週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

【連載】異国を旅して -韓国篇4(北村韓屋村)-

2017年04月23日 | ★江戸っ子エッセイ★




【落ち葉踏み王様がゆく石畳】哲露


 仁寺洞でマッコリと味噌汁かけご飯に満足したので、安国駅を隔てた北へちょいと腹ごなし。

 北村韓屋村という隠れ(てもないのか)た観光名所だという。

 景福宮と昌徳宮の間に位置し、王族や権力者たちの住む居住地だったそうな。

 朝鮮時代(1392-1910)の末期から最新まで、伝統家屋「韓屋」が多く並ぶ。

 同じアジアでも日本とは違う文化。

 ここは映画のセットのようだね。







 昔ながらの韓国の街並みを見られ、面白い。

 観光の客が訪れるためだろう、お洒落なカフェや雑貨屋もあるからなおのこと楽しい。

 高台からの眺めに気分上々。







 チマチョゴリを着た女性たちもちらほら。

 韓屋を背景に絵になる。

 現存する住宅地でもあるので、こんな看板が。

 そして、ここは急坂ばかりなり。

 坂をえっちらおっちら、ええ運動になるわ。 
 






 マッコリも抜け、喉が渇いてきた

 ガイドMさんに導かれ、茶屋の佳画堂に入る。

 中庭もあり、ほっこりした雰囲気は癒しの空間。

 Mさんオススメのお茶を頼む。

 とにかく真っ赤なビジュアルがすごい。

 ラズベリーのような甘酸っぱい味わい。

 覆盆子(ポップンジャ)茶だというらしい。

 なんでも美肌の強い味方だとか。

 殺伐とした日々の仕事を忘れる瞬間。

 これぞ旅の醍醐味。






 いい具合に夕陽が落ちる。

 あとは下りだけ。

 今宵はまた違う市場へ繰り出す予定。

 口の中もさっぱりしたので、これでまた酒が進むわい。

 ソウルの台所の賑わいはまた次回。

 まだつづく。
 

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大林くんへの手紙

2017年04月16日 | ☆文学のこと☆




【頼りなく傾く椅子が便りかな】哲露


 傾いた椅子。

 その視線から見上げる空に、なにが映っているんだろう。

 手紙がメールに、メールがSNSと言われるものに変化した。

 手紙への回帰も言われる中、面白い実験だと思ったし、その方法論が世界を作り、空想の領域を広げている。

 文香からの手紙より、文香の行動に起因する周りの反応やハレーションが興味深かった。

 そして、文書を交わすだけでない、個体としての心情の交換もまた新鮮だった。

 せいのさん、いつこんな手法を思いついたのだろう。

 誰もが気づくことがないような、内面の心象を拾い上げる名手だと思う。

 言葉にすると、伝えたいものが手から漏れてしまう。

 個人的には、ラストの大林の文は、ない方がかえって完成度が高かった気がする。 

 わかりやすさ、伝えやすさからだと判っていても、言葉にしない伝達にこだわった小説世界だけに勿体なく思った。








 今年は寒さの揺り戻しが続いたせいか、桜が長く楽しめる。

 うちの坊主も、昨夜花見とか。

 来週は春の研究会。

 後輩連れて、参加する。

 またしても、アウトプットでなく、インプット。

 私もいつか、ちゃんとした小説を書きます。

 あしからず。 

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雨上がりの花見句会

2017年04月09日 | ★全国蕎麦屋飲み好き連★




 4月初めの桜祭りは冷たい雨により、一週延期。

 こんなに遅れる花見も珍しい。

 平日の穏やかな日は上野で花見し、i-Phoneの液晶を割った。

 この日もあいにくの雨。

 朝一にチケットを手にいれる頃は、まだしとどに降りしきっていた。

 その割れた画面で皆に連絡をし、花見の句会を開いた。

 土曜の昼下がり。

 たくさんのアルコールと食い物を持って集まる。

 奇跡的に雨も上がり、無事水上バスに乗り込むことができた。







 天 「そよ風に 頬赤らめる 酔いさくら」笑嬢

 
 大量の酒に、持ち寄ったツマミもバッチリ。

 席が埋まるほどの観光客も羨ましいがる酒宴の始まり。

 若い衆が酒を注ぎ、ツマミを配置してくれる。

 素晴らしい活躍。

 なんとも心強いことだ。






 

 地 「曇れども 花見に集まる あたたかさ」花形

 
 毎度のビギナーズラックはあるものの、後輩二人のワンツーは見事。

 ビールも切れ、早くも吉野杉香る一升瓶もなくなる。

 お肉の遣い手、テリー肉丸差し入れの、チャーシュー1kgとメンマもあっという間に空。

 船の間に、白ワインまで到達する。

 笑い上戸の笑嬢さんの差し入れ、イチジクがこれまた辛口の白に合う。

 それにしても、まだ、午後14時なのよ。みんな、よく飲むこと。








 人 「川舟や ぼやり流るる さくら雲」純恋

 
 艶っぽい和服の姐さんも、さらりと人賞に。

 さすが児童文学からAV男優まで幅広い執筆をなさるだけある。

 あっしも見習わねば。
 
 一同、桜橋で上陸。酔って降り過ぎるとこやった。あぶねえ。

 雨の降るなか、朝から陣取りしていた若者たちの勇姿はすごい。

 彼らの根性に、日本人の桜へ対する執拗な想い、これぞ大和魂を感じる。 

 とはいえ我々には悪天候が功を奏し、いつもの築山にシートが引けた。

 ああ、絶景かな、絶景かな。

 





