fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『坂の上の図書館』(池田ゆみる)ーさ・え・ら書房

2016年08月02日 | 本の紹介
          高学年から

 小学生の春菜は、母と二人で、自立支援センター「あけぼの住宅」で暮らしはじめる。住む家のない母親と子どもが、自立できるまでの間暮らせる。そのあけぼの住宅のとなりには、市民図書館があり、春菜は、生まれて初めて図書館に入った。
 その一角で始まった、読み聞かせ。
 春菜は立ちつくしたまま、『たなばた』や、『ちいさいおうち』を食い入るように見る。聞く。

 図書館司書をされていたことのある池田さんとお話しをしていて、その読書量に驚いたことがあります。本への愛情が確かなのです。そんな池田さんならではの物語。やはり、書くということは、どう生きているかが現れる。その人ならではの作品というのがあるのだなあと、改めて感じました。

 春菜が一冊一冊本と出会っていく過程と、母子の関係、学校での様子がシンクロしていく過程が、表紙の青い空のように、気持ちよく進んでいきました。

 池田さんは、現在は、鎌倉で「湘南くじら館」というギャラリーのオーナーとして、現代アートの作家に場所を提供してもいらっしゃいます。実は体育系。そして、今回奥付を見て、ドールハウス作家であったことも知りました。
 引き出しがいっぱいある。これから、どの引き出しを引いて、作品を作り出してくださるのか、楽しみです。

 *この物語のラスト近く、春菜は読書リーダーとして、研修会に参加します。そこに講演に来たのが、五島一平という作家。『大地のこどもたち』の作者です。これは、後藤竜二、『大地は天使でいっぱいだ』がモデルだ! というか後藤さんそのものという感じ。こんなところで、後藤さんと会えるなんて。
 池田さん、ありがとう! 

 そして、もちろん「おめでとうございました」

 

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