先週発表されたことですが、『守り人』シリーズ(偕成社)、『獣の奏者』などで知られる上橋菜穂子さんが、このたび国際アンデル賞を受賞されました。児童文学では、世界的にもっとも権威のある賞で、画家部門では安野光雅さん、赤羽末吉さんが授賞されていますが、読み物ではまどみちおさん以来とのこと。
一度講演会を聞いたことがありますが、小柄ながらとてもパワフルな方だと感じました。現役の文化人類学の研究者(たぶん大学教授)でアボリジニの研究を長くされてらっしゃる方でもあります。描かれるのは、異世界ファンターですから、舞台となる世界を気候、政治、民族、その歴史と全てを1から創り出しているわけです。翻訳されたものは世界で読まれていたのですが、これからなお世界中で、バルサ(守人の主人公)やエリン(獣の奏者)が親しまれるのだろうと思うと、ゾクゾクします。← 児童文学をやっている方には周知の事ですが、このブログはふだん児童文学を読まれない方も多くいらっしゃるので、あえて書いています。
授賞の言葉が紹介されていました。「多様な価値観、文化を持つ人々が葛藤しながら生きる姿を描きたい。さまざまな環境にいる世界の子供たちに、(私の物語が)明日に向かって歩く力を与えてくれたらうれしい」……すばらしい。
子どもの頃、おばあちゃんが語ってくれた話が原点であるともおっしゃっていました。ホント、子どもの頃に吸収したものっていうのは、身になるだなあ。(どこの言葉だ)
異世界ファンタジー、生きている間に一作くらい書きたいというのが夢なのですが……。もっと政治や世界の歴史を勉強しないとダメだな。
上橋さん、「生まれ落ちた世界で一生懸命生きる人々を書いて来た」ともおっしゃっています。人は生まれる場所や親を選べない。でも人や世界を変える力を持つ場合もある。バルサのかっこよさったら、ないですからね。(30代女性、用心棒)
雪柳