Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(305)前田吟

2015-11-25 05:56:21 | コラム
44年2月21日生まれ、71歳。
山口出身。

前田吟(まえだ・ぎん)さんの、声が好きです。
「よいおっちゃん」役が、とっても上手なひとだと思います。

しかしテレビドラマの世界はともかく、映画俳優としては正当に評価されていない気がするんですよね。
自分のなかでは加藤武と同じような存在のひとで、こういうひとたちが物語を面白くしているのになぁ! と思うわけですよ。

とかいって自分も、印象に残るのは橋田壽賀子の『渡る世間は鬼ばかり』シリーズ(TBS、90~)であったりするのですけれど、
長山藍子との夫婦役は、ふたりともイヤミなほどに演技が達者なので、ほんとうの夫婦にしか見えませんよねぇ。


最近、バラエティ番組でよく見かけるようになりました。
穏やかな語り口ですが、数奇といったらいいのか、じつはそーとーな苦労人です。


※時間のあるかたは、ぜひこちらを




<経歴>

父も母も、現在でいうところのモノカキ。
家庭の事情で養子に入るも、養母も養父も吟さんが少年期のころに死去、
知り合いの家を転々とする暮らしがつづいたため、高校を中退して就職。

ちょうどそのころが黒澤明の黄金期であり、映像のダイナミズムに感銘を受けて俳優を志すようになる。

63年、劇団俳優座養成所15期生として入所。
同期が凄いメンツ―地井武男、原田芳雄、林隆三、秋野太作、栗原小巻、太地喜和子―で、これはいわゆる当たり年、、、といえるでしょう。

いくつかの端役をこなし、65年の『純愛物語』(テレビ朝日)で初の主役を演じる。

映画俳優デビュー作は、67年の『網走番外地 悪への挑戦』。

『ドレイ工場』(68)の演技を見て感心した山田洋次からオファーを受け、『男はつらいよ』(69)のレギュラーメンバー「諏訪博」役として全シリーズに出演。

『続・男はつらいよ』(69)、『フーテンの寅』(70)、『新・男はつらいよ』(70)

70年…望郷篇
71年…純情篇 奮闘篇 寅次郎恋歌
72年…柴又慕情 寅次郎夢枕
73年…寅次郎忘れな草 私の寅さん
74年…寅次郎恋やつれ 寅次郎子守唄
75年…寅次郎相合い傘 葛飾立志篇
76年…寅次郎夕焼け小焼け 寅次郎純情詩集
77年…寅次郎と殿様 寅次郎頑張れ!
78年…寅次郎わが道をゆく 噂の寅次郎
79年…翔んでる寅次郎 寅次郎春の夢
80年…寅次郎ハイビスカスの花 寅次郎かもめ歌
81年…浪花の恋の寅次郎 寅次郎紙風船
82年…寅次郎あじさいの恋 花も嵐も寅次郎
83年…旅と女と寅次郎 口笛を吹く寅次郎
84年…夜霧にむせぶ寅次郎 寅次郎真実一路
85年…寅次郎恋愛塾 柴又より愛をこめて
86年…幸福の青い鳥
87年…知床慕情 寅次郎物語
88年…寅次郎サラダ記念日
89年…寅次郎心の旅路 ぼくの伯父さん
90年…寅次郎の休日
91年…寅次郎の告白
92年…寅次郎の青春
93年…寅次郎の縁談
94年…拝啓車寅次郎様
95年…寅次郎紅の花


しかし個人的には、山田洋次の映画としても、吟さんの出演作としても、異色のロードムービー『家族』(70)のほうが優れていると思います。
キャリアの最高作といえるのではないでしょうか。
そして日本を代表するロードムービーといえば、『幸福の黄色いハンカチ』(77)ではなく、こっちでしょ! と強く推しておきます。


そのほかの出演作を、ザザザッと。

『顔役』(71)、『故郷』(72)、『仁義なき戦い 広島死闘篇』(73)、『強盗放火殺人囚』(75)、『八甲田山』(77)、『あすも夕やけ』(77)、
『日本フィルハーモニー物語 炎の第五楽章』(81)、『ふるさと』(83)、『夢千代日記』(85)、『ドン松五郎の生活』(86)、『春駒のうた』(86)、『キネマの天地』(86)、『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』(89)、『千羽づる』(89)、
『白い手』(90)、『就職戦線異状なし』(91)、『マークスの山』(95)、『虹をつかむ男』(96)、『プライド・運命の瞬間』(98)。
『郡上一揆』(2000)、『伊能忠敬 子午線の夢』(2001)、『パッチギ!』(2004)、『ニライカナイからの手紙』(2005)、
『さらば愛しの大統領』(2010)、『のぼうの城』(2011)、『真夏の方程式』(2013)、そして最新作が松本人志の『R100』(2013)。

