週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

リジェクションを読んで。

2016年11月27日 | ★江戸っ子エッセイ★


    リジェクション
    佐藤まどか著


【拒絶とは心の葛藤銀杏踏み】哲露


 秋たけなわ、それとも初冬に入ったか。

 酉の市も二の酉を過ぎると、今年も冷える習わし通りだ。

 予てから読みたいと思っていたまどか氏の「リジェクション」を読む。(この先ややネタバレ)

 主人公はミラノの美術高校に通う16歳の女学生アシュレイ。

 ネイルガンで心臓を打ち抜かれるという凄まじい事故の後、他者の心臓を移植される。

 その若きドナーの心臓を拒否する反応が、リジェクションというらしい。

 移植後に性格が全く変わってしまったアシュレイ。

 よく聞く話だが、興味をひく。

 ありきたりな言葉でしか対応しないカウンセラーや医者にうんざりしてしまう。

 人間は規定を外れると拒絶するのは万国共通らしい。

 ある日、図書館で読んだ米国の脳神経学者の記述に激しく納得する。

 「・・至福体験は、脳に記憶されると同時に、血液や器官、筋肉、組織、および骨格に生じる」

 この言葉に、アシュレイは自分の中にドナーの記憶が入って来ていると確信する。

 読者である私も至極頷いた場面だ。

 そして、物語は進み、A1ライセンスでは乗ってはいけないはずの、

 125ccだが出力のデカい単気筒2ストロークでボローニャ地方へ向かう。

 ところが、思わぬ交通事故に遭遇し、モデナとボローニャの間の小さな町に降りる羽目に。

 そこで出会ったのが、運命の人、ルカだ。

 療養の話ではなく、旅にこそ物語の何かが潜んでいると思ったが、

 まさか死体を運び事件に巻き込まれていくとは意表を突かれた。

 自分ではうかがい知ることのできない、等身大のイタリアの姿がそこにある。

 あー、面白かった。

 それにしても、女も男も内面までよく書けているなぁ。

 また、バイクの記述が詳細で気になった。

 原作者まどかさんのライダー姿が目に浮かぶ。

 まさに時速200kmで読み切ってしまった。

 アシュレイとルカのその後が気になる今日この頃である。





 外苑の銀杏並木が見頃。

 新しい職場から散策できる。

 分科会で推薦していただいた小説を入稿。

 読むこと、書くことだけは、やめられない。 





 こちらは横網公園の銀杏並木。

 北斎展をやっている。

 まさに芸術の秋ってわけだ。 


  

