ちょこっと本音

自分のこと、趣味のこと、ダイエットのこと・・・
心の声をちょこっと文字に。

千の風よ吹け

2010年03月02日 | 優しいことば

朝日新聞で昨年『千の風になったあなたへ贈る手紙』という募集をしていた。
私も『千の風』になった父にどうしても言いたいことがあって書きたかったのだけど、去年は体調不良で応募できなかった。
父が亡くなった年の紅白で『千の風になって』が初めて歌われた。
聞きたくなかった。
でもやはり聞いてしまった。
涙が出て止まらなかった。
あれからもう4年たっても『千の風になって』を聞くと辛い。

昨日の朝日新聞の天声人語にポーランドのノーベル賞詩人シンボルスカの詩集『終りと始まり』の一節が載っていた。

またやって来たからといって
春を恨んだりはしない
例年のように自分の義務を
果たしているからといって
春を責めたりはしない

わかっている わたしがいくら悲しくても
そのせいで緑が萌えるのが止まったりはしないと・・・

訳者の沼野充義さんによると、これは夫の死を悼んだ詩だそうだ。
自然は色をかえすのに人は戻らない・・。(一部引用)

私が父に言いたかったこと、それはだんだん身体の自由が奪われていった父が全身を振り絞ってようやく出したことばと、哀しそうだけどとても優しい目で私を見つめたことへの私の想い。
ベッドに添い寝をしていた私の頭を、動かない手をようやく動かしてなでたこと。
それはいつまでも忘れない、そして誰にも言わない父と私の最後の秘密だということ。

私は父が亡くなってから声を出して泣いたことがない。
父の死を悲しんで涙があふれても、悲しみを声に出していない。
全部自分の中へと、またしまいこんでいる。
だから、だからいつまでも父は私の中にいる。

いつかは声にだして泣かなければならないと思う。
そうしなければ、父はいつまでたっても『千の風』になれないような気がする。
自由に空を飛びまわり懐かしい人々の所へ行けない気がする。
でもまだ私は泣けない。
だから私はまだ父を独り占めしている。


コメント
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