2000年代に入ってから、これといった映画に出会っていないのが寂しいですね。
『R100』なんて、出演者全員が気の毒に思うような出来でしたし・・・。

だから、映画よりテレビドラマの印象のほうが強いのかもしれません。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(306)真木蔵人』
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

記憶

2015-11-24 05:53:43 | コラム
小学4年生あたりで「映画って、いいな」と思うようになり、
中学生で映画ファンを自称、
高校になると映画小僧であると自覚するようになった自分。

上京して以降は、劇場での鑑賞数が100を切ったことがない。

・・・というのが自慢というか誇りといえば誇りなのだが、

「それだけ観ていると、どんどん忘れていかない?」と問われることがある。

「自分にとって面白い作品は、よく覚えているよ。その逆の、モノスゴつまらない作品も同様」
「つまらない作品も?」
「つまらな過ぎると、覚えているものだよ」
「へー。忘れる作品って?」
「真ん中あたりの出来のもの。そういうものから、次々と忘れていく」

たとえば、わが神スコセッシの『グッドフェローズ』(90)は、ビデオも含めて50回を超える鑑賞数で「隅々まで」覚えているが、



あれだけ? 大嫌いな『稲村ジェーン』(90)は、きっちり観たのはいちどだけなのに、

やっぱり「隅々まで」覚えているのだった。

そういうもの、なのである。


ただ出来不出来に関係なく、監督や俳優の名前を忘れがちにはなった。

昔は「誰だっけ、えーーーと」などと考え込むことさえなかったはずなのに、いまは「しょっちゅう」そういうことが起こる。

たとえば先日は、トッド・ソロンズとトッド・ヘインズがどっちがどっちだか分からなくなって困った。
田畑智子と多部未華子が「ごっちゃ」になって頭を抱えた。

そういうことがないように―と始めたのが、我流の「俳優列伝」だったはずなのに。


トシかなぁ、、、などとはいってはいけない。

淀川センセーは、70を過ぎても幼少のころに触れた映画について「はっきり」覚えていた。

映画について書くということは、日常生活で大事なことを忘れても、映画についてだけは忘れてはいけないってことだろう。


少しでも暇な時間が出来たら、『ロードショー』の付録だった「スター名鑑」を眺める。
そうやって自分は、俳優や映画のタイトルを覚えていたんじゃなかったっけか。

AV流してアレをソレするのも大事だが、初心を忘れていたかもしれないな・・・と、淀川センセーの解説を観るたびに思うのだった。




…………………………………………

明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(305)前田吟』
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10年後さえ、想像出来んのです。

2015-11-23 05:38:04 | コラム
怪優ジョン・マルコヴィッチが主演する映画の企画、『100 YEARS』が話題になっている。

100年を経て完成となるコニャックをモチーフにしたもので、
映画制作そのものはすぐに終わるけれど、フィルムは直ちに金庫に仕舞われ100年後に開ける。

100年後―。
選ばれた「1000人の子孫」に向けて招待状が配られ、上映がおこなわれる、、、と。


いろんなこと考えるなぁと感心するが、いま生きているほとんどのひとは(上映禁止作でもないのに)観ることが出来ない―というのが面白い。

すぐに想起するのは、学校などで埋めるタイムカプセルだ。

この画像は、つくば万博に行った小学生の自分が、2000年の自分に送った葉書である。




プロレス好きなところはニヤリとさせるが、字を間違えたり、スペースとサイズを計算出来なかったり阿呆だったんだなぁ、、、と苦笑せざるを得ない。

ナンダカンダ、のらりくらりと40年生きてこられて、たぶん人生は送り返し地点を過ぎているのだろう。
当然、自分も『100 YEARS』を観ることは出来ないが、正直、あんまり観たいとも思わない。

企画に感心するだけで、本編そのものには興味を抱かないヒネクレモノなのであった。


※そんな予告編…ユーザーの評価が低いのは「どうせ観れないから…」という思いの表れだろうか。
でも「2115年」って表示されると、ちょっとドキドキするよね。





さてマルコヴィッチといえば、本人がタイトルに冠された『マルコヴィッチの穴』(99…トップ画像)がいちばん有名かもしれないが、
『二十日鼠と人間』(92)の「哀しきモンスター」のほうが個人的には好きだし、『ザ・シークレット・サービス』(93)の「変装が巧くない」暗殺者も悪くない。

現在61歳、近影はビル・マーレイそっくりだが笑、



常に映画ファンを裏切らず・・・というか、映画ファンの想像を軽々と超える企画を打ち出してくるひとなので、あと10年20年は無視出来ない存在でありつづけることでしょう。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『記憶』

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「きき」ビールなら、そこそこ自信あり。(たぶん)

2015-11-22 05:52:52 | コラム
【2015総括シリーズ その拾壱】

本年の総括、残るは「映画ベスト20」「映画10大ニュース」と、きょうの「経済・流通」のみ。

まぁ経済といってもFRB云々かんぬんではなく、消費主義の申し子? である自分が、今年試してみて満足した酒や食い物を10挙げるというだけのものだ。

「いま、その気分」じゃなくても、「新商品」のポップを見ただけで「使命感」みたいなものが湧いてくるヤツでね、
今年発売されたビールと発泡酒はすべて呑んでいるはずだし、
だからまぁ、「きき」ビールくらいなら勝負に勝つことが出来る、、、かもしれない。

それではいってみよう。


(1)グランドキリン 十六夜の月…トップ画像

ここ数年のビールで最高のクオリティだと思う。

(2)焼きフライドチキン

揚げたチキンを、さらに焼く。



かりっかり!

