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田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

日本の米は?日本の農業は? 大丈夫?

2025-02-20 20:12:00 | 講演・講義・フォーラム等
 日本の米を、日本の農業を、多角的に論じる講師(北大名誉教授・荒木肇氏)の論についていくのは大変だった。ただ、荒木氏が日本の現状に対して相当な危機感を抱いていることを論の端々から感ずることができた講演でした。


 昨夜、北海道自治労会館において「労文協リレー講座」の第5回講座が開講された。
 今回のテーマは「持続的な食料供給に向けた農業生産と農的社会の構築」と題して北海道大学名誉教授の荒木肇氏が講演されました。
 荒木氏の専門は、農耕地環境や自然エネルギー利用分野が専門の方のようです。

    

 荒木氏はまず、最近話題の米不足、そして米の価格高騰等について数値を提示して説明されました。それによると、(いずれも1965年と2020年の比較で表記します)


           1965(昭和40)年      2020(令和2)年
  米の国内生産量    12,409 千トン        8,145千トン
  米の国内消費量 12,993 千トン        7,855 千トン  
  主食米        12,037 千トン        7,067 千トン
  稲作農家数       4,884 千戸         698 千戸

 この数値から、米の生産、消費量ともに約50年間で半数近くに激減していることが分かります。さらに衝撃的なのが稲作農家の激減です。稲作農家はこの50年間で14%にまで激減しています。

 こうした背景には、特に “米” の場合は、「食糧管理法」とか、「食糧法」、「改正食糧法」といった形で政府が介在しているため、一概に論ずることはできないのですが国民の食が米中心から多様化してきたこと、兼業農家などの小規模経営の農家が淘汰されてきたことは云える数字かと思われます。
 荒木氏の米作についての論はこうした現況を解説するだけで、その背景について触れることはありませんでした。

 続いて荒木氏が触れたのは、いかに米の品種改良、栽培技術等が進歩発展してきたかということで、こちらが荒木氏の専門と関りがあるようでした。
 それによると、これは米に限らないことですが、各分野での進歩発展には目を見張るべきものがあるようです。特に北海道の “ゆめぴりか” が北海道の地だからこそ誕生した品種であるというお話は興味深いものでした。

 ただ荒木氏の問題意識は、ここからでした。
 現代農業は、さまざまな研究、改良により「収量増」、「食料価格の削減」、「飢餓の削減」ということを実現してきたが、生産と利潤の最大化が目的となって、過剰耕耘、化学肥料の多用、灌漑用水による水の枯渇、科学的防除の過剰使用といった問題が顕在化しているといいます。
 そこで荒木氏は持続的な農業の在り方について、世界的な農業研究者と共同して「アグロエコロジー」(持続的なフードシステムの生態学)という考え方を提唱していると話されました。
 こうなると私の手には負えません。ただ、世界の食糧生産が大きな曲がり角に立っているようだ、ということはおぼろげながら理解できたということでしょうか?

    
    ※ 荒木氏が翻訳人の一員に加わった「アグロエコロジー」の翻訳本です。

 私は荒木氏のお話を聴きながら、過日お聴きした農業経済学者の鈴木宣弘氏が「世界の人口爆発によって食料危機が起こった時、現状の日本の食糧政策では、日本において大量の飢餓が発生する」という言葉が脳裏から離れませんでした。そこで講演後にその点について、荒木氏の見解をお伺いしたのですが、荒木氏はご自身の専門外だからでしょうか?そのことについて直接的にはお答え願えませんでした。
 その時、荒木氏が答えられたことは「農業者が減少している現状を覆し、農業をする人を増やしたい」ということでした。
 農業が魅力ある産業として後継者増を実現させ、我が国の食糧自給率が向上することを願いたいものです。

さっぽろれきぶんフェス2025

2025-02-17 20:02:20 | 講演・講義・フォーラム等
 札幌の文化財や歴史文化の価値や魅力を多くの方に知っていただき、楽しんでいただくため、を目的としたイベントでしたが、フェスティバル(祭り)と銘打ったためだろうか、やや私には物足りない思いを感じざるを得ないイベント、という印象に映ったのですが…。


 昨日(2月16日)、地下歩行空間北3条交差点広場をメイン会場として札幌市歴史文化のまちづくり推進協議会が主催する「さっぽろれきぶんフェス2025」が開催され参加しました。
 昨日は日曜日だったこともあり、他にもコンサートや映画会などの催しがあり、どれに参加しようか迷ったのですが、昨年度私は協議会が主催するワークショップに参加した経緯もあり、このフェスへの参加を決めました。

        

 主催する「札幌市歴史文化のまちづくり推進協議会」とは、「札幌市の文化財や歴史文化の価値や魅力を多くの市民が共有し、大切に次の世代へ引き継いでいく、歴史文化の魅力あふれる都市」の形成に寄与することを目的として、札幌市、一般社団法人札幌観光協会、札幌商工会議所を構成団体として令和2年に設立した協議会だそうです。

 昨日のフェスは次のような構成からなっていました。
 ◆パネル展
 ◆体験プログラム
 ◆街歩きツアー
 ◆ステージプログラム
となっていましたが、私はステージプログラムを中心に参加しました。併せてパネル展も見せていただきました。