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時の過ぎゆくままに☆

2016年11月20日 | ★江戸っ子エッセイ★




 過ぎ去りし、10月某日。

 荒川を走る。

 吹く風は穏やかで、12年ぶりの有給休暇というのを楽しむ。

 実際、同僚や世間の皆さんは仕事している方がほとんどだから、心は休まっているようで休まらない。

 それでも、室内にいるよりはマシと、走ることにした。


【ぶつかって避けて走った秋の土手】哲露



 どこまでも真っ直ぐな道。

 走るようになって初めてフルマラソンを走ったのもこの荒川だった。

 6月という気候の初チャンレンジは、今思えば無謀のひと言。

 全身から塩が噴き出して結晶となり、炎天下なのに寒気がし、仕舞いには心臓がばくばくしていた。

 あれは、熱中症というやつなんだろう。

 それでも完走したら、それまで感じなかった別種の何かが見えた。

 あれから、何年経ったろう。





 貨物船の駅の名残か、国鉄のような案内看板が随所に立つ。

 江戸の頃は、千葉や全国からこの川を下り、上って荷が届いたという。

 まさに交通の要所だ。

 そんなことに思いを馳せて走る。

 晩秋の陽光だが、どこまでも優しい。





 ついに東京湾へ出る。

 遠くに見えるのは、葛西臨海公園の観覧車。

 川幅は優雅に広がり、潮の香りが鼻腔を刺激する。

 ああ、ここまでよく走ったなぁ。

 両手を広げ、胸いっぱいに潮風を吸い込んだ。





 一年ぶりに描いた小説世界では、主人公が荒川を走る。

 川沿いに野球場とサッカー場が上流まで続く道。

 土手には、犬を釣れる人、走る人、猛スピードでスポーツ自転車が過ぎ去る。

 まもなく日が沈む。

 ボールを蹴っている親子が微笑ましい。





 12年間走ってきた会社を辞めた。

 出版社に転職して20年以上、この業界に携わってきた。

 国内はもちろん、海外も単独で取材に飛び回った20代が懐かしい。

 スーパームーンから二日後。

 新しく勤め始めた会社の帰り、クリスマス色のツリーと屋形舟が祝福してくれた。

 版元を離れるのは、いい仲間と別れることでもある。

 一抹の寂しさはあるけど、前に進むと決めた。

 これからは、尊敬する兄貴とともに、グルメサイトを盛り上げていく。

 もうアラフィフ。

 気張り過ぎず、飄々と、柳のように生きていきたい。

 時の過ぎゆくままに。  

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「セカイの空がみえるまち」を読んで

2016年11月08日 | ★江戸っ子エッセイ★


  「セカイの空がみえるまち」
  工藤純子著 くろのくろ画


【冬枯れのホームに匂う異国臭】哲露


 久しぶりに読書の時間が持てた。

 工藤純子氏の新刊を読む。

 本を開く前に、仕事柄で表紙の装丁をまじまじと見てしまう。

 まずタイトルに惹かれる。

 セカイを、世界としないこと、みえるまちを、見える街としないことにこだわりを感じる。

 カッコいいと思った。

 絵もいい。

 期待に急かされるまま、ようやく頁を捲る。

 新大久保は、大好きなサムギョプサルの店があり、15年くらい前から通っている。

 ここでも触れられているように、その間嫌な事件がいくつも起こった。

 怪しさと活気、隠微と表層はいつでもどこでも同居する。

 新宿歌舞伎町の隣町、多国籍が織りなす怪しさが人々を惹きつけて止まない。

 韓国アイドル好きが高じて、異国の言葉を話して暮らす人がいる一方で、

 安いナショナリズムを声高に踊る輩もいる。

 今や抑圧され肥え太った巨大な怪物が、世界中で安易な道を選ぼうとしている。

 もう目を瞑り、知らん顔をしている時は過ぎた。

 現状と真実を知り、深く広く考えることが喫緊の課題だ。

 そして本論に戻せば、小説を書く上で、無駄な文章を省くことは常に命題として存在する。

 私が知る限り、作者の中でも傑出した文章が連なる。

 それにしてもこの骨太のテーマによくぞ挑んだものだ。

 読み終えて思ったのはまずそこ。

 工藤氏の常時の言動を見ていれば判ってたはずなのに、改めてその潜在力に驚かされる。

 丁寧な街の描写が物語をリアルにしている。

 間違いなく現時点での彼女の代表作だろう。

 主人公の高杉翔、藤崎空良の周辺の人々の魅力が満載だ。

 物語の大きな流れの中の、それぞれの小さな物語が重いはずのお題を小説世界として見事に結実させている。

 もっとこの世界を知りたい。

 同人の工藤氏に書くことの大切さを教えられた。

 ただ一つ、工藤さん、ひとみは三丁目の住人だと思ってたよ。

 その当ては見事外れたが、このお話しに厚みを持たせた一番のキャラだと感心した。

 やっぱり小説は最高のエンターテイメントだな。

 そう思えたことが何よりも嬉しい。


  

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「まんぷく寺でまってます」を読んで。

2016年11月03日 | ☆文学のこと☆


  「まんぷく寺でまってます」
   高田由紀子著 木村いこ絵 
   

【山寺のブランコ揺らし秋の暮れ】 哲露

 
 週末、高田由紀子氏の新刊を読む。

 佐渡の情景が全編に溢れる力作だ。

 郷土愛に満ちた筆致で、そこに暮らす人々の営みを丁寧に描いている。

 家業であるがゆえのリアルがすごい。

 私の町も寺が多く、中学時代は寛永寺の墓地が延々と続く道を通っていた。

 部活のあと、暗闇を歩くと確かに薄気味悪い。

 美雪の素直な言葉に共感したが、寺が自宅の裕輔にとってはそれが日常なのだ。

 亡くなった人は空でなく、お墓から語りかけてくる。

 掃除をする裕輔を労う声は異界との交信というより、人を想う愛に満ちている。

 この作品の中で最も好感を持てたくだりである。

 彼女の故郷という舞台設定も相乗し一気に高みに上った感がある。

 謙虚の中で貪欲に学ぶ姿勢を貫いた証だろう。

 そしてここでも継続の力をまざまざと考えさせられる。

 書き続けたものだけが得られる愉悦。

 地元では静かなブームとして飛ぶように売れているらしい。

 未だ知らぬ佐渡のお話し、仲間の筆で読めるって幸せだな〜。

 お祝い会の時は未読だったので今更なんだけど。 

 高田さん、おめでとう。

 次作が楽しみだわ。 

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いざ貴船の納涼床へ

2016年10月27日 | ★江戸っ子エッセイ★




 嵐山つづき。

 祝って飲んで走った翌日の朝。

 旅館の朝飯を食らう。

 これぞ正しい日本の朝ごはん。

 鮭の干物、納豆、漬物、梅干し、がんもどき、温泉卵、白いご飯とお味噌汁。

 もはやいうことはない。

 しばし二人には広すぎる部屋で寛いでから、また渡月橋へ。


 
 


