エネルギーアクションプランの目指すもの」

          千葉大学大学院工学研究院地球環境科学専攻  教授 村木 美貴 氏

 ◇「札幌市の急速な人口成熟と都市戦略」

          日本総合研究所調査部主席研究員、地域エコノミスト 藻谷 浩介 氏

 【パネルディスカッション】

 ◇コーディネーター 村木 美貴 氏(千葉大学大学院工学研究院地球環境科学専攻教授)

 ◇パネリスト  

  ・藻谷 浩介 氏(日本総合研究所調査部主席研究員、地域エコノミスト)

  ・久野 譜也 氏(筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授、健康政策)

  ・井上 俊幸 氏(三菱地所株式会社開発戦略室長兼開発推進部長)

  ・秋元 克広 氏(札幌市長)

 基調講演ははっきり言って、都市づくりやビル開発の専門家向け的内容で、私のように素人には理解することがなかなか難しい内容と映った。特に、村木千葉大教授はアクションプラン策定を主導した方のようなのだが、早口の上、専門的なワードが頻出して私には難しかった。言われていた趣旨はこれからの都市におけるまちづくりにあたっては、エネルギーの低炭素化を進めるとともに、快適で健康を志向しながら、災害に強い強靭化を図ることが必要と提言されたと理解した。

 興味深かったのは、次に講演された藻谷氏のお話だった。藻谷氏は人口変動の側面から都市づくりを論じた。藻谷氏は札幌市の人口(人口構成)を2014年1月と2019年1月の住民票を基準に比較して見せた。すると、0歳~64歳までの人口が減少しているのに対して、65歳以上人口が激増している点を指摘した。具体的にはこの5年間で0歳~64歳までは59,000人減少したのに対して、65歳以上人口は127,000人も増えている。こうした傾向は首都圏でも同じであると統計を示しながら指摘した。藻谷氏は今や高齢化率や人口の増減を問題にすることには意味がない。人口が半減することはもはや確定的なことであり、問題はその先をどうするか、論ずるべきだと主張された。その問題解決のヒントとして藻谷氏は、①0~4歳児の減少を食い止めること。②街をコンパクトにし、諸機能の密度を高めることである、と提言された。拝聴していた私としては説得力あるお話だと感じた。

   

 パネルディスカッションに入り、久野氏と井上氏もそれぞれの立場からレクチャーされた。久野氏は健康政策の立場から「意図しなくても、自然に歩いて(歩かされる)しまう都市づくりをすることが、これからの健康都市の方向性である」と提言された。また、三菱地所の井上氏は東京・丸の内地区を再開発し、全国の地方都市の都心づくりのモデルとされているが、丸の内の場合は三菱地所が丸の内地区の大半の地権者であったことから、再開発が三菱地所主導で進めることができたが、地権者が入り乱れている都市においては行政がまちづくりをリードしていくことが重要だと提言された。

        

    

 最後に秋元札幌市長は、策定されたアクションプランの実現のためにリーダーシップを発揮して、理想的なスマートシティの実現を目指していきたい力強く締め括った。

 と、まとめてみたがフォーラムのことをどれだけ正確にまとめることができたかと問われると全く自信がない。ただ、これから札幌駅を中心とした都心が変貌していく過程で、札幌市が理想とするマチへと変貌していく姿を見届ければと思っている。