 私が参加したステージプログラムはさらに次のような構成となっていました。
 ◆講演Ⅰ 「路面電車おもしろ歴史」 街歩き研究家  和田哲氏
 ◆講演Ⅱ 「遺産風景の撮り方」    フォトグラファー 岸本日出雄氏
 ◆ステージ発表 「落語で楽しむ文化財」 落語家   林家とんでんへい氏
 ◆パネルディスカッション「札幌の歴史・文化の楽しみ方・生かし方」 
   (登壇) ◇札幌商科大教授  池ノ上真一氏
        ◇池ノ上研究室学生(鎌田新さん)
        ◇喫茶寿珈琲店々主  柴田寿治氏
        ◇(株)エゾシカ旅行社  中根萌氏
        ◇街歩き研究家  和田哲氏

    

 私は期待をもって3時間椅子に座り続けたのですが、正直に告白すると「やゝ物足りなかったかなぁ」という思いです。一生懸命に準備に奔走された関係者の方々には申し訳ないのですが、果たして参加された皆さんが趣旨である「札幌市の文化財や歴史文化の価値や魅力」を感じられただろうか?そしてそれを「次の世代に引き継いでいこう」とする意識を高めることができたか?となると、やや残念だったかなぁ、というのが偽らざる感想です。

 唯一、和田氏のお話には傾聴すべき内容も含まれていました。私はこれまで何度ととなく和田氏のお話を伺っているので多くはこれまでにもお聴きしたお話でしたが、札幌市交通局に大刀豊氏というデアマンの存在を紹介していただいたのは初めてでした。(大刀氏は最終的に札幌市交通局長まで務めた方です)
 大刀氏は札幌市電の名物「ササラ電車」を考案した方だそうで、「ササラ電車」の発明によって札幌市電はこれまで多雪地帯の札幌にあって運休となっのは歴史上たった一日だけだそうです。その他に大刀氏はジーゼルカーを走らせることを考案したり、札幌市の地下鉄がゴムタイヤ方式を導入したのも大刀氏の決断だったそうです。

 期待のパネルディスカッションも、焦点が絞り切れなかったなぁ、という思いが残りました。例によって私はメモを取り続けたのですが、登壇者のお話から「〇〇することによって歴史文化を楽しんだり、生かしたりできますよ」といった発言を伺うことができなかったのでは、という印象を私は持ったのですが、一緒に聴いていた他の方々はどのような感想を抱いたのでしょうか?

        

 今回のフェスで、札幌市歴史文化のまちづくり推進協議会が文化庁の助成を受け、「さっぽろ文化財散歩」という冊子を発行して、それを市民に配布していました。私もいただきましたが、これまで発行したテーマは「大友堀編」、「開拓使編」、「札幌軟石編」、「縄文文化編」、「積雪寒冷都市編」、「札幌路面電車編」の6編でした。
 私は大切なことが欠けているように思えるのです。それは札幌の街づくりの基礎を担った「屯田兵」についてのものが欠けているように思えるのです。

 私が所属する「めだかの学校」では、今年度「さっぽろの古を訪ねて」というテーマで学習する3年目の学習として「北の守りと開拓を担った屯田兵の史跡を辿る」と題して、札幌市内外の屯田兵村跡の5ヵ所を現地訪問し、現在の札幌市の基礎を築くために屯田兵の皆さんが刻苦勉励したことを痛感しました。現在の札幌市発展の基礎を築いたのは間違いなく先人・屯田兵の方々だと思います。その屯田兵の軌跡や価値を後世に伝えていくことも協議会の大切な任務ではないか、と今回のフェスに参加して考えたのですが、いかがなものでしょうか??



フォーラム どう寄りそえるのか

2025-02-16 20:26:43 | 講演・講義・フォーラム等
 刑期を終え、社会へ戻ってもすぐに罪を犯して刑務所に戻っていく。居場所がない。社会は戻る場所ではなく、放り出される場所。よりかかるものがない、彼らは誰をたよるのか…。彼らに誰が寄りそえるのか…。(この文言は主催者がリーフレットに表現したものです)

     

 昨日(2月15日、土)午後、札幌市教育文化会館において札幌弁護士会主催「ドキュメンタリー上映会&パネルディスカッション」に参加しました。
 イベント名にフォーラムとは記されていませんでしたが、内容的に判断して敢えてタイトル名には “フォーラム” と表記させてももらいました。

 フォーラムの構成は、
 ◇ドキュメンタリー映画上映 UHB制作「ある出所者の軌跡~浅草レッサーパンダ事件の深層~」
 ◇パネルディスカッション 「どう寄りそえるか~ある出所者を通じて考える~」
という構成でした。

 ドキュメンタリー映画は2005年にUHB(北海道文化放送)が制作し、同年のFNSドキュメンタリー大賞などいくつもの賞を受賞した作品です。
 黒羽刑務所(栃木県、現在は廃所となっています)に軽微の犯罪で入所したSさんは、刑期を終え出所しましたが、行く当てのない出所でした。そのSさんの行方をUHBのディレクターが追い続けた記録です。