 「散り濡れも 桜花乱舞に 心舞う」肉舞


 本日の集い、なんと独り身が多い。

 そこで、縁結びの神さま、今戸神社へ参詣にお連れした。

 ここは沖田総司終焉の地とも噂され、今戸焼発祥の地とも言われる。

 パンパンっ、と懸命に祈る独身の姿に、日本の良い心を見る気がする。 

 絵馬を冷やかす心は下世話なもんだが、江戸の頃より人の噂話が戯作や芸術になった。

 神社の清廉で、凛とした空気は人の心を癒してくれるってこと。








 「舟遊び ゆらりゆらりと 散る花や」哲露


 一葉も通った墨堤をテクテクと吟行す。

 空は曇るが、皆の心は晴れやかだ。

 スカイツリーをバックにパシャり、菜の花と桜花をバックにパシャり。

 酔っているから、代わり映えのない絵ばかりになっちまった。

 それも愉快から来るご愛嬌。





「辻岡は 桜と眠る アーティスト」水芭蕉


 陽も落ち掛ける頃、恒例の稲垣へ。

 いよいよ句会である。

 〆切は19時までよ、と声をかけると、口数も減る。

 これもいつものごとし。

 質こそ低調だが、明るく心のある句が目立つ。

 転写を手伝ってくれる後輩も現れた。

 モチっと、本気で発句にも力を入れねばなるめえ。

 ご入賞した皆さん、おめでとう。

 ご参加の皆さん、ありがとうござんした。


「初めての 人と観る 花見かな」薬師如来

「船着きて 和服美人は 春めきて」変態公


「花の雲 我を想う日 誕生日」酔徹






 
昨年は王子山で流感にかかり、日本橋川の花見も凍え震えていた。

 今年はこんな笑顔に包まれ、あっしは幸せもんざんす。

 一日一生。

 今日も鼻を啜りながら、同人の作品を読む。

 雨の中、創作への想いを巡らしてみる。

 参加くだすった、 皆さんに感謝。

 紫陽花が露濡れる頃、またやりたいもんだ。 

 次回まで御機嫌よう。

 またよろしゅう。

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再び京都へ

2017年04月01日 | ★江戸っ子エッセイ★




【鴨川にそぞろ歩きの花妓かな】哲露
 

 淀屋橋から京都へ入る。

 久しぶりの京都は晴れ時々雨みたいな変な天気。

 京都タワーは改装中。



 


 菊正宗のみの潔い自動販売機。

 小学生の訓示に、襟を正す今日この頃である。

 子供は素直で残酷で、鋭いのだ。





 今回訪問先の会社へ行ったら、ビックラコイタ。

 なんと、京町家がオフィスとな。

 中庭の手入れなど社員でやっているらしい。

 それにしても、素敵だ。

 こんなところで、原稿に向かったらさぞ筆が進むんだろうなぁ。







 明治元年創業の老舗、田毎へ。

 明太子とろろと、小海老の冷たい蕎麦を頼んだ。

 歩くと汗ばむが、肌寒い。

 ぬる燗を一本。

 五臓六腑に沁みいるとはこのこと。

 美味しゅうございました。



 


 同じ寺町通り近くのアーケードに惹かれて入る。

 お土産を買ったら、その場であんを詰めてくれる。

 昔ながらのほんまの生八ツ橋どす。

 家族にも後輩たちにも好評だった。



 


 京都いえば、鴨川。

 昨年の夏には、上流の貴船まで遠征した。

 納涼の川床は最高だった。

 空は晴れ渡り、着物姿の若者が多い。



 


 間も無く古都も桜の開花を迎える。 

 都をどりなんてのを観てみてえな。

 どぅどすえ。


 


 名古屋、大阪、京都と二日間でよく回った。

 思えば、転職してからまともに休んでいない。

 我ながら、働き者になったもんだ。

 本日4月1日、関東は雪が降るような寒々しい天候。

 花見句会も一週間の延期を決めた。

 いつものランニングコースも、ランナーはちらほらだ。

 みなさん、お疲れさん。

 これからは少しずつ、要領を得て、書き物に向かいたい。 

  

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思わぬ食い道楽の旅。

2017年03月26日 | ★江戸っ子エッセイ★




【肩並べ観覧車みて春感ず】哲露


 大阪淀屋橋で仕事を終え、チェックイン。

 梅田の阪急前でローカルの友人と待ち合わせた。

 予約を済ませていた熟成肉とイタリアンの店【ボノ】へ。

 飲み放題なので、まずはカールスバーグを。

 イタ飯の前菜って好きだ。







 生ハムのサラダに、インカのめざめ。

 どちらもスパークリングによく合う。

 お互い、アラフィフ。

 仕事終え、やや疲れ気味なので、話題もスローペース。

 だが、アルコールの消費ととも、徐々に元気を取り戻す。錯覚か!?






