北大スラブ研の講座において、チェコにおけるジェンダーの実態、そして日本とも共通する少子化の問題について学んだ。遠く離れたチェコの国だが、意外にも日本と共通する悩みを抱えているようだ。
第3回のスラブ研公開講座は5月18日(水)夜開講された。(第2回講座を私は欠席)講師は明治学院大の中田瑞穂教授で、テーマは「チェコと日本 - 少子化とジェンダー役割」 というものだった。
チェコと日本では、社会経済的な背景など国情が違うことから、比較する意義がないように見えるが、意外な共通点が存在するという。
それは、両国とも1990年代から2000年代にかけて急速な少子化が進んだ点だそうだ。
チェコは社会主義体制をとっていたときは日本より高い出生率だったものが、体制が民主化した後急速に出生率が低下したという実態があるそうだ。
講義はその背景について論及するものだった。
社会主義体制におけるチェコ(当時はチェコスロバキア)は、理論上「男女平等」が謳われ、女性の高い就業率、共同保育、職場の食堂での昼食など、育児・家事の部分的社会化が進んでそうだ。
一方で、そのことは女性であっても労働しないということが容認されない社会であったともいう。そして、家庭においては育児・家事労働は専ら女性が担うという、女性にとっては二重の労働負担が課せられるという実態でもあったそうだ。
そうした実態ではあっても、チェコにおいてはジェンダー役割意識が浸透していて、それを補完する社会政策が実施されていたため、ある種の安定化は図られていたようだ。
ところが体制が転換して民主主義体制となったことで事情は一変したという。
女性の労働は義務ではなくなったが、企業が民営化、合理化する中で、家事や育児を行いながらの女性は効率的ではない労働者として敬遠するようになったらしい。
さらに政府も児童手当を、母親の不就労を条件としたり、公営の保育所を廃止したりと、女性の労働市場から撤退するように誘導する政策をとった。

こうした中でも女性が就労を望んだ場合(社会主義体制の時代を経たことで、就労が当然という考え方が浸透している)は、家庭との両立が困難となり、晩婚化、少子化が進行した結果、急速な出生率の低下を生んだそうだ。
このことは、国情は違えども日本の実態とも通底しているところがあるように思える。
最後に講師はチェコの少子化への処方箋を示した。
一つは、女性の就労を社会としても評価し、政策上にも生かしていく必要を強調された。それでも不就労を選択する場合は、手当などを手厚くする必要性を強調した。
二つ目として、育児、家事を男女が均等に負担する社会の実現(ジェンダー役割意識からの脱却)
三つ目として、女性に対する労働条件のフレキシブル化、つまり子どもがいる男女も、いない男女も対等に働ける環境の実現。(保育園の充実も含めて)
以上三つを挙げた。
これらの処方箋は、日本の少子化対策にも当てはまるのではないか、と思いながら聴いていた。
第3回のスラブ研公開講座は5月18日(水)夜開講された。(第2回講座を私は欠席)講師は明治学院大の中田瑞穂教授で、テーマは「チェコと日本 - 少子化とジェンダー役割」 というものだった。

チェコと日本では、社会経済的な背景など国情が違うことから、比較する意義がないように見えるが、意外な共通点が存在するという。
それは、両国とも1990年代から2000年代にかけて急速な少子化が進んだ点だそうだ。
チェコは社会主義体制をとっていたときは日本より高い出生率だったものが、体制が民主化した後急速に出生率が低下したという実態があるそうだ。
講義はその背景について論及するものだった。
社会主義体制におけるチェコ(当時はチェコスロバキア)は、理論上「男女平等」が謳われ、女性の高い就業率、共同保育、職場の食堂での昼食など、育児・家事の部分的社会化が進んでそうだ。
一方で、そのことは女性であっても労働しないということが容認されない社会であったともいう。そして、家庭においては育児・家事労働は専ら女性が担うという、女性にとっては二重の労働負担が課せられるという実態でもあったそうだ。
そうした実態ではあっても、チェコにおいてはジェンダー役割意識が浸透していて、それを補完する社会政策が実施されていたため、ある種の安定化は図られていたようだ。
ところが体制が転換して民主主義体制となったことで事情は一変したという。
女性の労働は義務ではなくなったが、企業が民営化、合理化する中で、家事や育児を行いながらの女性は効率的ではない労働者として敬遠するようになったらしい。
さらに政府も児童手当を、母親の不就労を条件としたり、公営の保育所を廃止したりと、女性の労働市場から撤退するように誘導する政策をとった。

こうした中でも女性が就労を望んだ場合(社会主義体制の時代を経たことで、就労が当然という考え方が浸透している)は、家庭との両立が困難となり、晩婚化、少子化が進行した結果、急速な出生率の低下を生んだそうだ。
このことは、国情は違えども日本の実態とも通底しているところがあるように思える。
最後に講師はチェコの少子化への処方箋を示した。
一つは、女性の就労を社会としても評価し、政策上にも生かしていく必要を強調された。それでも不就労を選択する場合は、手当などを手厚くする必要性を強調した。
二つ目として、育児、家事を男女が均等に負担する社会の実現(ジェンダー役割意識からの脱却)
三つ目として、女性に対する労働条件のフレキシブル化、つまり子どもがいる男女も、いない男女も対等に働ける環境の実現。(保育園の充実も含めて)
以上三つを挙げた。
これらの処方箋は、日本の少子化対策にも当てはまるのではないか、と思いながら聴いていた。