田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

北海道における再生可能エネルギーの展望

2015-02-04 14:29:42 | 大学公開講座
 北海道における再生可能エネルギーを産み出すポテンシャルには相当高いものがある、ということは近年の定説となりつつある。しかし、それが既存のエネルギーの代替エネルギーと成り得るか、ということになるとさまざまなハードルがあるようである。 

 またまたちょっと時間の経った話題で恐縮であるが、1月23日(金)午後、北大において吉田文和北大特任教授の退職記念講演を兼ねた、タイトル名のシンポジウムが開催され、参加した。
 最初に吉田特任教授が講演したのだが、吉田氏には申し訳ない話であるが、吉田氏の話にはそれほどの訴求力が感じられず、私の中では印象の薄いものとなった。私の受講者としての素養に問題があったということなのかもしれないが…。

          

 私に興味を抱かせてくれたのは、その次の行われたシンポジウムである。したがって、ここではシンポジウムについてレポートすることにする。
 シンポジウムは、北海道再生可能エネルギー振興機構理事長の鈴木亨氏をコーディネーターとし、パネリストとして札幌市長の上田文雄氏、寿都町の産業振興課参事の森本昌和氏、浜中町農業協同組合長の石橋榮紀氏、そして吉田特任教授の4名が登壇した。

 鈴木氏の上手な話の引き出し方によって、4氏は実践や自説を饒舌に語った。
 それらは、私にとって新たな知見を与えてくれるものも多々あった。

 私にとって新たな知見とは、寿都町は町自体が事業者となって風力発電に取り組み、11基の風車を稼働させ、ある程度の利益を上げ、町民に還元しているという事実を知った。

          

 浜中町農協では町内105戸の酪農家が太陽光発電システムを導入し、エコなミルクの生産を行っていること。石橋組合長にとっては、浜中町の生産する牛乳がハーゲンダッツの原料乳となっていることが、こことほか自慢のようであった。さらには酪農によって出る糞尿を全量回収しているという事実も知った。

 札幌市は平成22年度現在で原発依存度が41.1%だったものを、省エネと新エネで2022年度までに依存度を半減し、2030年度には依存度0(ゼロ)を目ざすエネルギービジョンを策定したということだ。

          

 シンポは、この後さまざまな角度から再生可能エネルギーの可能性について語られた。
 しかし、改めて思うことだが、エネルギー問題というのは国の根幹にかかわる問題で、すぐれて政治的問題であるということだ。そうなると、ここで私が論ずるには荷が重すぎる感じもする。
 福島の事故後、「原発エネルギーの依存度を出来得る限り軽減していこう」ということでは国民的なコンセンサスはできている日本である。ただ、代替エネルギーの問題が解決していない現在、その方策においてそれぞれの立場で大きく意見が分かれているのが現状である。

 このシンポジウムを通じて、唯一私が言えることといえば、科学技術を結集して再生可能エネルギーの発電効率を、少なくとも現在の数倍に引き上げることが喫緊の課題ではないかと思う。そうなったときに、エネルギー問題に関する議論の出口が見えてきそうにも思うのだが…。
 シンポの中で、北海道のおけるバイオマス発電の現状は、その可能性のわずか2%しか生かされていないということを知った。バイオマスはもちろんのこと、風力、太陽光も、可能性に満ちた北海道だからこそ、それらが十分に活用される日が一日も早く訪れることを望みたい。