 カラスミのボンゴレが来たあたりで、あっしのお腹は満たされつつある。

 そこへ登場した、熟成肉。

 周りの人もよく食べること。

 みんな胃袋が大きいのね。

 男同士の話。

 悩みを相談されたが、同じような経験で返す。

 学生の友達ってこういうもの。







 ここに来て、話も盛り上がって来た。

 普段は会えない分、このまま別れがたくプラプラと。

 あっしはバーでいい気分だが、彼はまだ食えるとのこと。

 むしろお腹が空いたと。

 さすが年に何度もフルマラソンを走る男。

 そこで、アーケード街で見かけた看板に釣られ、ラーメン【2国】へ入る。

 彼だけ豚骨醤油ラーメンなどすすり、しっかりと炒飯まで食べ、わしは餃子を少しつまんでビールを飲んだ。

 それにしても、たいしたもんだ。

 酒飲みであり、健啖家である師匠を思い出す。

 この街で、戦時下、飢えを忍んだ体験が彼をそうさせたと思っている。

 友よ、仕事の帰り、おおきに。





 思わぬ、食い道楽の旅となった。

 この職業について、美味しいもん食べてんでしょとはよく言われる。

 こんな写真をアップしているとまさにその通りかも、と思う。

 なので、普段は質素におにぎりなどでランチをしてる。

 明日の朝は、京都へ。

 出張の旅はまだ続く。

  

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ひつまぶし

2017年03月20日 | ★江戸っ子エッセイ★




【春風に誘われうなぎ出汁のなか】哲露


 名古屋に出張した。

 テレビ塔の見える広場が気持ちいい。 

 花粉さえなければ、最高なのに。





 名古屋駅に、こんな看板。

 わが編集部がやっているシェフを使った仕掛けがここでも。

 どこもかしこもなりふり構わず。

 ひと昔前の媒体や広告はプライドと気概があった。

 はてさて。





 名古屋といえば、味噌煮込み、きしめん、味噌カツ、喫茶店のサービス。

 そして、あんかけスパだ。

 ここでも、おもろいメニューがずらり。






 シェフがオススメしていたひつまぶしの名店”しら河”へ。

 焼いて蒸す関東とは真逆の、外がカリッと、香ばしい鰻。

 あたしゃ、これが好きなんよ。





 一杯目はおひつをかき回してそのまんま。

 二杯目は、ご覧の通り、わさびと九条ネギ、ノリをかけて。

 ビールが欲しいが、まだ仕事が残っているので我慢。





 三杯目は、同じく薬味に、出汁をかけて茶漬け風にいただく。

 隣の地元とおぼしきおっさんが、鰻巻きを突く女性に話しかけていた。

 ひつまぶしの店は数あれど、この店を選んで正解よ、お姉ちゃんたち。

 微妙な口説き文句を肴に、ゆっくりと茶を飲んだ。

 栄町に降りたのは何年ぶりだろう。

 旅先のうまいもん。

 これぞ旅の醍醐味ですな。

 のぞみに飛び乗って、いざ大阪淀屋橋へ。 


  

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レイパーカーJrを聴いて、メロウな夜

2017年03月12日 | ★江戸っ子エッセイ★




【悲しみも笑顔も聞きし花は咲く】哲露


 春めいてきたある夜。

 後輩の計らいでビルボード東京のLIVEにありつけた。

 「Woman Needs Love」がかかると、あの頃の匂いが蘇る。

 ディスコと呼ばれた箱が楽しかったあの時代。

 街の空気は、煌びやかで、穏やかで、優しい驕りの時代。 

 「ゴーストバスターズ」がかかると、厳格な家庭に育ち常に表情の硬かった友人が笑ったことを強く思い出す。 





 演奏が始まってから終始にこやかで、ユーモア溢れるレイ。

 バンドのメンバーもみんなイカす大人たちだ。

 客層はまた渋い紳士淑女たち。

 仕事帰りに、こうした楽しみを享受できる平和を想う。




 