 Sさんは27歳で、軽度の知的障害を持った方でした。
 出所の際、刑務所では一応の決まりどおりに、出所した後にその後の生活するための相談窓口を紹介する文書を持たせました。
 しかし、Sさんは知的障害を抱えているため窓口で十分な受け答えができぬまま放置されてしまいます。市役所の相談窓口でも同様でした。
 Sさんは行く当てのないまま公園のベンチで夜を過ごし、少ない持ち金を酒に費やします。そんな日が何日かが過ぎ、いよいよピンチになった時、取材をしていたディクターが見かねて、薬物依存症の人たちを支援する施設「ダルク」を紹介し、なんとか一命をとりとめることができました。

 映画では、Sさんの行方を追いながら、2001年に浅草で起きたレッサーパンダの被り物をして、見ず知らずの女性を刺し殺した事件を挿入します。この事件の犯人もまた軽度の知的障害を持ち、生活に行き詰っていた若者(29才)だったのです。
 Sさんはディレクターが傍にいたために再犯に至ることなく施設に入所することができましたが、こうした社会的弱者が生きづらい世の中であることに改めて気付き暗澹とした思いに駆られながら映画を見終えました。

 続いて、関係者5人が登壇して「どう寄りそえるか」をテーマとしてパネルディスカッションが行われました。
 登壇者は、
 ◇「ある出所者の軌跡」プロデューサー UHB取締役  吉岡史幸氏
 ◇(株)モナモコーポレーション代表(更生保護類似施設の運営) 米谷貢太氏
 ◇定着支援札幌センター統括コーディネーター 石井隆氏
 ◇札幌矯正管区更生支援企画課長 高橋優紀氏
 ◇弁護士(刑事拘禁制度検討委員会委員長) 高野俊太郎氏
コーディネーターは、札幌弁護士会の磯田丈弘氏が務めました。

     

 パネルディスカッションの内容について、私はできるだけメモするように努めましたが、それらすべてをここで再現することはせずに、私の感想のみを述べさせてもらいます。
 まず、第一にドキュメンタリーを作成した2005年当時と現在では、かなり状況が変わってきているということでした。
 一つは、刑務所出所者の中で高齢者や障害を有する出所者に対して、退所後直ちに福祉サービス等につなげるための支援機関として「定着支援センター」が2009年より全国各地に設置が進んでいるとのことでした。私は「定着支援センター」の存在を初めて知ることができました。
 さらには、刑務所においても受刑期から準備教育を始めることも始動しているそうです。
 また、更生施設についても、米谷氏のところで運営しているように、更生保護施設の類似施設も増加傾向にあるとのことです。
 こうしたことが功を奏しているのでしょう。高齢者や障害をもった方々の再犯率が近年は減少傾向にあるとのお話でした。
 ただ、犯罪者の弁護にあたる弁護士からは軽度の知的発達障害者(IQ69以下)の割合は20%内外と言われているが、感覚的には4~5割はいるんじゃないかという発言もありました。
 ですから、再犯を防止するためにはさらにきめ細かな制度や支援の輪が広がることが求められるというのがパネルディスカッションの結論でした。

     

 また、最後にコーディネーターから、「入口の入口にスポットを当てたい」との発言もありました。その趣旨は、福祉の手が届かないところにいる犯罪予備軍(例として、ブラックアルバイトに手を出す若者など)に注視すべきだという主張です。
 私たち一般人は、報道によって犯罪発生を知り、眉をひそめていますが、関係する方々は私たちから見えないところで犯罪発生を抑止するために懸命に努力されていることを知ることができた貴重なフォーラムでした。



フォーラム アジアと北海道のつきあい方

2025-02-15 16:25:12 | 講演・講義・フォーラム等
 留学生たちは言いました。国と国との交流が大切だというが、その基本は互いに住んでいる人々が仲良く交流することが基本ではないかと…。正論だなぁ、とフォーラムを聞きながら深く頷いていた私でした。

          

 昨夜(2月14日、金)かでる2・7においてNPO法人「日本自治ACADEMY」が主催する「アジアと北海道のつきあい方 Part14」が開催され、初めて参加してみました。
 「日本自治ACADEMY」というNPOを初めて耳にしましたが、調べてみると、その趣旨には次のように謳われていました。
 「地方自治制度やその運営に関してアジアを含む世界の自治体などとの交流及び学術的研究を通じ、今後の自治のあり方や国際化の方策を探り、地方自治の発展に寄与することを目的としています」
と大変高邁な理想を掲げています。NPOとしての活動の歴史は古くフォーラムも今回で14回目ということでした。


 フォーラムの構成は、
 ◆講演「台湾と北海道の交流について」 
   台北駐日経済文化代表処 札幌分処 課長 鐘宣鍾(ショウギソウ)氏
 ◆パネルディスカッション「アジアの留学生と語る」
      ◇北海道大学工学院 修士1年(カンボジア) CHHIM EAVLY(チュムイヴリ)さん
      ◇北海道大学文学院 修士1年(台湾) 簗宣亭(リヤーンシュエンティーン)さん
      ◇北海道大学法学研究科 修士1年(台湾) 朱紘宇(ジュウホンユー)さん
           ※ 台湾のお二人の漢字は略字です。