 レトロチックな車両に乗って、嵐山を発つ。

 バイバイ、嵯峨野よ。

 また逢う日まで。



 


 さらにローカル線叡山電鉄へ乗り込む。

 かねてから行ってみたかった貴船の納涼床。

 電車内では、岩手とコラボした写真コンテストが行われていた。

 南部鉄を使った風鈴は我が家にもある。

 見た目涼やかな江戸風鈴もいいが、澄んだ音色は南部鉄器にはかなわない。

 盆地の夏に涼感をもたらしてくれた。






 貴船口の駅を降りて歩く。

 男の旅は、なんといっても歩きなのだ。 

 川の瀬音をBGMに、ホタルの岩を通過する。


 


 見えてきた、きた。

 あれが夢にまでみた納涼床か。

 いくつかお店があるので、下から吟味していく。



 



 テレビで見た神社を参拝。

 やはり映像で見た清水につけて占う光景を目の当たりにする。

 俺たちはやらなかったけどね。





 道を歩くと思わぬ発見がある。

 巨大な大木に女性が。。。


 


 ついに来ました、納涼の床体験。

 まだまだ歩いて登ると汗を掻く九月初旬の気候。 

 床に座ると、それだけで感じる温度が違う。


【床の下流るる水に今昔】哲露




 


 納涼といったらビールでしょ。

 昨日も散々飲んだのに<これだから酔っ払いは嫌ね。

 なはは。

 定番の鮎の塩焼き、葉唐辛子の漬物、胡麻豆腐、具の入ったソーメン。 

 これで十分。

 これだけでビールを何杯も飲んでしまう。

 ああ、この世の極楽たぁこのことよ。 

 川の流れが足元を落ちていく。

 まさに自然のクーラー。 





 思えば、利江子姐さんのお祝いがあっての極楽浄土。

 都会のストレスあれこれ。

 光化学スモッグの大気。

 せせこましくみみっちい飼われた犬の性根。

 すべてを洗い流してくれた、そんなひと夏の休暇でござった。

 可愛い子には旅をさせろ、とはよく言ったもの。

 幾つになっても、旅はいい。

 京都よ、また来るぜ。

 おいでやすぅ、と聞こえてくるわ。 

 皆さま、ご愛読感謝! 

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嵯峨野の朝。

2016年10月16日 | ★江戸っ子エッセイ★





 嵐山の宿を早朝から飛び出す。

 前夜の酒もなんのその、離れて暮らす友との朝RUNもこの旅の楽しみで来た。

 涼しい山の朝とはいえ、まだ夏の名残で気温は高い。

 軽いストレッチ後、軽快に走り出した。





 天龍寺を駆け抜け、桂川に出る。

 山と川の霊気が生の喜びを与えてくれる。

 鷺が潔く立ち、鮎釣り師がぽつぽつと長い竿を操っていた。 






 名所の渡月橋は遠景から眺めるのがよろしいようで。

 渡って戻って、嵯峨野の竹を目指す。

 台風の影響で雲が怪しいけど、天上の蒼さが清々しい。

 この辺り、ランナーやバイクリストも多い。

 自転車で回っても気持ちいいだろうな。







 船着場の先に、静止画のような川面が輝いている。

 天と水に森の緑が鮮やかだ。

 風の少ない朝の特権だろう。






 猿ってこんなに凶暴なのか。

 人が他の生き物たちの行き場を奪って、何を言っているという本末転倒だ。

 人間様の行いの業は深い。 





【青竹のすっくと伸びる秋の涼】哲露


 憧れだった、嵯峨野の竹林。

 まさに自然界のナチュラルマイナスイオンのシャワーを浴びる。

 汚れきった都会の排気ガスやらストレスやらが溶けて落ちていく。

 涼しい冷気が笹を揺らす。

 駆け抜ける足音だけがざっくざくと木霊する。




 


