今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

ナタリー

2016-03-16 19:27:14 | 
淡いグレーの瞳のナタリー。

悲しんでいるのか
喜んでいるのか
あなたは
まばたきもせず
空を見つめる。

あなたはその瞳で
沖を行く船も
空を飛ぶ鳥も
灰色に染めてしまう。

わたしの心さえも。

淡いグレーの瞳のナタリー。

けれどわたしは
あなたに従う。

夜のとばりがおりて
すっかりあなたが消えるまで。


大山夕景。手前は日野川。

お~い

2016-03-15 11:32:28 | 食べ物
ザクザク…
トントン…
パチパチ…。

今朝も台所では
にぎやかな音。

よくないことを考えて
心ここあらず
になっていると
呼びかけてくれる。

ザクザクお~い
トントンお~い
パチパチお~い。

ここに
戻っておいでよと。

今に
戻っておいでよと。

「は~い、ただいま!」。


こぶし〈モクレン科〉

桜梅桃李(おうばいとうり)

2016-03-14 11:14:11 | 気持ち
梅が咲き
桃が咲き
もうすぐ
桜や李が花開く。

そして
それぞれの実をつける。

梅は梅の実を
桃は桃の実を
桜は桜の実を
李は李の実を。

梅の木に
桃をならせようと
思わないはずなのに
人はときどき
間違える。

その人が
望む実りと
異なる実りを求め。

桜梅桃李。

花の下で想う
あるがままの美しさ。


梅の花〈バラ科〉

福寿草

2016-03-13 23:20:44 | 気持ち
宝物はどこに。

宝物はここに。

西日を浴びて
黄金色の福寿草。

今日
輝いた
あなたとあなたへ。

日が沈んでも
失せることのない
黄金色の
気持ちをありがとう。


福寿草〈キンポウゲ科〉

5歳の葛藤

2016-03-12 12:18:24 | 「かれん」
「さわりたい。
でもこわい」

5歳のあの子が
犬のそばで繰り返す。

いつの間にか
インプットされていた
犬はこわいという思い。

それも正しい判断だ。

けれど
楽しく遊べることも
知っているのだ。
そして
楽しく遊びたいのだ。

「さわりたい。
でもこわい」

5歳のあの子は
何度も繰り返す。
近寄っては離れ
離れては近寄り…。

「さわりたい。
でもこわい」

5歳のあの子は
何度も何度も
自分の心に問いかける。

「さわりたい。
でもこわい」

いつか
さわれる日まで。


パンジー〈スミレ科〉

味噌づくり

2016-03-11 19:25:06 | 食べ物
手作りはいい。
作りながら
祈る時間を持てるから。

恒例の味噌づくり。

塩と麹を混ぜながら
仲良くなじむようにと祈る。

大豆をつぶしながら
おいしい味噌になるようにと祈る。

手作りはいい。
作りながら
いろんな想いを
祈る時間を持てるから。

半年後には
これ以上の味噌はないというほどの
おいしい「手前味噌」の出来上がり。


白い水仙〈ヒガンバナ科〉

切望

2016-03-10 09:42:22 | 気持ち
あなたの名前をなんと呼ぼう。
聞き知った名前でよいのだろうか。

それともあなたが名のるまで
待っていた方がよいのだろうか。

あなたを待っている。
あなたに出会えることを。

もう出会っていて
それに気づかないだけだろうか。

あなたの声が
わたしの粗野な耳にはあまりにもか細く
しきり声をかけてくれているあなたに
気づいていないだけなのだろうか。

わたしの耳が
あなたの声を聴くには雑音に満ち
しきりに呼んでくれているあなたに
気づいていないだけなのだろうか。

あなたを待っている。
あなたに出会えることを。

そうして
もう決して離れないことを。

そうして
あなたを友とし、師とし
ともに歩んでいくことを。

あなたはどこにいるのだろう。

あなたを待っている。
あなたに出会えることを。

確かにあなたはいることを
教えてもらったのだから。


クリスマスローズ〈キンポウゲ科〉

フランソワ

2016-03-09 11:36:49 | 
朝から冷たい雨。

今日の海は
灰色の瞳のフランソワ。

憂いに瞳を潤ませているが
彼女はもともとは
明るい性格だ。

だから
冷たい雨と風にも関わらず
カモメたちは
足しげく彼女を訪ねる。
楽しく遊んだ日々を思い出し。

それに
憂いに瞳を潤ませてはいるが
どこか明るい。

絶望はなく
むしろ
憂いの中に
希望を漂わせている。

自らの
あるいは生命そのものの
誇りを鼓舞するように…。


クリスマスローズ〈キンポウゲ科〉