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竹中平蔵が語る日本経済の復活の道

2013-11-01 22:52:21 | 講演・講義・フォーラム等
 自説を饒舌に、しかも自信満々語る竹中氏には何の不安もないかのように見えた。しかし、本当にそうだろうか?あまりの饒舌さにかえって不安を感じたのは私だけだったのだろうか…。 

 10月26日(土)午後、日本証券業協会が主催する「『投資の日』記念セミナー」がホテルオークラを会場に開催された。セミナーは午前の部もあったが、こちらは投資に関するやや専門的なセミナーだったので、投資などに縁もゆかりもない私は興味がなかった。午後は竹中平蔵氏と最近マスコミに登場する機会の多くなった経済アナリストである第一生命経済研究所の永澤利廣氏が講演するというので参加することにした。

 竹中氏は「日本経済復活のキーワード」、永澤氏は「アベノミクス効果と日本経済のゆくえ」と題して、それぞれ講演した。永澤氏は主たる聴衆が投資家ということを意識したのか、アベノミクス効果によって日本経済が復活の道を歩むということを様々な統計資料を提示して投資を勧めるという趣旨だったこともあり、ここでのレポートは割愛することにする。

               
     ※ 竹中氏の肩書は、「慶応義塾大学総合政策学部教授」と「グローバルセキュリティ研究所所長」とあった。

 竹中氏の話も投資家を多分に意識した話ではあったのだが、元金融担当大臣など経て、今なお日本経済に影響力のある人の話なので興味深く伺った。
 竹中平蔵氏というと小泉政権において「小泉構造改革」を主導した人物として名高い人である。
 そして今、今回の講演においても明言したが「アベノミクスは100%正しい」とする立ち位置の人である。
 竹中氏はアベノミクスの「三本の矢」と云われる経済政策について概略次のように話した。

 第一の矢である「大胆な金融政策」は、いわゆる金融緩和であり、デフレ対策である。デフレは、物価は下がるが給与も下がる。デフレ下においては企業は内部留保に努める。日銀が金融引き締めることはデフレを増進させることである。今回の黒田総裁がとった金融緩和の効果は2年後に現れてくるだろう。

 第二の矢の「機動的な財政政策」は、今年緊急経済対策として約10兆円を政府支出している。このように当面財政を拡大することにより将来(7年後を見込む)の財政再建を目指しているが、まだ分からないところである。財政再建のためには歳費支出を抑えねばならない。例えば、高齢者対策を17%減ずるとか、消費税率を17%に上昇させるとかの対策が必要である。

 第三の矢の「民間投資を喚起する成長戦略」については、国にとって経済成長はいつの時も必要である。そしてその経済成長は民間の自由な競争から生まれる。民間の自由な競争を促すには、規制を緩くし、税を軽くし、企業にとっての条件を良くすることだ。例えば「岩盤規制」とも云われる、農地の取得規制や医学部新設規制などについては一日も早くその規制を解かねばならない。

               
     ※ もう一人の講師の永濱利廣氏は「第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト」という肩書だった。

 竹中氏はアベノミクスについて概略以上のように述べた。私のメモをもとにしているので大意に違いはないと思う。
 聴いている人たちが主に投資家だったということもあるのだろうか、氏の話は企業の成長のことだけを語っていたように思われてならない。氏の話の中には国民の生活という視点がすっぽりと抜け落ちているような印象があった。例えば、高齢者対策(社会保障費のことを指していると思われるが)の17%減などということをいともあっさりと言明してしまうところに氏の姿勢が透けて見える。

 竹中氏の評価については、世間的には功罪相半ばしているかのように聞こえてくる。
 今回氏の話を伺ってみて、あまりにも饒舌に、そして自信満々に語られると、人間はえてして懐疑的になってしまう性質を持っていることを教えられた思いがする…。