ヒトリシズカのつぶやき特論

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産総研レアメタルシンポジウムを拝聴し、都市鉱山リサイクル技術を学びました

2013年10月22日 | イノベーション
 2013年10月21日午後に東京都千代田区で開催された「第8回 産総研レアメタルシンポジウム」を拝聴しました。産総研とは、産業技術総合研究所の略称で、日本を代表する大規模な公的研究機関です。

 “レアメタル”とは資源面で産出することが少なかったり、入手することが困難な元素群のことです。最近は、ハイテク製品のキー部品として利用されているものです。

 このレアメタル元素群は、産出国が中国や南アフリカ、ロシアなどの国々に偏在しているものが多く、2006年ごろに一時高騰して、日本の電機メーカーや自動車メーカーなどを苦しめたものです。

 例えば、パソコンのハード・ディスク・ドライブ(HDD)や電気自動車などの高性能モーターに利用されている高性能磁石には、ネオジムやディスプロシウムというレアメタル元素が利用されています。特に、高温用途で使う高性能磁石には、ディスプロシウムが不可欠ですが、このディスプロシウムは中国が主な産出国で、輸出制限を一時、実施することがありました。

 このため、日本ではリサイクル法などを整備し、自動車や代表的な家電製品や小型家電製品の廃製品を回収し、元素・材料をリサイクルする態勢を進めています。こうした自動車や家電製品などの廃製品を収集・回収したものを“都市鉱山”と呼んで、ここから必要な元素を回収するリサイクル化を進めています。

 今回の「第8回 産総研レアメタルシンポジウム」の講演を拝聴し、現在の“都市鉱山”と呼ばれる廃製品からは、鉄やアルミニウム、銅、プラスチックなどの主要な構成元素・材料は回収できるが、日本が求めているレアメタル元素群は、“都市鉱山”廃製品の中から、そのままでは回収できないことを学びました。

 お目当てのレアメタルを含む部品・部材を回収するには、“中間処理”と呼ばれる工程を加えてから、通常のリサイクル回収選鉱技術に回す必要があるということを学びました。通常のリサイクル回収選鉱技術だけを適用すると、多くのレアメタル元素群は銅精錬時のスラグと呼ばれる不純物側に混在してしまい、そのまま捨てられるからです。

 例えば、パソコンの廃製品からはハード・ディスク・ドライブをまず取り出し、その中から高性能磁石を取り出す中間処理が必要です。また、携帯電話機の廃製品からは、タンタルコンデンサーを取り出す中間処理が必要です。こうした中間処理を実現するには、携帯電話機などの小型家電製品ごとに、レアメタルを主に含む部品の製品形状・対象部品などの製品データベースを各メーカーの全年式ごとにつくる“廃製品データベースプログラム”を非公開型で作成することを、産総研は提案しています。

 データベースを非公開型にする理由は、各電機メーカーの独自技術内容を非公開にするためです。ある。レアメタルの元素を回収するリサイクル業者は、この廃製品データベースプログラムを利用して、目指すレアメタルをピンポイントで回収することで、リサイクルを実現するという提案です。

 こうした研究開発を加速される目的で、産業技術総合研究所は「戦略的都市鉱山研究拠点(SURE)」を今年8月から準備し、来月11月から“都市鉱山”型リサイクル技術を社会に普及させる活動を始めるそうです。



 その普及活動の一環として、SURF FORUMという企業との連携組織を設け、廃製品データベースプログラムや製品エコシステムプログラムなどの構築する計画を進めているそうです。