 洛西随一という、野宮神社のじゅうたん苔。

 京都駅の喧騒から近いところで、こんなものに遭遇できるのが古都の魅力の一つだろう。

 鳥居は黒木で、樹皮がついたまま建っている。

 これぞ原始の慣いそのものだ。

 嵯峨野の宮恐るべし。

 宿に帰って風呂を浴びる。

 朝飯で、名編集者のご夫婦と挨拶を交わした。

 市内を散策するという。

 熱中症にお気をつけを。

 あっし達は、貴船神社の納涼床に向かう。

 次号も乞うご期待。 

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嵐山の夜。

2016年10月10日 | ★江戸っ子エッセイ★





 利江子姐さんのお祝い会の後、嵯峨野へ向かう。

 嵐山駅を降りて踏切を渡る。 

 懐かしい景色に心が和む。

 どうにか尼崎の友と合流し宿へ。

 虹が出迎えてくれた。



 


【七色の人生駆けて嵐山】哲露


 あった、あった。

 出版健保の京都の奥座敷。

 前回はクリスマスに来たから、この季節の雰囲気は初めてのこと。

 柔らかい夕日が旅の疲れを癒してくれる。

 秋に入ったせいだろう、広い部屋に通された。

 男二人には贅沢なほど。

 湯に浸かり浴衣に着替える。





 昼酒を控えていたので、温泉後のビールの旨いこと。

 友との泊まりがけは20代以来か。

 せっかくなので、近所を散歩する。

 嵐山駅がライトアップされていた。

 くまモン列車に、京友禅の光林が映える。
  







 駅はキモノフォレストという粋な装い。

 不思議な球体を囲む光の柱が遠目に幻想的だ。

 大学のイベント、ナイトハイク。

 夜通し歩いた友は今やRUN友。

 何でもあっしがフルマラソンを走ったことが刺激になったとか。

 元陸上部だから、とっとと抜かれてしまう。

 この歳になってのRUNは記録ではない。

 それぞれのペースで走ろうとする気持ちが大切なんだ。

 明日の朝も走るつもりだ。





 渡月橋の灯りに吸い寄せられるように人が集まっている。

 久方ぶりの泊まりがけに酒と話しは尽きない。

 理系の彼、文系の俺。

 あの頃のように彼と旅に出たら愉快だろうな。

 そんな日が来ることを願って飲んだ。

 学生時代の友ってのはありがたいね。

 嵐山の夜に乾杯! 

  

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京への旅 第1幕 利江子姐さん100冊出版す

2016年09月24日 | ☆文学のこと☆




【書き綴る年月褪せぬ仲間たち】哲露


 9月3日土曜日、台風の谷間の快晴。

 同人の大先輩、越水利江子姐さんの出版百冊記念祝賀会が開催される。

 なんと100冊ですよ、100冊。

 少年少女、老若男女に向けて良質で楽しめる小説をこんなに書いたなんて。

 凄い胆力だ。

 一冊すら出していないおいらからしたら天文学的数字でござんすが、
お祝いのスピーチでは、300やら700やら気の遠くなる数字を刻む先達たちが沢山いらっしゃるとのお話し。

 ああ、小説道のなんたる険しいこと。




 
 ということで、とりあえず東京駅から京の都へ。

 のぞみは高いけど快適。

 プライベートの京都は何年ぶりやろ。

 それにしても、山手線並みのダイヤなのに、常に座席が埋まるとは現代人のなんと忙しいことよ。

 さぁて、出立!




 
 あっという間に着いた。

 小説の続きと思ったが、少し音楽を聴いて本を眺めているうちに着いちまう。

 京都駅を出ると、台風が嘘のようなご覧の紺碧の青空。

 古都に燦々と照りつける日差しのすごいこと。

 やはり盆地の気候はハンパない。


  

 素敵なイラストがパネル展示されている。

 その前にいらっしゃいました、姐さん親子。

 早速お祝いを、おめでとうございます!

 100冊の迫力は本の並びでも判る。

 見るのは簡単、書くのは地獄。

 よう頑張りました。







 先般銀座で講演を聞いたばかりの、山川健一さんにホテル入り口で遭遇。

 皆さんのお祝いの言葉に続いて、山川さんもさすがの感動的なお言葉。

 そして、歌あり、ハーモニカありと宴は深まっていく。

 芸達者が揃うのも姐さんの交友関係の広さと深さ、まさに人徳なのだね。







 姐さんの息子さんにもお会いできた。

 ご長女のA子さんにも再会できた。大会へ向けて書いてないという。

 おいらもこの時点で書き出したばかりと励ます。

 ガンバ、Aちゃん。

 土山さん、宮下さんの司会に、同人のお仲間にもたくさん会えた。

 また他にも書き手の方ともお話しさせていただいた。

 まるで結婚式のような盛大なパーティーは、ラウンジの二次会へと続いた。

 
  