       
   ※ 講演をする台北駐日経済文化代表処札幌分処課長の鐘宣鍾氏です。

 鐘宣鍾氏の所属する台北駐日経済文化代表処は、中華民国(台湾)の日本における 外交の窓口機関ということで、民間の機構ではありますが、実質的には大使館や領事館の役割を果たしているところだそうです。
 実質的に台湾政府を代表するような立場ですから、台湾と中国が非常に微妙な情勢となっている今、慎重な表現をされているのが印象的でした。
 そうした中、北海道が中高生を対象として台湾との交流に積極的に取り組んでいる市町村が増えてきていることに感謝する旨の発言がありました。また、道内自治体の中で24の自治体が「日台親善協会」を設立していることについても感謝の言葉を述べられました。
 鐘宣鍾氏はこうした動きがますます盛んになることを期待していると話され講演を締め括りました。

 続いて「アジアの留学生と語る」と題するパネルディスカッションでしたが、こちらは若者らしく率直な発言が目立ち、興味深く3人のお話を聴くことができました。

       
   ※ パネルディスカッションに登壇した3人の留学生です。

 まず、それぞれの日本に、そして北海道大学に留学した理由について、チュムさんは小さなころから日本に憧れていて、技術レベルの高い日本、しかもレベルの高い北大で学びたかったと語りました。
 リヤーンさんは、母国で先住民族について学び、日本の先住民族の実態を学ぶには北大が最適とのことで北大に留学したと語りました。
 ジュウさんは、やはり母国でロースクールに通い法学を学んでいたが台湾の労働法が日本と似ていることから、日本で学びたいとの思いが募り、台湾の指導者が北大との繋がりが強いことから北大を推薦されたので北大に留学したということでした。
 
 続いて三人に日本の印象について司会者が訪ねると、口々に日本の街並みがきれいだということ、またゴミが落ちていないことにも驚いていました。さらには街中の交通において “人優先” が徹底しているとも語っていました。また、治安が良いことにも言及している方がいました。
 反対に困っていることでは、交通費が高い、とか手続きなど際に行政機関などが言葉の不自由な外国人に対してもう少し親切に接してほしいといったことを口にもされました。

 三人はいずれも現在修士1年で、残り一年で終業ということになりますが、三人とも将来に対する考え方はしっかりしていて、日本の企業でさらに技術習得に励み、その技術を母国のために役立ちたいとか、母国に帰り研究の道を継続して先住民族の交流を目指したいとか、大学に残り教員の道を目ざしたい、など将来の目標をしっかりと定めているようでした。

 そして最後に司会者が「日本とアジアの国々との交流を促進するためには?」との問いに対して、観光を手段として一人一人が発信することが大切ではないか。自国の文化と相手国の文化の違い・魅力を友人・知人に積極的にお勧めする。お互いに身近な文化を交流することが大切ではないか。といったことが述べられました。
 さすがにそこは現代の若者です。SNS時代の到来を実感しているからこそ出てくる言葉でしょう。

 最後に司会者がショッキングな数字を述べました。それは日本人の旅券(パスポート)取得者の割合が外国諸国と比較したとき、その割合が半数以下だそうです。
 若者だけではなく、私たちも外国に関心を抱くことが大切なのかもしれません。
 オーバーツーリズムに眉をひそめるばかりでなく、私たち自身が外国へ出かけ、外国の方々との交流を図ることが互いをより良く理解することに繋がるということのようなのですが…。
 

      

高齢者などの再犯防止に有効? 当事者研究

2025-02-06 18:06:23 | 講演・講義・フォーラム等
 う~ん…。少し難しいお話を聴いた。刑法犯の中で薬物依存者や高齢者・障害者の再犯率が高くなっていることが課題となっているというが、それらの方々に対して「当事者研究」が有効とのことです。いったい「当事者研究」って何?

 昨日(2月5日)午後、札幌エルプラザホールにおいて、北海道地方更生保護委員会などが主催する「北海道ブロック再犯防止シンポジウム」に参加しました。
 このシンポジウムは主として保護司の方々が対象のようだったのですが、一般にも門戸が開放されており、何にでも興味を覚える私はスケジュールが空いていたので迷わず参加しました。
 シンポジウムの構成は、基調講演とパネルディスカッションになっていましたが、基調講演が難しかったのですが、大変興味深かったので、こちらを中心にレポすることにします。

 基調講演は、社会福祉法人の「浦河べてるの家」理事向谷地生良氏「地域で支える、地域を支える~刑務所での対話実践の経験から~」と題してのお話でした。

      

 私のレポはまず、本題に入る前に「浦河べてるの会」について、私自身が理解することから始める必要がありました。
 ネットで調べたところ、向谷地氏は「浦河べてるの会」の設立当時から深く関わってきた方でした。向谷地氏は大学を卒業され、浦川赤十字病院の精神科のケースワーカーとしてお勤めだったそうです。

 しかし、1984(昭和53)年、病院を例え退院したとしても統合失調症等を抱えた人たちにとっては行き場がなく、浦河教会の旧会堂で共同生活をし、向谷地氏も一緒に起居し、病気を抱えた人たちと生活の場を確保し、働く場を作り、病気のケアもする場として、回復者クラブ「ドングリの会」を設立したのがそもそもの始まりだそうです。