 6年前。

 こんなことがあった。

 紙面からありえない戦慄が伝わってくる。

 あれから寄付と偽善、絆と分断、嘘と真実がせめぎ合う。

 そして、人々はいつの間にか日常に流され、見て見ぬ振りの無関心がはびこる。

 福島や被災地だけでなく、自分の日常と直結する政治にも無関心になりつつある。

 「慣らされる」、この真の怖ろしさを、欧米、中東、アジア、日本の現状を横目にひしひしと感じる。





 6年前には完成していなかったツリーに、人々は群がる。

 あの日も、花は咲いていた。





 目に見えないのは放射能だけでなく、慣らされて無関心になっていく無機質な心だ。

 何を知ろうとし、何を考えるか。

 行動より先にすることは山ほどある。

 現代は本当にメロウな夜を迎えているのか。

 現実を直視せよ。

 そう自分に問いかけ、今宵もまた酒精をすする。

 合掌。 

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【連載】異国を旅して -韓国篇3(仁寺洞)-

2017年03月05日 | 【連載】異国を旅して






【賑わいの街を冷やかし汁に酔う】哲露


 前回、世界遺産の続き。

 昌徳宮から街まで歩く。

 鍾路仁寺洞。

 昼夜問わず、観光客に人気のスポットとのこと。

 若い人や外国人も多い。






 たくさんのお土産が売られている。

 装いは日本のそれと同じだが、韓国らしい装飾に目を奪われて面白い。

 定番のもの、縁起もの、アレヤコレヤ。





 話題の尽きない、あの人も。

 何を言いたいのか。

 観光の街にこんな風刺が置かれているのが現世韓国事情。






 明洞とはまた違う雰囲気。

 だが、ハングル文字を見ていると不思議な既視感に囚われる。

 ああ、異国を歩いているんだなという素朴で平和な幸せ。






 ツレのM嬢がサクサクと、とある路地を入る。

 知らないとわからん道。





 今、ソウルでも新しい食スポットとのこと。

 看板もソコソコに、こりゃ知らんと入れんわ。

 観光で来ていたら、まず通り過ぎる店。





 その二階へ上がる。

 ソウルのおばちゃんたち次々と入ってくる。

 目当ては・・・。





 昼から微炭酸のマッコリを。

 ヤカンから注ぐのが正統派らしい。

 わしらも地元民のつもりで頼む。

 もっともM嬢は、すでに在住で言葉もローカルだから手馴れたもの。





 とにかく、酒と料理を注文すると、キムチやら野菜の付け合わせが無料。

 飲んべには、まっこと嬉しいサービスだ。

 発泡マッコリのうまいこと。

 昼酒バンザイである。

 そして、ここの目玉がなんと味噌汁かけご飯。

 味噌がけが店で供されるなんて、信じられないでしょ?





 ところがこれが美味いのよ。

 十穀米っぽい米に、無造作に豆腐の辛い味噌汁をかけていく。

 熟成された味噌と甘味を含んだ唐辛子、青い野菜もたっぷりと入れる。

 想像より汁っぽくなく、 なんだかマッコリに合うんだ。

 どっか懐かしく、未体験のグルメ。

 ピリッとした汁飯、マッコリ、辛い野菜飯、マッコリ。

 このエンドレスのループは最強だ。

 これ、ハマった。






 仁寺洞は観光の街。

 だけど、こんな飯屋があるのがソウルの魅力。

 未体験ゾーンの連続。

 案内人に感謝。

 酒付きのお昼も済ませ、次なるスポットへ。

 韓国の旅、まだまだ続きまっせ。 



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創作フレンチのマジックとは!?

2017年02月26日 | 呑み屋探訪(代々木界隈)


『折り紙、フォアグラ』


【フレンチの魔法をかけて寒桜】哲露

 
 予約の取れないレストランに予約ができたので行ってきた。

 代々木上原から住宅街を歩くと、小綺麗な一軒家がある。

 その名は、セララバアド。

 スペインのエル・ブリに始まり、マルティン ベラサテギ、サンパウ、タパス モラキュラーバー、nomaなど。

 名だたる海外のイノベーションフレンチで修行した橋本シェフ。

 ガストロノミーとは、古典であり、食のバイブルと謳われるブリア・サブランの「美味礼賛」が起源。

 ここセララバアドでは、現代版のモダンガストロノミーを提唱し続けている。

 冒頭に掲げた写真は、根セロリの折り紙、味噌を加えたインカのめざめと脂でソテーしたフォアグラ。

 折り鶴はとても食べ物とは思えないビジュアルだ。

 美味しい。だけど、どこに入ったかわからない感覚。



手の込んだ可愛らしいメニュー


『毛玉ビーツ』
 
 
 食前に、温と冷、見事に分かれた不思議な日本酒。柚子がアクセント。

 そして、細く繊細に仕上げたビーツは妖艶で、インパクト大だ。

 口に入れたらあっという間に溶けた。



『林檎とチーズ』
  

 林檎は飾りで、中のチーズで巻いたアイスだけを食べる。

 白ワインに合うが、この段階でデザートを味わった気分。

 