 利江子姐さん、よくぞここまで書いてこられました。

 読者一人一人にとって、姐さんの本は宝物。

 そして祝いに集ったお仲間の一人一人は姐さんの宝物。

 本当におめでとうございました。

 これからもお体に気をつけて、ご執筆に励んでくださいまし。

 お招きいただき、光栄でござんした。





 朝一で着いたので、島原まで行ってきた。

 往時、住吉神社に植えてあった大銀杏。

 島原の外も染まるや藍畑、は封建の俳人、嵐雪の一句。




 揚屋の名残。

 角屋は新撰組芹沢鴨が最後の晩餐を過ごした場所。

 世が世なら、酒を飲むのも命がけや。

 新吉原とは違う、町家造りの格子が美しい。 

 文人墨客が通ったのは江戸の遊郭と同じ。

 やはり遊郭は当時の文化の集積地だった。 


 


 ここにもあった見返り柳。

 元は大陸の傾城から模したと聞く。

 一顧傾人城,再顧傾人国。

 男一匹どころか、国をも滅ぼす美女を名残んで振り返った柳。

 何とはなしに切ない垂れ。

 吉原から消えた門があったのは感動もん。

 現代の日常の足、車もビュンビュン通るのはご愛嬌。

 せっかくの景観を損ねる電線だけはどうにかならんもんかね。

 この日は嵐山へ宿泊。旅は第二幕へと続く。 

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游俠沓掛時次郎とモスクの夕べ

2016年09月11日 | ★江戸っ子エッセイ★




【游俠をモスクに誓い秋刀魚食う】哲露

 演劇なぞとんと観た記憶がない。

 能、歌舞伎はちょろちょろ、どこかでアニーを観たし、ラスベガスで観たアバのミュージカルは感激した。

 演劇の体験は学芸会以来かもだが、とても比較にならないレベルだろう。

 西の酔狂な知人から便りがあった。

 ええい、と誘いを断らないのが元来の信条だから初台までトコトコと出掛けた。





 シスカンパニー公演のお題目は、遊侠沓掛時次郎。

 原作は長谷川伸。

 あの池波正太郎の師匠ではないか。

 劇作家北村想が大衆に愛された長谷川を慕ってのオマージュということだ。

 現金なもので、長谷川伸と知り俄かに心が逸る。

 青空に茣蓙を敷き、田舎芝居を見ることはかつて日本各地での原風景でもあったのだろう。

 開始時刻になると、館内の照明が落ち、真っ暗闇に蝉しぐれが舞う。

 一気に作品世界に飛べる素晴らしい仕掛けだ。

 麦わら帽子、スイカ、ソーメンの入ったアルミ鍋、

 長谷川團十郎一座が来た素朴で純粋な日本古来の夏の思い出がそこかしこにある。

 そして主役の段三役、段田安則の太い声とどっしりとした貫禄、

 戸田恵子の凛と響く声音が舞台を締める。

 劇中、長谷川伸の筋書き通りの人生を歩む人間模様が泥臭い臨場感をもって迫る。

 生まれ変わったら、芝居もいいな。

 歌舞伎、相撲、河原乞食と揶揄され差別を受けたた芸能も、今や社会的ステイタスの極みに登った。

 テレビや映画では味わえない、小劇場ならではの親近感。

 生身の役者の動きと汗、息遣いがズドンと伝わる。

 好きなことを頑張っている姿ってのはいいねぇ。

 雪夜の汽笛が鳴り、幕は閉じる。

 現代の天井座敷に酔いしれた。

 さぁて、皆の衆、おひかえなすって・・・






 芸能界は狭い。

 話題のあのメンバーの祝いの花もあった。 

 やはりライブは人間臭くて面白い。

 Yさん、おいらにぴったりな作品と、思い出してくれてありがとう。

 分かっちゃいるけど、意に反して闇に踏み込んでしまう破滅衝動って誰にでもあるのかもしれない。

 創作のヒントにもなった、気がする。。

 心より多謝。 





 劇場から代々木上原まで歩き、山の手のビールの名店へ。

 蕎麦屋呑みの仲間であり、先輩と呑む。

 それぞれ製造法やホップに工夫があるのか、個性溢れる味。

 冷えた大麦は、日本の夏に欠かせない。

 過去、現在、未来といろんな話しをした。

 夕暮れの八幡様で契った約束。





 ここはトルコか。飛んでイスタンブール。

 こんな立派なモスクが都内にあったなんて。

 二軒目に行く前に、大兄に連れられ、瞬時に世界の旅へ。

 広くて狭い世の中。

 まだまだ知らないこと多し。

 日々是修行。

 小説道や如何に。 


 

