田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

カーボンオフセットの現場を往く

2013-11-26 19:49:25 | 環境 & 自然 & 観察会
 我が国がCO2の削減目標値を下げたことで世界の顰蹙をかっているようであるが、一方で国内的には地道にCO2の削減に取り組んでいるところもある。今回、カーボンオフセットに取り組んでいる二つの現場を見ることができた。 

 カーボンオフセットとは…、他で説明されていることを引用すると「不可避的に排出してしまった二酸化炭素などの温室効果ガスを、別のところで吸収あるいは削減して、排出に見合った分の埋め合わせをしようという概念」ということになる。その概念を実現化するために、CO2を排出する側と吸収・削減する側の間をとりもつ団体・機関を通じて、クレジット(オフセットのための証明書)を売買することによって、地球全体のCO2の増加を〇(ゼロ)あるいは〇に近づけようとする取り組みである。

 11月18日(月)、北海道地域カーボン・オフセット推進ネットワークが主催する「北海道の未来を守る現場見学バスツアー」なるものが実施された。何にでも興味を抱く私はカーボンオフセットのことについて深く知りたいと思い友人を誘って参加した。
 ツアーは、二か所の現場見学とセミナーという構成だった。

          
       ※ 見学した「北清企業」の工場内です。「バイオディーゼル STATION」の看板が誇らしげに掲げられています。

 現場見学は、①リサイクル事業、特に家庭のてんぷら油の廃油を回収してバイオディーゼル燃料の精製・活用に取り組む(株)北清企業(東区丘珠5-4-5-7)と、②市有林の造成を通して地球温暖化防止に寄与することでカーボンクレジットを提供する事業に参加している石狩市の市有林、の2ヵ所を見学した。

 ①の北清企業ではてんぷら油の廃油からバイオディーゼル燃料を精製するプラントを見せていただいたが、思いのほか小さく簡単な装置だったが一日1,000リットル以上の燃料を精製しているとのことだった。北清企業では自社で所有するゴミ収集車のほとんどを精製したバイオディーゼル燃料で賄っているという。コストについて伺ったところ、精製技術の進歩と最近の制度の改正(助成金?)でなんとか採算が取れているということだが、問題は廃油の回収率を上げ、回収のコストを下げることではないだろうか。

          
          ※ 意外に小さかった北清企業のバイオディーゼル燃料の精製プラントです。

 ②の石狩市の市有林(石狩市浜益区幌 遠かったぁ~)は、造林によってCO2を吸収するとともに、森林が面する石狩の海を森林を整備することで滋味豊かな海にすることを狙った取り組みということだった(ニシンが群来る海)。森林そのものはアカマツを植林したところを見せていただいたのだが、一見何の変哲もないごく普通の森林だった。

          
          ※ 石狩市の市有林地に植樹され10年を経過したアカマツの林です。

 二つの例のうち①はCO2の排出を削減する取り組みであり、②はCO2を吸収する取り組みである。両者ともにクレジットを提供する側であり、企業などからのクレジット購入を期待する側である。
 見学の後のセミナーでは、同じように北海道内でクレジットを提供している例が紹介されたが、北海道の特長である広大な大地を活かした森林造成事業によるクレジット提供の例が多いようであった。ツアーには紋別市や浦河町の担当者も同乗していて、自市町の森林造成によるCO2吸収プロジェクトをアピールしていた。

 先進国において経済的効果を伴った温室効果ガスの削減・吸収する取り組みが試みられ始めたことを歓迎したいと思う。しかし、「カーボンオフセット」という言葉そのものが一般にはまだまだ馴染みの薄い言葉ではないだろうか?
 多くの企業・団体がこうした取り組みを応援し、こうした取り組みが広がりをみせ、やがて社会全体として温室効果ガスの削減の意識が広まっていくことを期待したい。