『ペアリングの日本産ワイン』


『冬の大地』 


 黒オリーブのパウダーをまぶしたピュレは大地のイメージ。

 小さな冬野菜が植わっている

 これは、楽しい見た目以上に美味だ。


 
『豚と栗のカルドッソ』


 豚のホホ肉を煮込んだスペイン風リゾット。

 シェフ自ら、たっぷりのチーズをかけてくれる。



『百合根とトリュフ』

 
 百合根のエスプーマにトリュフの香りのミルクの泡。

 黒トリュフを贅沢に散らしてある。

 鶏の出汁が後から広がる。




 焼いた石に乗せた海藻、海辺に立った印象を与えてくれる。

 蓋を開けると、帆立、洋梨が燻製に。

 トマトなど野菜とナッツのソースが複雑に絡まっている。



『紀州の鴨と黒にんにく、葱など』


 鴨とネギの相性は当然ながらいい。

 白葱に入っているソースは、葱の緑の部分をソースにしたもの。

 林檎のピュレをつけていただく。

 葱を焦がしたパウダーが撒いているのが斬新だった。


『モンブラン』


 白いメレンゲの板を退けると、栗のモンブランクリームがある。

 いちごには、結晶を形どったシュガーか。

 この前に、写真を撮る隙もなく『白い吐息』が出た。

 早く口に入れて、シェフ。

 舌が凍傷になるほどに瞬間冷凍したマカロン。

 ミントの香りがしたが、舌が痛かった。

 淑女の鼻から機関車の息が、恋も冷める。




『ミニャルディーズ』


 曇りガラスの向こうは、どこの街。

 宝石箱の中に、デザートがたくさん敷いてある。

 普段から甘いもんを食べないわしには多すぎた。

 白ワインの次に、八海山が出たり、ペアリングは面白いが、なんせ飲んべには量が足りない。

 シェフのマジックに酔った一夜。

 この業界にいるからにはこうしたイノベーションフレンチも知らなくてはいけない。

 しかし、胃のどこに入ったかわからない下町育ちにわし。

 家について、茶漬けをすすったのはご愛嬌。

 ごちそうさん。 

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「シニアの品格」を読む

2017年02月18日 | ☆文学のこと☆




【都鳥 春一番の 飛翔かな】哲露


 珍しく話題の本を手に取る。

 59歳の主人公は、アメリカ駐在の支社長という輝かしい経歴を持つが、部下のセクハラのため本社の内勤につく。

 シニア人材と呼ばれる屈辱に満ちた一年を過ごしてきた。

 このシニアという言葉、日本では老人、老化の象徴のような響きだ。

 しかし、ネイティブの間では、年長のほか、上級という意味合いもあるそうだ。

 決して高齢者という意味づけだけでないのだ。

 自己顕示欲が強い東条は、職場でも家庭でも人の話を聞かず、いわば地位を利用して強引に仕事を進め、生きてきた。

 力のあるうちはいいが、立場を失くすと企業では辛いもの。

 そんな時に、テニススクールで出会った一人の老人を見かけた。

 思い悩んだ挙句、「古井戸よろず相談所」という看板を掲げた奥野家を訪れる。 





 二人の他愛ない対話が始まる。

 会社の上司(年下)の愚痴、妻との不和を話し、助言を求める東条に対し、奥野老人はただ聞いて話を促すだけ。

 性急に答えを欲する東条に、自ら考えることを教えていく。

 人の話を聞き、相手の立場や考えを深く理解する。 そこから全ての関係が始まる。

 さすれば自然と人は心を開き、真の意味での交流が持てるのだ。 

 相手の欠点ばかりをつくのではなく、むしろ逆手にとって、良いところを活かす手法に目から鱗になった。

 よくある指南書、上目線の新書の類は得意としないし、読む価値すら感じないが、

 このシニアの品格、老若男女、すべての悩める人に勧めたい。

 最近、若者より電車やスーパーで、勝手気ままに振る舞う老人を見かける。

 暴走老人になる前にこの本を開いてほしい。

 聞くことができる人間のすごさが体感できる本。

 これこそがまさに、人間の尊厳のあり方であり、品格だ。 

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ああ、懐かしのメトロに乗って。

2017年02月12日 | ★江戸っ子エッセイ★




【地下街の煙の匂い枯れてなお】哲露


 浅草に暮らして○十年。

 幼い頃から慣れ親しんだ黄色の電車。

 毎週のように親に連れられ、銀座で映画を見たり、渋谷で人工の満天の星を眺めたりした。

 その帰り、浅草駅に近づきカーブを畝ると、地下鉄の電燈が一瞬切れる。

 幼心にずっと不思議だった。

 親に尋ねたこともあったかもしれないが、記憶の彼方だ。

 この時代のことは構想にあるが、まだ書けていない。

 メトロに乗ってなんて望郷薫らす映画もあったが、何と言っても浅草ノスタルジーの極め付けシネマは【異人たちの夏】に尽きる。

 片岡鶴太郎と秋吉久美子の昭和初期の親ヅラがなんともはまっていた。

 何度見ても発見のあるホラーであり、メランコリックでありながら、遥か遠いあの日を思い出すようで好きな作品だ。


 


 あの日の僕はどこに消え、いまの僕は何者になったのだろう。

 親父に手を引かれ、黄色の地下鉄に乗って出かける。

 それだけでエンターテイメントの入り口と思っていた。

 銀座のデパートにマクドナルドが出現した頃から、現代の凋落へつながる傾斜が引かれたのかもしれない。

 今や百貨店も風前の灯火。

 銀座の松坂屋も外国人向けのバスターミナルに変質する。

 変わることは時代の必然とはいえ、このスピードの速さに果たして人は付いていけるのだろうか。

 善か悪か。

 それは後世の人が考えること。

 わっしはそそくさと、地下街のソース焼きそばで一杯の酎ハイを引っ掛けるのみ。

 銀座線の旧1000形のお披露目。

 昭和世代には、ぜひこの機会にノスタルジーを味わってほしい。 

  

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【連載】異国を旅して -韓国篇2(世界遺産昌徳宮)-

2017年02月05日 | 【連載】異国を旅して




【権勢の面影残る紅葉かな】哲露


 ソウル滞在二日目の朝を迎えた。

 ベイトン東大門ホテルの部屋からNソウルタワーが見える。

 特別市龍山区の南山公園の頂上にあることから、かつては「南山タワー」と呼ばれた。

 タワーの高さは236.7mで、南山と合わせると、479.7mの眺望となる。

 滞在中、ソウル市の随所から見えたランドマークだ。

 コンビニの飯はマズいと、ガイド役の作家Mさんから聞いていたので、朝からカップ麺をすする。

 朝早い集合だからそれで済ませたが昨夜の市場飯との落差が激しく、やはり外で食えばよかったと後悔。

 旅の二日目の朝から学ぶこと多し。


 