 
 そして今日は9.11、マンハッタンに黙祷。

 Love&Peace。

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創作と5連チャンの夜

2016年08月28日 | ★江戸っ子エッセイ★


【ホコ天に山から降りた神の声】哲露


 蝉の最後の咆哮と夕闇の鈴虫の音。

 切ない夏の終わりは大嫌い。

 そんな感傷とは裏腹に、日常は情報に溢れかえっている。

 山川さんの呼びかけに、いそいそと銀座のアップルへ。

 歩行者天国の銀座は毎週のように家族で来た年少の頃を思い出す。





 夏休みに読むiBooksと題した講演。

 山川健一氏は言わずとも知れた作家だが、

 文芸評論家の石川忠司氏ともに、東北芸術工科大学の教授であられる。

 山形から登場。

 いつもの親しみやすい口調で始まる。




 
 シェイクスピア、カラマーゾフ、悪童日記。

 シンゴジラの話しも出た。

 iPadの手書き入力を使い、独自の創作論を展開する石川氏。

 それを山川氏が分かりやすく解説してくれる。

 創作についての素敵なヒントがもらえた。勇気百倍、ラッキーなことだ♪

 昨年の秋に山川氏に言われたヒントと掛け合わせて、書きたいと思う。

 小説を書くために家にこもるか、外に出て何かを得るか、それが問題と思っていたが、

 やはり来てよかったよ。

 行動も大切だ。

 書を捨て、街に出よ。





 連夜の会合が続いている。
 
 ある夜は、経営者男女二人とゼネコン一人と飲む。

 歌舞伎町の魚金。

 刺身6点盛りを頼むと、ご覧の12点盛りが現れた。

 サプライズだが、当たり前だのサービスとか。

 散々飲んで、一人4000円。

 居酒屋経営の同期とびっくり、こりゃ恐れ入りました。

 茄子のお新香が絶品だった。





 またある夜は西麻布へ。

 先輩が西麻布ラグビーバーを立ち上げた。

 その名の通り、サクラセブンスも訪れるスポーツバー。

 カントリー調のカウンターもいいし、

 大きなビジョンが眺められるソファー席は快適に尽きる。

 インターネットTVを立ち上げる大先輩は、クールスのメンバーだ。

 壮大なアジア圏を結ぶインバウンド計画。

 夢のような話に花が咲いた。

 どう具現化、マネタイズしていくかだ。

 新吉原につなぐ、山谷堀に猪牙舟を復活させる野望も話した。

 仲良し倶楽部では食っていけない。はてさて。






 雷門通りを京急が走る。

 リオは終わり、浅草のサンバが燃える。

 笑顔と激しいダンス、陽気なリズムに外国人観光客も大勢集まっていた。

 このイベントも35年とか。

 まさかこんなに続くとは。

 助平カメラ親父のおかげか。





 その夜、麻布へ。

 十番祭りは初めての経験。

 若い男女が多い。

 ものすごい熱気だ。

 浅草と客層が違って、刺激的だった。

 韓国人アーティストPlusMと、作曲家の石坂氏らと呑む。

 従兄弟がマジメに働く姿に感動した。

 怒涛の5連チャンが過ぎた。

 今夜は家でゆっくり飲みたい。

 さぁ、走って、そして、書く。

 おいらの夏は終わらない。The endless summer♪ 

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サザンビーチに酔う♪

2016年08月20日 | ★江戸っ子エッセイ★



【烏帽子岩波間に見ゆる恋心】哲露


 久しぶりのサザンビーチ。

 C調言葉にご用心、ご存知のマークに気分上々。

 上野から一気通貫で約1時間。湘南ライナーって便利ね。

 熱射だらけのサザンstに、ローカル御用達のベーカリー「Taizo」がある。

 ここのパンが絶品なのよ。

 惣菜パンからイギリス、フランスの本格派まで。

 とにかく美味くて、しかも安い、これ大事。

 クーラーにエビスとハイボール。

 20代から使い込んだビーチパラソルを広げればそこは真夏のパラダイスなのだ。

 大波小波。

 ボディボードに乗って、茅ヶ崎に飛び込んだ。

 ワォ!







 家族連れからケツの青い若者まで、茅ヶ崎は胸騒ぎ真っ最中。

 海の家では、アームレスリングで大歓声。

 やんちゃな若者が、嬉し楽しやギャルを担いで海へドボン!

