思い描いていた戦いとは違う展開だった。両チームともに活発な打撃戦を展開した。後半7回、札幌第一の一気の逆転劇が俄然試合を面白くした。試合終了の審判のコールがかかるまでどちらに勝利が転がり込むか分からないスリリングな展開となった。
決勝戦は一試合だから屋根下でなくとも大丈夫だろうと、円山球場に駆け付けたのは試合開始1時間前だった。スタンドはすでにびっしりと詰まっていた。
私は札幌第一絶対有利と見て、札幌第一側の三塁側ベンチに近い最前列に空席を見つけて最後の戦いを見守ることにした。
勝因は投手交代?
札幌日大|020|020|010|5
札幌第一|001|000|41X|6x
札幌第一の勝因は何だったんだろう? そう思い返してみても、あまりにも要素が多すぎて判然としない。それくらい試合はもつれた。
その中で敢えて勝因を探るとすると、5回の札幌日大の攻撃時に札幌第一ベンチが絶対的エースの知久が2点を追加されたときにスパッと交代させたことかな?と振り返っている。
昨日の対北海戦でもそうだったように、エース知久は絶対的存在でこれまで彼の右腕によって勝ち上がってきたチームだった。この試合では打ち込まれたとはいえ、絶対エースを交代させたことに私は驚いた。と同時に「これで第一の勝利はなくなったのでは?」と思ったほどだった。
※ 最後まで投げ切った札幌日大エース水野君のリリースの瞬間です。
この試合、札幌第一エース知久は意外と思えるほど打ち込まれた。昨日の北海戦の快投がうそのように…。それほど札幌日大打線が活発だったということだ。
それでも絶対エースを交代させたのはベンチの一種のギャンブルではないかと私は思ったのだが…。代わったのは2年生投手の横内だった。横内は上背が170cmと小柄だがボールに勢いがあった。代わった5回後続を打ち取り、6回は満塁のピンチがあったもののなんとか凌ぎきった。
※ 小柄ながら勢いのあるボールを投げていた札幌第一のリリーフ横内君の投球です。
そして運命の札幌第一7回の攻撃…。
ここでもベンチはギャンブルを仕掛けている。先頭打者、次打者が連続ヒットの後、ダブルスチールを敢行したのだ。札幌日大のエース水野が連続ヒットを打たれて動揺している隙を突いた果敢な走塁だった。このダブルスチールが相手のミスを誘い、味方の攻撃を呼び込んだようだ。捕手後逸や内野ゴロなどで2点を取り、さらに後続が2塁打、3塁打を連続して放ち計4点をもぎとり取り一気に逆転した。
※ 勝利を喜びマウンド上に集まった札幌第一ナインです。
第一ベンチはさらに動いた。
8回表の札幌日大が連続ヒットで同点にすると、第一ベンチはそれまで好投していた横内をあきらめ、三番手の二年生投手菊田をマウンドに送った。この交代も私はちょっと意外な気がした。
菊田は異様な盛り上がりの中でストライクが入らず、ボールにも勢いがない。札幌日大は一死二塁と再逆転の絶好のチャンスだった。ところが…。
次打者の投手の股間を抜けようかという強いピッチャーゴロに二塁走者が飛び出してしまった。二三塁間の挟殺プレーに手間取りなんとか二塁上でタッチしたところに、バッターランナーも二塁近くに達していたためタッチされ、ダブルプレー成立という札幌日大にとっては最悪の結果となってしまった。
※ 喜びの札幌第一ナインを虚ろな表情で見守る札幌日大ナインです。
そして8回裏、勢いづいた札幌第一打線は再び連続ヒットで勝ち越し点を奪い、9回表の札幌日大の攻撃をしのぎ甲子園切符を奪い取ったのだった。
こうして振り返ってみると、札幌第一は次々と投手を交代させたのに対して、札幌日大はエース水野に全てを託したと対照的な投手起用法であった。
それぞれのチーム事情があるのだと思うが、この試合においては札幌第一のギャンブル的(こうした言葉は適当ではないが)投手起用法が功を奏したと云える。
※ 勝利監督インタビューで質問に答える札幌第一菊池監督です。
それにしても活発な打撃戦だった。札幌日大13安打、札幌第一12安打の数字が示すように両チームとも投手が今一つ万全ではなかった試合だった。やはり連戦の疲れが影響したのだろうと思われる。最近の高校野球のトレンドとして力のある投手を二人、三人と揃える必要があるとも云われている。
そうした意味では札幌第一はそうしたチームづくりをしていたチームとも云えることができそうである。
しかし、札幌第一とてチームが理想とする勝ち方ではなかっただろう。
甲子園ではエース知久が本来の投球をし、活発な打撃によって堂々と戦ってほしいと思う。
※ 南北海道大会の真紅の優勝旗は札幌第一主将高石君の手に渡りました。
ベンチを間近にしながら観戦していて印象的なことがあった。
ベンチ間近には札幌第一の熱狂的ファンが陣取っていた。試合前、選手の個人名を上げて大声で声援を送っていた。しかし、選手たちはそれにいちいち応えることはなかった。選手たちは浮かれることなく集中しようとしていたのだろう。
試合中もそうだった。好プレーを見せてベンチへ帰ってきたときも笑顔を見せる選手は誰一人いなかった。試合終了まで試合に集中しようという意志の表れだろう。
当然と云えば当然だが、そうしたひたむきさも勝因の一つだったような気がしてくる。
札幌第一の暑い夏は続いた。
あの暑い甲子園で熱く戦ってほしい。
決勝戦は一試合だから屋根下でなくとも大丈夫だろうと、円山球場に駆け付けたのは試合開始1時間前だった。スタンドはすでにびっしりと詰まっていた。
私は札幌第一絶対有利と見て、札幌第一側の三塁側ベンチに近い最前列に空席を見つけて最後の戦いを見守ることにした。
勝因は投手交代?