 安国駅で、
Mさんと待ち合わせ。


 ハングル文字に四苦八苦しながら、地下鉄を乗り継ぐ。

 外は快晴。

 危惧していた気温も穏やかだ。





 本日の観光は、世界遺産の昌徳宮(チャンドックン)。

 1405年に建立され、約270年に渡り正宮として使われた。

 朝鮮王朝の中でも、極めて美しい景観で名高い。

 自然の地形に沿って建物が造られており、優雅な庭園と相まって癒しの巨大空間を演出している。







 外国人のための通訳サービスも充実していて、日本語で案
内をしてもらう。

 流暢な日本語で、時折ジョークを交える達者ぶり。

 王宮の歴史を、とてもわかりやすくガイドしてくれた。

 写真は、ソウルに現存する最古の正門。 

 動物の石像がのるのは、やはり最古の石橋、錦川橋。 

 都会からほど近い場所に、こんな庭園式の王宮があるなんて羨ましい限りですな。







 ご覧のように、カラフルな木々のコントラストが素晴らしい。 

 そう、東京より緯度の高いので、葉の色付きが早いのだ。

 まさに、ドンピシャで、異国の紅葉を楽しめた(註:2016.11.10) 。

 なんと贅沢の極み。




 



 地を象徴する四角い池の真ん中に、天を表す丸い島が造られたのは、芙蓉池(プヨンジ)。

 芙蓉は蓮を意味し、夏場の池には蓮の花が咲くとのこと。

 天からの眺めも蓮に見えるとも言われている。

 
蓮の天井。

 汚い水に、綺麗な花を咲かせることから、聖人君子と言われるらしい。

 「宮廷女官チャングムの誓い」で、チャングムが散策をしていたのがこの場所とか。

 韓流ドラマ好きにはたまらない聖地ってわけだ。

 わしとMさんも、チャングムになりきって眺めてみた。

 女官には、はたして何が見えたのか。





 

 一枚の岩を削って造られた不老門(プルロムン)。

 王様の長寿と息災が願われ、この門を潜ると年を取らないという言い伝えがあるとか。

 愛蓮池の奥には、東屋愛蓮亭が鎮座。







 東屋の天井はどれも優美な色彩。

 屋根
は丸(空)天井は八角(人)と四角い建物(地上)と織りなす。

 かつての王宮の権勢を象徴しているようだ。

 どれも保存状態がいい、世界文化遺産になった一つの理由だろう。







 日よけの工夫なども、よくできたもの。

 冬の寒さから韓国の人々を救ったのが、このオンドル。

 部屋の下に火を焚いた、現代でいうところの床暖房。

 マイナスが冬の常時である厳寒を生き抜くための生活の知恵。

 ただ燃やす材料によっては、煤だらけになったそうな。

 韓流オンドル。

 一度、体験してみたいものだ。





 映画のワンシーンのような二人。

 どうやら王様とお妃になりきったアジア人。

 種明かししなければ、それっぽいでしょ。

 ちなみに、ガイドさん曰く、

 「1
番偉いのは、四代王様セジョン。ハングル文字作ってお札にもなっている。2番目は22代イサン」

 そう、あのイサンとのこと。







 建物の様式が特徴的。

 三国史記やら、過去の歴史が組み込まれている。

 また日本の建造物との対比も面白い。

 まさに文化の交流がなせる技。

 政争に明け暮れず、こうした平和な交際ができないものか。





 24代王・憲宗(ホンジョン)が後宮(フグン、王の妾)のために建築した楽善斎は、

 最後の皇太子、李垠(イウン)に、梨本宮家から方子(まさこ)が嫁ぎ暮らした場所。

 木を凝らした素朴な感じがある。

 海を渡り、異国の人に囲まれながら、方子はここで生涯を閉じる。

 何故、帰国しなかったのか。

 皇太子亡き後の、孤独に苛まれた日々を思う。

 彼女はどんな心境で晩年を過ごしたのだろう。
 





 秋真っ盛り。

 異国を感じさせない多彩色の紅葉。

 神様からいただいた大切な1日。

 柿の木に人々が群がり、笑顔が見られる。

 人種も、肌も、言葉も、文化も違えど、四季が織りなす造形美への畏敬は普遍だろう。

 その感覚が世界を取り巻く不穏を、払拭することを願う。

 異国の旅、まだ続きます。

 

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食と浮世絵のデジタルアートを体験

2017年01月29日 | ★江戸っ子エッセイ★




【蔦重の思いが動く絵の世界】哲露


 「食神さまの不思議なレストラン展」と「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」が本日からスタートした。