 いいなぁ、青春真っ盛り。

 シミやソバカスなんて気にしない。

 パラソルもなしで日焼けするそのプリプリの肌が眩しいわい。


 


 いつか観た海へ飛び込むお神輿が迫力の浜降祭。

 その神輿がサザンstに鎮座している。

 真白い長半纏姿、相州節が耳によみがえる。

 前日の胃カメラでわるかった気分が、浜風に吹かれぶっ飛んだぜ。

 ビーチは四六時中、サザンサウンドが鳴り止まない。

 なんて素敵な真夏の果実なんだ。





 夏気分でベトナムフォーとカレーのセット。

 透明で薄い塩味はナンプラーが効いて、冷えた胃に優しい。

 南国アジアのスパイスで汗腺も全開。

 ココナツ、タピオカ、頭のてっぺんから陽光と、夏のカオスにいつしか心穏やかになる。

 海チャージが足りなかったんだな。

 洪水のような誘いや情報が身辺をざわつかせる。

 どっちにしろ、人生一度きり。

 今この瞬間にやれることといったら、目の前の一つだけ。

 ブログ書いたら、走るってわけ。

 そしたら息子たちがお腹を空かせて帰ってくる。

 幸せのど真ん中に、これからの道はいく通りにも見える。 

 はてさて、スコールに飛び込むとするか。

 秋虫なんてなんのその、蝉よ頑張れ。

 真夏の空に乾杯! 

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ウクレレとチャーシュー麺

2016年08月06日 | ★江戸っ子エッセイ★




【ウクレレの音色に踊る浜の風】哲露
 




 二週続けて赤レンガに行った。

 アスファルトの熱射に、浜風がさらう。

 高木ブーさん、小錦さん、サザン関口さんなど、ウクレレ好きが集まる祭典。

 ウクレレピクニック2016。

 今年も来てしまった。

 ハワイアンの雰囲気がそこかしこでムンムン。

 やっぱ夏はいい♪








 このピクニック、なんと15周年。

 何事も継続なのだ。

 色とりどりの布が、横浜の空に揃ってはためく。

 沢山の異国の少女が手を振っているようだ。

 ブルースブラザーズ、ジョンベルーシの前には懐かしいコカコーラの瓶。

 艶やかなサボテン、サボテンブラザースのチェビーチェイスには笑った。

 昨年見つけたハワイ手帖。目下予約受付の中、今年も買えた。
 

 

 白浜に子供たちが夢中。

 大人たちはその横で、マンゴーのカクテルを飲んでいる。

 ビールと辛口の白ワインが喉にこたえる。

 ハンモックが気持ちよさそう。

 ホノホノ(ぶらぶら)、モエモエ(寝る)。


 



 豪華客船飛鳥が浮かんでいた。

 でかい!

 ボォー、と汽笛が鳴いた。

 ラッキーなことに、出船に立ち会えたのだ。

 大勢のお客さんも、飛鳥の勇姿に釘付けだ。





 広島にスピーチは感動を呼んだ。

 具体的に歩む道こそなかったが、世界から人を殺傷する兵器が消えることを願いたい。

 オバマ、サンキュー。




 会社から行くランチ。

 北大塚ラーメンはいつも行列の大人気。

 お目当てはこの迫力のチャーシュー麺。

 玉子も麺も見えんもんね。

 太めの麺はかみごたえあり、素朴な醤油味に合う。




 ちなみにこちらが普通のラーメン中盛り。

 激中辛を頼む。

 お店を営むご夫婦は、名コンビ。

 この二人、大陸人か台湾人か。

 ライスがついて600円、チャシュー麺は800円なり。

 同僚が教えてくれた。

 たまにはがっつり肉を食えってさ。

 ヘタレはラーメンで十分でやんす。





 周辺が慌ただしい。

 その合間を縫ってなんとか夏を満喫している。

 波乗りしたい。

 夏後半。

 亜熱帯気候のお江戸。

 そろそろビールが飲みたい時間帯。

 しっかり水分を摂って、まだまだ夏を楽しむのだ。

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帝国ホテル✖️香川県

2016年07月23日 | ★江戸っ子エッセイ★




 うどん県といえば、言わずもがな讃岐が筆頭だろう。

 稲庭や上州、水沢など枚挙にいとまがないが、譲れぬ西の横綱であるのは異論はあるまい。

 その讃岐の香川県の食材は、うどん以外にもたくさんある。

 日照時間が長く、良質な海を前にした土地柄。

 それも頷けるところだ。





 その香川の食材を帝国ホテルのシェフが腕を振るうというイベントに参加した。

 地元出身の俳優今里氏とさぬき讃フルーツ大使が糖度12度以上の果物をPR!