 当初は日高昆布の産地直送を請け負う仕事によって生活の糧を得ていたが、海産物から農産物の直送、通販、あるいはカフェの運営などと活動の幅を広げ、1984(昭和59)年には社会福祉法人「浦河べてるの家」を起ち上げるまでに発展したそうです。現在では、就労継続支援B型、生活介護、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、グループホームの運営等、手広く活動を展開し、従業員も100人ほどいるそうです。

    
 
 向谷地氏はその法人の中心人物として、法人の運営に、入所者のケアに八面六臂の活躍をされてきた方のようです。
 統合失調症などの病を抱えた入所者のケアに用いたのが「オープンダイヤローグ」という手法だったそうです。「オープンダイヤローグ」とは、ともかく対象者と徹底的に話し合う手法だそうです。(詳しくはご自身でお調べください)
 そうした手法を積み重ねる中から、向谷地氏が行きついたのが「当事者研究」だということです。この当事者研究という概念について向谷地氏から説明があったのですが、私には十分な理解はできませんでした。

  向谷地氏から提供された文書によると「当事者研究とは、日常の困りごとや出来事に対して、常識や前例にとらわれずに、〈問いや課題〉を前に置きながら〈研究する〉という視点に立って自由自在に語り合い、時には図(絵)や、演技(アクション)を用いて出来事や苦労をのおきるパターンやしくみ、かかえる苦労や困難の背後にある意味や可能性を一緒に考え、意味を発見していく対話のプロセス」のことを言うのだそうです。
 誤解を恐れずに言えば、自分の困りごと(病状)を自分自身で解決していこうとする対処法とでも言えるのでしょうか?
 この手法は今や日本の精神医学界では主流になっているとも聞いています。事実、向谷地氏は北海道医療大学の教授を務め、現在は同大学の名誉教授であり、特任教授でもあるということです。

    

 そして向谷地氏は、某刑務所において高齢者で再犯をくり返す犯罪者に対して、この「当事者研究」の手法で、「一緒に研究をしましょう」と呼びかけて話し合い、当事者と共に研究することで手応えを感じているとして講演を結びました。

 刑務所も明治以来、「懲罰」に主眼をおいてきた制度を115年ぶりに改正して「更生」に軸足を
移そうという動きが急だそうです。その主流となるのが「当事者研究」という手法なのかもしれません。

 やや生噛りのレポになったきらいはありますが、再犯防止に向けての努力が私たちの見えないところで真剣に取り組まれていることの一端を知ることができたシンポジウムでした。

Rapidusは日本の、そして北海道の救世主たり得るのか?

2025-02-05 20:18:05 | 講演・講義・フォーラム等
 千歳市に工場を建設中のRapidus(ラピダス)が、いよいよ今年4月から試作ラインを稼働させるという。北海道の、そして日本中の期待を担う半導体メーカーRapidusは果たして思惑通りの成果を挙げえるメーカーとなり得るのか、関係者のお話を聴いた。
      

 昨日(2月4日)午後、共済ホールにおいて北海道が主催する「次世代半導体とほっかいどうの未来 in 札幌」というセミナーに参加しました。
 実は昨年も同じころに私は同様のセミナーに参加し、レポしています。(よければ拙ブログの昨年2月13日、14日の拙ブログを参照ください) その中で私は素人ながらにRapidasの未来にやや懐疑的な見方をしています。

 さて、今回のセミナーのラインナップは次のとおりでした。
 セミナーでは4つの講演があったのですが、その前に北海道経済部産業政策局の次世代半導体戦略室長が「北海道半導体・デジタル関連産業ビジョンと道の取組」と題する報告がありました。
 続いて次の4本の講演がありました。

 ◆講演Ⅰ 「日本の半導体政策について」 
          経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長 青山大介氏
 ◆講演Ⅱ 「次世代半導体を北海道から世界へ」
          Rapidas株式会社 代表取締役社長 小池淳義氏
 ◆講演Ⅲ 「半導体と私たちのくらし」
    北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センター教授 葛西誠也氏
 ◆講演Ⅳ 「半導体の今と北海道への期待」
                日本経済新聞 編集委員 太田泰彦氏

 実はこの4人の方のうち、青山氏を除いて3人の方は昨年も講演された方でした。ということは内容的に昨年とそう変わった内容ではなかったということも言うことができます。
 事実、登壇者のお話の大半は、Rapidasが思惑通りに2027年からの2nm(ナノ)半導体の量産化に成功し、日本が再び半導体大国として台頭し、北海道は「北海道デジタルパーク」として発展するという構想を語ってくれました。
   
