詩の現場

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箪笥に軍服を見つけた日、

2014-08-15 | トークタイム
…30年近く前だろうか、
まだ健在だった祖母と母と一緒に、
古い箪笥の虫干しを手伝ったことがあった。
昔の着物類が、古色そのままにしまわれていた。
下から2段分には、引き出してみると
黄土色の何やら硬いものがでてきた。
父が戦争に行った時の軍服とゲートルだった。

平和な昼下がりだった。
なにか場違いのような気がしたのを覚えている。
なぜ家の箪笥に軍服がしまわれているのだろう。
素朴な疑問が頭をもたげた。
だが誰もそのことは口にしなかったので、
話を掘り下げることはためらった。

父は陸軍に所属し、中国に戦争に行ったと聞いたことは
あったが、それ以上の話は父の口からは続かなかった。
箪笥に軍服を見つけた日、
あの時、軍服の時代は過去であり、
日本にはもう似合わないと思った。
鮮烈に感じた私の育った時代との違和感。
その印象を、ずっと強く心に描いていたいと思うのだ。




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