 うどん脳をのせたキャラが微妙に可愛い。



 


 皮ごと美味しいシャインマスカット始め、自然な甘さをシェフがゼリーに変える。

 濃厚な畑の果実が口に広がった。





 東日本の震災を機に養殖されたサーモンやら、オリーブの葉の粉末を食べて育ったハマチ。

 香川県は日本のオリーブ栽培の草分けで、その生産量と質は国内でも屈指なのだ。

 徹夜明けに疲れきった精神が、冷えたプレモルとともに流れていく。






 シェフが切り分けてくれたオリーブ牛とは。

 讃岐和牛にオリーブの飼料を与えて育てたもの。

 肉質の芳醇と口溶けの程よい甘みは、オリーブを想像させるに十分なお味。

 酸味の残る赤ワインがぴったりに合うヘルシーな食感。

 ホテル仕様のマッシュポテトと西洋わさびが引き立てる。





 瀬戸内海の潮流に揉まれたタコがたっぷりのたこ焼き。

 茹でただけのネギがさっぱりと洗ってくれる。

 他にも、讃岐夢豚を使ったインペリアルホテルのカレーなど、すでに満腹状態。

 知事も赤ワインを手に、自慢の食材に舌鼓を打つ我々の前で満面の赤ら顔。

 軽く試食するつもりが、ホント、ご馳走さまです。

 全国津々浦々。

 観光立国へ真っしぐらの日本。

 世界は不穏に包まれているが、まだ安全な日本を大切にしたい。

 全国の魅力を走り回って伝えるのもわるくないな。





 そういえば、甲府に向かう列車から、

 武田家終焉の郷という看板が目についた。

 武田勝頼公がここに眠る。

 二男が尊敬する武田信玄公のお祭りに一度一緒に訪れてみたいものだ。

 さて、今宵は足立の花火。

 そろそろ向かうとしますか。


 

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オリンピックと国立競技場のこと

2016年07月17日 | ★江戸っ子エッセイ★




 ここんとこ自治体さんを回っている。

 インバウンドのお仕事なのだ。

 香川県さんの「うどんだけじゃない」発表会へ行ってきた。

 瓦の加工技術や丹下健三の県庁庁舎を始めとした造形物、

 ほかにも香川県ならではの特色がいろいろある。 


 


 要潤さんが副知事とは知らんかった。

 県出身ということでPRの顔になっているのだろう。

 それにしても男前だ。

 こんなビジュアルに生まれたら、生き方も変わっただろうな。

 うどんの国の金色毛鞠という漫画も初めて知った。

 この毛鞠の技術も県特産だ。

 この緩いキャラがなかなかいい。

 動いていると知らないことがいっぱいあるな、と思う。

 この調子でどんどんいきたいものだ。


 


【土まみれ強者どもが競う夏】哲露


 国立競技場が更地になっている。

 新宿ハーフマラソンでトラックを走った記憶が遠い。

 ああ、すべて夢のようだ。


 


 長男が区の連合陸上大会で優勝したのもここだった。

 インバウンド対策の一環だが、オリンピックへ向けて国は大きく動いている。

 木造の競技場。

 聖火台問題は如何に。




  
 旧国立の聖火台が懐かしい。

 前回東京オリンピックで何度も映し出されていた。

 これが設計で抜けているって、まさに魂のないコンペだからだろう。

 経済と利権の行き着く先を暗示している。



 





 2020年の東京オリンピックへ。

 その時の都知事を決める選挙が迫る。

 偽政者に求められるのは、国民への誠実と私欲を棄てた上の野心だろう。

 ぼやいていても仕方ない。

 自分にできること。

 とりあえず4年後の未来まで駆けようと思う。 

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寺町の鬼灯!

2016年07月10日 | ★江戸っ子エッセイ★





【寺町の活気も眩しい鬼灯や】哲露


 お江戸に夏がきた。

 台風一過ですっかり東南アジア的な気候に。

 夕立もなく、蒸し暑さばかりが寺町を覆う。

 それでも浴衣の真白さに、目は清涼を得られる。

 打ち水、風鈴、金魚柄の手ぬぐい。

 これが暑い夏を過ごす知恵である。

 息子の合宿用に、スパイクを買いに出た。



 

 外国人の浴衣も多い。

 だがわが同胞、日本女性の淑やかさ、所作はやはり美しい。

 心の内の着物美人を伝えてあげられたらいいのに。

 そんなインバウンド事業もオリンピックに向けてこれからが本番。

 ウチにこもるばかりでなく、文化と心の交流の理想を求め続けたい。


 


 本日は四万六千日。

 素晴らしく特典のあるお参りの日。 

 家族の安泰を願いつつ、小説への道は自分次第と悩む日々。

 少しずつでいい。

 強い精神を持ちたいものだ。

  

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