※ 建設中のRapidus千歳工場の完成予想図です。

 しかし、現実はどうなのでしょうか?
 経産省の青山課長は、かつて半導体大国だった我が国が衰退していったのは、成功に胡坐をかき、アメリカとの対応に失敗し、しかも国としての継続性に欠けていたと振り返りました。
 私は門外漢ですから専門的なこと、難しいことは分かりません。ただ、現実に立ち返ってみると、現在の我が国の半導体産業は、台湾、韓国、アメリカなどからは大きく立ち遅れている現状です。そうした中、2nm(ナノ)半導体というのは、まだ世界のどの国も実現できていないものですが、各国もその実現のために凌ぎを削っているのが現況です。その中でRapidasが世界に先駆けて開発できる ことが約束されているわけではありません。
 熾烈な競争は莫大に資金も必要とするようです。国ではすでに9200億円もの投資をしていると言われます。はたして先の失敗のように継続性に問題はないのでしょうか?
 不安な点はまだ考えられますが、ここでは敢えて触れないでおきましょう。

 明るい話題がないわけではありません。本日の新聞によると、北洋銀行が50億円の出資を決めたとのニュースが流れました。また、また国も今年度中にさらに1,000億円の出資をするということですし、国内の大手企業も出資の意向を示していると伝えられているということは、先行きに見通しが出てきた証かもしれません。

 私などには縁のない遠い世界のお話ですが、Rapidasが立地する同じ北海道民として、なんとか小池社長が夢みる「北海道デジタルパーク」構想が実現されることを願って止まないのですが…。

   
   ※ 社名の前のマークは富士山をイメージしているそうです。

 なおRapidasという会社名は、ラテン語で「速い」、「迅速」という意味があり、「どこよりも早く作る」という意味を込めて小池社長が命名したそうです。



安田菜津紀 弱者に注ぐ眼差し

2025-01-26 20:19:11 | 講演・講義・フォーラム等
 フォトジャーナリストの安田菜津紀氏は、徹底してその眼差しを弱者に向け続ける人である。今、彼女の眼はパレスチナのガザ地区の住民に向けられています。ガザへの軍事侵攻で傷つくガザの人たちのことを淡々と話す安田さんのお話に耳を傾けました。

     

 昨日(1月25日)午後、新装なった北海道新聞本社に設けられた「道新DO-BOX EAST」において、札幌学院大学主催の学術講演会が参加しました。
 講演はフォトジャーナリストして活躍中の安田菜津紀さんを招聘し、「共に生きるとは何か ~難民の声、家族の歴史から考えた多様性~」と題する講演を拝聴しました。
 
 「道新DO-BOX EAST」には初めて入りましたが、以前の旧社屋に設けられていた「道新DO-BOX」と比べると、広さが倍近くとなり、横に広がった室内にはスクリーンが3枚掲げられていて、講演などにおいて受講者が内容を把握しやすくなるよう配慮がなされたようです。

 安田さんは講演の冒頭に、フォトジャーナリストらしく一枚の写真を提示しました。(下のような写真です)その写真はガザ地区の海岸、地中海に浮かぶ一艘の船に乗ったパレスチナ人の姿です。
 安田さんは言います。「この船に乗った人たちは遠くまで行くことができません。イスラエルが壁を作っているため、ガザの人たちは遠くへ出かけて漁をすることもできないのです」と…。
 つまりガザ地区の人たちは海からも隔離され、陸上にも頑強な壁が立ちはだかる中で、東京都の約6割の面積の中に約222万人の人たちが押し込められて生活しているというのです。

    

 安田さんはそのガザ地区に入り、ガザで暮らす人たちと交流を図り、彼らの困窮した生活ぶりをレポートします。
 また、以前にはシリアを訪れ、アサド政権が支配していた時代に反政府側であるために大変な生活を強いられた人々とも交流を持ったということです。

 ただ、安田さんの口からは、イスラエルのことも、アサド政権への批判も一切聞かれませんでした。彼女の眼差しはただ、ただ紛争地域で困窮する人々の姿に向けられているのです。
 だから彼女の眼は、紛争から逃れて日本まで逃げのびてきた人たちにも向けられます。2021年に日本で難民認定された数はわずか74人だそうです。一方、カナダは実に33,801人だというのです。この差を彼女は嘆きます。

 彼女が世の中の弱者に眼差しを注ぐようになったのは、彼女のルーツも関わっているのかもしれません。彼女が高校生の時に、パスポートを作ることになって戸籍謄本を取り寄せた際に、父親が在日二世だったことを知ったそうです。
 そのことで、彼女はきっと人種差別的な辛いこともたくさん体験したのではないかと想像されます。しかし、彼女はそのことについては一切口にしませんでした。
 代わりに関西にある韓国籍のお祖母さんたち(オモニ)が集う「ふれあい館」を取材した様子を話され、「身近な差別は大きな暴力である」と最後に訴えました。

    

 再三記してきましたが、安田さんはけっして政治的な発言はされませんでした。彼女はただただ、世界の中には紛争などによって犠牲となっている市民がいかに多いか、差別によって傷ついている人たちいかに多いかを訴えているのだと思います。
 その言説は時には煙たく思われ、反論されるようなこともあると思われますが、彼女はそうしたことを柔らかく受け止め、笑って「悲惨な思いをしている人たちを救いましょうよ」と呼びかけるのではないでしょうか?

 会場には札幌学院大学の学生たちもたくさん聴講していたようです。彼らは安田さんの言葉をどのように受け止めたのか気になるところです。 
 安田さんが最後に発した「身近な差別は大きな暴力である」という言葉を重く受け止めたいと思います。

日本の農業が危ない!? 