 これは日本橋兜町・萱場町を文化で活性化させるプロジェクトの一環。

 古いオフィスビル一棟を、カナダの「モーメントファクトリー」が世界最高峰のデジタルアートで魅せる。

 私の会社もこのプロジェクトに参加しているため、前日の内覧会で体験してきた。






 すべて映像であるため、静止画で伝えるのはむずかしい。

 日本にはない基板が無数に置かれ吊るされ、体験したことのない映像が映し出される。

 体温に呼応して変化する光の粒が新鮮だ。

 巨大なごはん茶碗には200kgの米が入り、手を差し込むことができる。

 幼い頃米櫃に手を突っ込んで叱られたことが、ここでは単純に楽しめる。

 米を触ると、癒しの音の中、水田が優雅に波打つ。 

 実に不思議で、神秘的な体験だ。





 様々な食のデジタルアートの後は、出汁香るレストランが待っている。

 中東氏(野草一味庵「美山荘」)、村田氏(京料理・懐石料理「菊乃井」)、ジョエル・ロブション氏。

 錚々たる料理人が監修した和食が味わえるのだ。







 
 ふんわりとカニ餡をのせた稲庭うどん。

 具沢山のいなり寿司、山椒を効かせた玉子焼きをつまみに、辛口の酒をいただく。

 絶妙だったのが、甘酒。

 爽やかな米麹を、紫蘇、いちご、グレープフルーツの三種の味で楽しめる。

 これは旨い!

 こんな甘酒なら、往時を偲ばずとも現代の夏バテにちょうどいい。






 お披露目では、片岡愛之助氏と乃木坂46松村氏、若月氏が、デジタルアートの声として登壇。

 イベントに華を添える。

 食神さまに続いて、江戸の秘密展へ。





 新吉原の大門を潜ると、花魁道中に遭遇する。

 格子をぐるりと回る。

 360度、当時のスターである花魁が闊歩していく。





 魚河岸のある日本橋には、参勤交代の大名行列がこちらへ続いてくる。

 橋のたもとには、首が晒され、下の犬たちに、男女の心中を見てとれる。

 浮世絵に隠された符丁を読み解くのも一興だ。








 歌舞伎の天井桟敷、役者のブロマイド、版画の再現。

 浮世絵をスーパーデジタルで表現している。

 老若男女、国籍を超えて、誰もが一瞬で理解できる内容だ。

 江戸湾が広がる大海原では、広重やら北斎の世界が潮騒とともに大胆に迫ってくる。

 巨大なLEDが贅沢に使われている。

 隠し絵も用意され、こりゃあ飽きないわ。

 音と相まって、いつまでも見ていたい欲求にかられる。





 地元、大川では梅が紅い香りを振りまいている。

 梅は〜咲い〜たか、桜はまだかいな。

 あっしの仕事であるグルメサイトが監修し、トップシェフによるスイーツの販売も用意している。

 茅場町にはOLさんも多いが、甘いもんのお店が少ない。

 ミシュランの星を持つシェフのオリジナルスイーツは2月20日から始める。

 通常の「見る」だけの展示会でなく、「触る」「聞く」「嗅ぐ」「食べる」といった五感で楽しむ新しいアート展だ。

 この不思議で貴重な体験は春を跨ぐこの時期だけ。

 https://tabegamisama.com

 みなさん、お江戸日本橋をぶらりと渡ってはいかが。

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【連載】異国を旅して -韓国篇1(鷺梁津水産市場)-

2017年01月22日 | 【連載】異国を旅して

 

【忘却の異国を胸に秋の朝】哲露


 職場の移籍を機に、再びの国を目指す。

 海外は11年前、前職占い本のバブル真っ盛り、社員旅行で行ったラスベガスが最後。

 そして、前回韓国を旅したのは、15年ほど前だったか。

 明洞の早朝、旨そうな匂いに誘われて入った韓国語だけのローカルの店。

 オムニの笑顔、優しいコムタンの味を鮮明に憶えている。

 後のことは大概忘れてしまったから、五感の中でも味覚、嗅覚というのは侮れない機能なんだと思う。

 12年勤めた会社とおさらば。

 新たに10年パスポートを手に入れた。

 束の間、神様からの休暇。





 成田へ向かう途中、同行するはずの友人からキャンセルの報。

 予期せぬ、ひとり旅に、ちょっぴり心細さを憶える。

 ええい、ままよと、限定恵比寿で乾杯。

 しばし、グッバイ、わが祖国よ。

 いざ、イムジン河の国へ。






 玉突きの滑走路を飛び立つ。

 霞ヶ浦を一望し、気流の安定しない千切れ雲を抜ける。

 果たしてそこは、眩いばかりの雲海。

 雲上の愉悦、久しぶりの海外。

 乱気流に機体は上昇下降を繰り返す。

 気弱が徐々に消え、かつての無鉄砲、突進ぶりが蘇り、胸の高ぶりが始まる。

 エジプトから陸路でイスラエルに向かった、あの感覚。

 不安より期待。

 旅が始まったのだ。


 


 空港であらかじめ、DLした簡易韓国語、ソウルの地下鉄MAP、翻訳アプリを眺める。

 アラフィフのメモリーは、すぐに機能しない。

 通路側に寝ていた女性が化粧を始めた。

 脱いだ靴の上に、マリオの靴下が載っている。まさか阿部さんのファンではあるまいな。

 イミグレーション用紙に記入するのに、その女の子にペンを借りる。

 機内では、韓国語、日本語のアナウンスがある。

 感覚を取り戻せ。





 空港から市街への直通列車に乗る。

 15年前にはなかった未来がそこにある。

 ソウル駅で乗り換え、東大門へ向かう。

 仁川空港で借りたwifiは、快調!