札幌日大|020|020|010|5
札幌第一|001|000|41X|6x
札幌第一の勝因は何だったんだろう? そう思い返してみても、あまりにも要素が多すぎて判然としない。それくらい試合はもつれた。
その中で敢えて勝因を探るとすると、5回の札幌日大の攻撃時に札幌第一ベンチが絶対的エースの知久が2点を追加されたときにスパッと交代させたことかな?と振り返っている。
昨日の対北海戦でもそうだったように、エース知久は絶対的存在でこれまで彼の右腕によって勝ち上がってきたチームだった。この試合では打ち込まれたとはいえ、絶対エースを交代させたことに私は驚いた。と同時に「これで第一の勝利はなくなったのでは?」と思ったほどだった。
※ 最後まで投げ切った札幌日大エース水野君のリリースの瞬間です。
この試合、札幌第一エース知久は意外と思えるほど打ち込まれた。昨日の北海戦の快投がうそのように…。それほど札幌日大打線が活発だったということだ。
それでも絶対エースを交代させたのはベンチの一種のギャンブルではないかと私は思ったのだが…。代わったのは2年生投手の横内だった。横内は上背が170cmと小柄だがボールに勢いがあった。代わった5回後続を打ち取り、6回は満塁のピンチがあったもののなんとか凌ぎきった。
※ 小柄ながら勢いのあるボールを投げていた札幌第一のリリーフ横内君の投球です。
そして運命の札幌第一7回の攻撃…。
ここでもベンチはギャンブルを仕掛けている。先頭打者、次打者が連続ヒットの後、ダブルスチールを敢行したのだ。札幌日大のエース水野が連続ヒットを打たれて動揺している隙を突いた果敢な走塁だった。このダブルスチールが相手のミスを誘い、味方の攻撃を呼び込んだようだ。捕手後逸や内野ゴロなどで2点を取り、さらに後続が2塁打、3塁打を連続して放ち計4点をもぎとり取り一気に逆転した。
※ 勝利を喜びマウンド上に集まった札幌第一ナインです。
第一ベンチはさらに動いた。
8回表の札幌日大が連続ヒットで同点にすると、第一ベンチはそれまで好投していた横内をあきらめ、三番手の二年生投手菊田をマウンドに送った。この交代も私はちょっと意外な気がした。
菊田は異様な盛り上がりの中でストライクが入らず、ボールにも勢いがない。札幌日大は一死二塁と再逆転の絶好のチャンスだった。ところが…。
次打者の投手の股間を抜けようかという強いピッチャーゴロに二塁走者が飛び出してしまった。二三塁間の挟殺プレーに手間取りなんとか二塁上でタッチしたところに、バッターランナーも二塁近くに達していたためタッチされ、ダブルプレー成立という札幌日大にとっては最悪の結果となってしまった。
※ 喜びの札幌第一ナインを虚ろな表情で見守る札幌日大ナインです。
そして8回裏、勢いづいた札幌第一打線は再び連続ヒットで勝ち越し点を奪い、9回表の札幌日大の攻撃をしのぎ甲子園切符を奪い取ったのだった。
こうして振り返ってみると、札幌第一は次々と投手を交代させたのに対して、札幌日大はエース水野に全てを託したと対照的な投手起用法であった。
それぞれのチーム事情があるのだと思うが、この試合においては札幌第一のギャンブル的(こうした言葉は適当ではないが)投手起用法が功を奏したと云える。
※ 勝利監督インタビューで質問に答える札幌第一菊池監督です。
それにしても活発な打撃戦だった。札幌日大13安打、札幌第一12安打の数字が示すように両チームとも投手が今一つ万全ではなかった試合だった。やはり連戦の疲れが影響したのだろうと思われる。最近の高校野球のトレンドとして力のある投手を二人、三人と揃える必要があるとも云われている。
そうした意味では札幌第一はそうしたチームづくりをしていたチームとも云えることができそうである。
しかし、札幌第一とてチームが理想とする勝ち方ではなかっただろう。
甲子園ではエース知久が本来の投球をし、活発な打撃によって堂々と戦ってほしいと思う。
※ 南北海道大会の真紅の優勝旗は札幌第一主将高石君の手に渡りました。
ベンチを間近にしながら観戦していて印象的なことがあった。
ベンチ間近には札幌第一の熱狂的ファンが陣取っていた。試合前、選手の個人名を上げて大声で声援を送っていた。しかし、選手たちはそれにいちいち応えることはなかった。選手たちは浮かれることなく集中しようとしていたのだろう。
試合中もそうだった。好プレーを見せてベンチへ帰ってきたときも笑顔を見せる選手は誰一人いなかった。試合終了まで試合に集中しようという意志の表れだろう。
当然と云えば当然だが、そうしたひたむきさも勝因の一つだったような気がしてくる。
札幌第一の暑い夏は続いた。
あの暑い甲子園で熱く戦ってほしい。