2025-01-25 20:30:13 | 講演・講義・フォーラム等
 えっ!? もし国際的な物流が停まると、日本は餓死者が続出するって?農業経済学の権威と目される東京大学の鈴木宣弘名誉教授は、日本の食糧安全保障が崩壊の寸前にあると警告を発します。

    

 一昨日(1月23日)午後、北農健保会館において(一社)北海道再生可能エネルギー振興機構などが主催する「食とバイオガスセミナー」に参加しました。
 セミナーは基調講演、2本の講演、そして事例発表と盛りだくさんの内容でした。

 その内容は…、
 ◆基調講演 「農業を守る!今、危ない食の安全」~地域循環の仕組みづくり~
      東京大学大学院 農学生命科学研究科 特任教授 鈴木 宣弘 氏

 ◆講  演 「バイオガスが守る食と環境」
     (一社)北海道再生可能エネルギー振興機構理事 菊池 貞雄 氏
 ◆事例発表 「バイオガスプラントから有機肥料を利用した有機農業の取り組み」
     オーガニックファームZERO(宮崎県新富町)代表 宮本恒一郎 氏
 ◆講  演 「食の安全を守る消費者の選択」
        生活クラブ生活協同組合北海道 理事長 片桐 葉子 氏
 それぞれがとても興味深い内容で、その全てをレポしたいところですが、私には荷が勝ちすぎます。そこで本稿では最も刺激的だった基調講演に絞ってレポすることにします。

    
    ※ 講演をする鈴木宣弘氏です。

 鈴木氏は講演の冒頭で「現在、日本の食糧安全保障は崩壊の危機に瀕している」、「その背景にはアメリカが大きく関わっている」といきなり話されました。
 それからの鈴木氏のお話は立て板に水のごとく、氏の理論を次々と述べられ、私のメモはとても追いつかない状況でした。
 鈴木氏については、私が定期購読している月刊「文藝春秋」でも特集で取り上げられたことがあり多少は知っているつもりでしたが、今回のお話はその主張をさらに過激にしたような内容でした。

 鈴木氏がなぜ食料安全保障が危機に瀕していると主張されるかというと、現在日本の食糧自給率は37.6%と言われているが、実際には日本の農家が使う種や肥料においても外国産に頼っている分野があるため、それらを換算すると自給率は9.2%まで下がってしまうということなのです。
 とすると、もし仮に物流が止まってしまうと、日本はとたんに食料不足に陥り、餓死者の数が世界で一番多くなるだろう、警告を発したのでした。

 また、食料安全保障が危機に瀕している背景にはアメリカが関与している、という点については、例えば戦後の占領政策の中で、自国(アメリカ)の小麦農家を支援するために、給食にパン食を導入した例のように、自国の農産物や肥料を日本に次々と購入させて、日本の農業の衰退を招いているとした。

 そのアメリカの押し付けに対して、日本政府は唯々諾々と従い、日本の農業の衰退化を推し進め、工業化の道をひた走ってきたと指摘しました。そうした日本の現状を鈴木氏は「今だけ、金だけ、自分だけ」と日本の現状を皮肉りました。

 この他にも多くの日本の現状について追及されたのですが、とても私の手では再現することはできませんが、全編我が国の農業政策を批判することに終始した内容でした。
 鈴木氏は、国産オーガニックを推進する立場の方で、輸入農産物の農薬や食品添加物、輸入牛肉のホルモン剤、昆虫食などのフードテックの危険性を訴えている方なのですが、それでは鈴木氏は日本の農業をどのような姿にしたいかというと、「オーガニック農業を推進し、危険な輸入農産物を禁輸して、国内で農産物(食料)を循環させるべきだ」と主張するのです。そうすることで日本の農業の再興も図れるという主張です。

    
 ※ こうした資料が次から次へと大変な速さで映し出されるのですからとてもメモすることはできませんでした。

 あまりにも日本の農業についての批判が厳しいものですから、帰宅してから調べてみると、主張が過激(?)なだけに、反対論も根強いようです。曰く「根拠が希薄である」、「データの読み方に誤りがある」等々…。

 農業については(農業ばかりではないが…)門外漢の私だが、最近のことでいえば酪農家の危機が言われ始めて久しい気がします。酪農家が搾乳した生乳を捨てているところがテレビに映し出されました。牛乳が余っているというのです。
 このことについても鈴木氏は言及していました。国内産の牛乳が余っているというが、実は国内で消費する牛乳関連商品の約4割が外国から輸入しているという実状だというのです。

 食料に関する問題は私たちの生活に直結する問題です。この類の問題に対して、もっと日常から注意深く関心を持たねばならないということを痛感した私でした。

対談 桜木紫乃 自らを振り返る

2025-01-23 12:14:13 | 講演・講義・フォーラム等
  直木賞作家で、江別市在住の桜木紫乃氏は、気さくな方だった。対談相手で友人の北大教授の岡田美弥子氏と、二人の交友や家族のことを隠し立てすることなくフランクに、そして気さくに語ってくれた。