 現地の友人にLineで到着の旨を伝える。

 全く便利になったもんだ。






 地下をかなり歩き、宿泊ホテルの出口へ。

 帰宅ラッシュに遭った。

 不意に韓国の日常に飛び込んだ感覚が微妙に嬉しい。 





 ホテルでシャワーを浴びて、街へ出る。

 交差する駅近で待ち合わせした友人が連れてきてくれたのは、鷺梁津水産市場。

 巨大な海のマーケットは、新旧入り混じり、どこまでも続く。

 ベテランとニューフェイスが隣り合わせの市場ビルを歩くと、築地の移転を連想してしまう。

 昭和のおっさんは、歴史を感じる旧市場に惹かれた。






 大きな水槽から海が溢れ、宇宙人のような生ダコのえぐい迫力に視覚を奪われる。

 いやー、食好き、料理好きはいつまで見ても飽きないね。

 大小の魚をアレソレと、売り場のおっちゃん、おばちゃんと会話を楽しむ。

 大ぶりの生牡蠣、生ダコ、アイナメを一尾買う。

 ここで買った海の幸を、切り分け、調理して、二階の食堂で味わえるのだ。







 二人では多すぎる牡蠣、山盛りの丸ごと一尾のアイナメの刺身、踊る生ダコ。

 醤油わさびもあるが、韓国流に、辛子味噌が通っぽい。

 Hiteビールで喉を潤し、ソウルでの再会に乾杯す。

 市場の喧騒以上に、食堂のサラリーマンたちの咆哮がすごい。

 呑んべえは、万国共通、新橋と変わらんね。






 この国で嬉しいのが、どこでも付け合せのキムチがサービスなことだ。

 そう考えると、日本の居酒屋でも、漬物サービスが欲しい。

 ノロなどなんのその、海のミルクたっぷりの生牡蠣にかぶりつく。

 舌に吸い付く生ダコの吸盤、捌きたての白身の新鮮に酔う。

 これに甘すぎない微炭酸のマッコリがよく合うのだ。 





 マッコリに飽きたころ、合成酒のチャミスルに。

 やはりあっしは、甘味の入らない酒が好ましい。

 けだし、郷に入れば郷に従え。

 へえ、心得ておりやす。





 さすが市場だけにアラも無駄にしない。

 ほっちゃる骨、頭を入れたアイナメ鍋で、脳が停止するほどお腹がいっぱいに。

 その辛いスープをメウンタンという。

 酔い覚ましに、夜の街をぶらつく。

 東京の治安の良さはよく言われるが、一見隠微に見えるこのあたりも平和そのものだ。







 結局、呑んべはダメね。

 夜灯りにつられ、今、韓国で人気という店へ。

 あんだけ飲み食いして、二次会は揚げたチキンで飲むという。

 韓国人のタフさに悲鳴をあげつつ、今度はCASSという銘柄のビールへ突入す。

 なるほど、見た目よりあっさりした胸肉のスパイスに、酒が進むのね。

 財布に優しい韓国の食材、訪韓初日にすっかりハマった。

 夜は更ける。





 ホテルに戻る道すがら、街のイルミネーションが美しい。

 眠らない街、ソウル。

 明日からどんな出会いが待っているだろう。

 ホテルのTVに、韓流スターのドラマやバラエティーが流れる。

 ハングルをBGMに、沢木耕太郎の深夜特急を読む。

 アンニョハセヨ、ソウル。

 再会に乾杯!

 韓国の旅はまだ続く。


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2017年高校サッカー決勝戦

2017年01月15日 | ★江戸っ子エッセイ★




【成人になる前の汗芝を蹴る】哲露


 1月9日、埼玉スタジアム2002に向かった。

 第95回になる、高校サッカー選手権の決勝なのだ。

 昨年はKING KAZU、今年の顔は岡崎選手。

 気温はいつもより暖かい。





 浦和美園駅を降りて、楕円の競技場へ一直線に歩く。

 巨大な建物にありがちで、目の前にデンとあるのに、なかなかたどり着けない。

 ラスベガスに行った時も、あっちのホテル、こっちの劇場、そっちのカジノと遠かった。






 やはり広いし、天然芝の競技場は見るだけでも素敵だ。

 この日は、4万人以上の満員御礼。

 大学サッカーの決勝の閑散に比べて、人気のありようが伝わる。





 選手権の今年の歌は、家入レオが熱唱。

 心地よい声が、スタジアムに響き渡る。

 闘いの気分が盛り上がってきた。





 青森山田 vs 前橋育英。

 前半は、前橋優勢。

 パスも、ドリブルも上手いし、連携が取れて気持ちいい。

 ただ、決定力に欠けた。

 そうしてるうちに、青森が対策を立て直す。

 そして、1点、2点と入っていく。





 終わってみれば、青森の圧勝。

 大学選手権の日体大同様、大味な試合になってしまった。

 かつては、追いついての大逆転、もつれてPK戦が多かった。

 これはどうした傾向だろう。

 こういう結果だと、みている方はつまらない。

 圧倒的な格差。

 まるで今の社会を写したよう。

 会社は少しずつ慣れてきたが、何処も課題は山積みだ。

 とはいえ、刺激をいっぱいもらっているよ。

 高校生の汗、もっと感動をもらえるような試合が見たい。

 おっさんも、もう少し汗を流すことにしよう。
  

  

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