 昨夜(1月23日)、連続受講している「労文協リレー講座」の第4回講座が開講され、受講しました。
 今回は、直木賞作家の桜木紫乃氏と、友人である北大教授の岡田美弥子氏「いつ学び、いつ活かすか」と題して、お二人の対談の形で講座は進められました。

   

 ここではまず対談相手である岡田氏のことを少し紹介せねばなりません。岡田氏は北九州市生まれで、60歳。北大に赴任して24年が経過し、専門は経営学ということです。
 その岡田氏と桜木氏はまったくの畑違いを生きてきた二人なのに、なぜ友人であるのか、というところから説明せねばなりません。
 
 お二人を結び付けたのは、5年前に二人が共に北海道文化放送(HTB)の番組審議会の委員となったことがキッカケだそうです。(今では二人は岡田さんが委員長、桜木さんが副委員長を務めているとのこと)
 そこで出会い、話をしたことで二人の波長が合ったことが始まりとのことです。そして二人はお酒も好きなようで、その頃から急速に二人の距離は縮まり旅行にも一緒に行くなど、いまでは何でも語り合える仲となっているとのことです。

 岡田氏は云います。「小説家と知り合うと自分が丸裸にされてしまう」と…。それは、桜木さんの作品の中にいつの間にか岡田さんが登場することが何度もあったということなのです。最近の作品ではついに「みやこ」という名前まで登場したそうです。もっともそれは、お二人の関係を知っている人以外には分からないものではあるのですが…。

 私は桜木氏の作品は直木賞受賞作の「ホテルローヤル」以外は読んだことがないが、彼女の作品の中には彼女の父親タケミツさんや母親がしばしば登場するようです。その父親を桜木さんは作品の中で「嫌な父親」として描くことが多いというが、昨夜の桜木さんは「父親を今も好きではないが、父親は人間の良いところも、悪いところも見せてくれた」と言います。そしてそのことを作品に反映できたと…。

 昨夜の対談は、主として桜木さんの作品を生み出す背景について語り合うことが主でしたが、桜木さんは身近な父母のこと然り、岡田さんとの交友のこと然り、人との出会いや交流から作品のヒントを得ていると言います。だから番組審議員会で出会う異業種の審議委員さんとの交流もとても興味深いと…。

 桜木さんがお付き合いする方は不思議と北海道、九州、大阪の人が多いそうだ。その三地域に住む人たちの特徴は、「人間が好きで、人間に興味がある」人が多く、「恰好付けない人」が多いのではないかと岡田氏は分析した。

 そして最後にテーマに関わって「学ぶ」とは、人との出会いから学び、「活かす」とは、その出会いで学んだことを仕事や自分の生き方に活かすということではないかと岡田氏はまとめられた。また「活かす」ためにはアンテナを高く張っておく、どうしたら良いのか悩むことも大切だと…。

 お二人の仲の良さを示すように時間を過ぎてもなお語り合うお二人に理想の友人像を見たようにも思われ、心楽しいひと時を過ごすことのできた一夜でした。



山田邦子さん がんの自己体験を語る

2025-01-17 18:29:10 | 講演・講義・フォーラム等
 お笑いタレントの山田邦子さんは、ひと時も休まずに喋りつづけます。そのしゃべくりは天才的です。会場を爆笑の渦に巻き込みながら、自らの闘病体験を明るく語り、聴く人たちを勇気づけました。

      

 お笑いタレントの山田邦子さんがまたまた札幌にやってきました。
 以前に来札した際も拙ブログでレポしましたが昨年12月1日、道新主催の「みんなの終活フェア」の特別講演で来札し、彼女の天才的なしゃべくりに笑いと勇気をいただいた記憶がまだまだ鮮明です。

 その山田さんが、昨日(1月16日)午後、札幌医科大学で開催された「市民講座」に講師として来札したのです。
 市民講座開催の趣旨は、札幌医大に「札幌医科大学アイン・ニトリ緩和医療学・支持療法学講座」が開設されていて、その一環として「がん相談サロン」が開設されていることを広く市民に知っていただくことだったようです。そのための講師として山田邦子さんが相応しいということで今回招請されたようで、「大丈夫だよ、がんばろう!」と題して講演(口演?)されました。


 鮮やかなピンクのドレスを身にまとい、「綾瀬はるかでございます」と話し始めていきなり笑いを取り、その後は山田ワールド全開で会場の聴衆の気持ちを鷲掴みにします。そして会場の笑いには「笑うことは免疫力を高めるために有効なのですよ」そして「口角を上げることは若々しさを保ちます」と、笑いの中に医療的効能を散りばめます。この辺りは12月の時の話と酷似していました。

 12月の時には話されなかった話としては、自らが乳がんに気付いた際のエピソード。そして精密検査でMRIに入った話などを山田流に笑いを取りながら体験談を語りました。

 山田さんとしては12月の際と比べると、やや話し辛かったところがあったのではないかと推察します。というのも、医大の関係者や、がんに関心のある方々が参加者には多かったと思われるからです。しかし、そこはさすがにプロです。臆することなく山田ワールドに惹き込んだ山田邦子さんの話しぶりにはプロ根性を見た思いがしました。