ケンタさん、再発売を願います!!

(3)4種のチーズ焼きナポリタン

セブンイレブンで発売。

レンジでチンしたら、すぐに食べてね。

冷めると、チーズが塊になってしまうから。

(4)「欧州四大セレクション」ビール ドルトムンダー

深い味わい。

ゴクゴクではなく、チビチビいきたい。

(5)チーズ好きのためのチーズケーキ

ヤマザキのスマッシュヒット作。

腹が減っていれば、10個くらいいけるかもしれない。

(6)「欧州四大セレクション」ビール ウィンナー



こちらは風呂上りに、ゴクゴクいくタイプか。

(7)季節香る大人のカシス

味つき? 焼酎が人気だが、個人的には「鏡月」の「アセロラ」より好き。

(8)紫いもシェイク

マックさん、売り上げ落ちているのなら、これレギュラー化してよ。

好きなひと、すごく多いよ。

(9)メロンのWクリームシュー

ファミリーマートで発売。



期間が短かったので知らないひとも多いようだが、絶品だった。

(10)「薫り華やぐヱビス」

安心と信頼のナンチャラ、、、だよね。もはやヱビスは。


※年末に聴きたくなる曲なので




…………………………………………

明日のコラムは・・・

『10年後さえ、想像出来んのです。』
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胸張ってパクれ

2015-11-21 05:25:23 | コラム
【2015総括シリーズ その拾】

本年度の総括、第10弾は「社会」。

あの事故やその事件やこの現象などの10項目を同列に語ることは「なかなかに難儀」なのだけれども、すべて「地球上で起こったこと」という決定的な共通点があるわけで、率直にいうと、
まだAを消化し切れていないうちにBが発生する―その繰り返しで、相変わらず世の中は止まってくれないなぁ、、、と。

以下の10項目は、規模の大小やインパクトではなく、自分にとって「無視出来ない」「関心を持たざるを得ない」という観点から選出した「社会で起こったこと」である。


(1)東京五輪、エンブレム問題

指摘したのは有識者ではなく、ネット民であったことが現代的。

叩きに叩くネットと、意固地になるデザイナーと。

このデザインがパクりか否かという問題は置いておいて、映画界でいうQTタランティーノのように、美術界でいうウォーホールのように、パクったことを前提とする表現スタイルって、もう少し認められていいんじゃないか・・・と自分は思うのだ。

(2)弁護士「ペニス切断」事件

妻を寝取った、悪徳? 弁護士のペニスを切断し水洗トイレに流した元ボクサー・・・って、なんか、いろいろすごい。

把握しなくてはいけない情報がいくつもあって、お腹いっぱいになってしまうのだった。

いやぁ。
自分がペニス切られたとしたら、もう、なにをどうやっても立ち直れない気がする。

(3)福生の「顔面の皮膚」剥ぎ取り殺人事件

猟奇的な、シリアルキラーっぽい事件かと思ったらば、柱には愛憎・怨恨関係があるようで、
それでも顔面を剥ぐっていうのは恐ろしいなぁ、映画かなにかを参考にしたのかなぁ・・・などなど興味は尽きない。

(4)中学元校長による、12000人超の「児童買春・ポルノ禁止法違反」事件

数のインパクトがすごくて思考停止に陥るが、被害者とされるフィリピンの少女たちは、誰ひとりとして元校長を悪くいわなかったという。

経済的な問題が背景にある―ことは想像に難くないが、それにしても日数と人数がアンバランスに過ぎ、元校長の性的欲求の異常さが際立ってしまうのだ。

(5)JR放火事件

ミュージシャンを自称する容疑者のヘンテコ感が一線を超えていて、なんか笑える。

まぁでも、笑えるのはたぶん、死者が出ていないからだろう。

(6)高校生「嘱託」殺人事件

死んだ女子高生の周りに、多数の同級生が居たり親が居たり。

まるでアガサ・クリスティの小説のような背景であり、こんなことあるのか・・・と驚いた。

(7)小型プロペラ機の民家墜落事故

調布市の、よく知っている場所なので衝撃も大きい。

飛行機が直撃した民家は、もう不運としかいえない、、、よなぁ。

(8)ドローン騒動

去年の紅白、Perfumeのパフォーマンスでドローンの存在を知ったが、安いものは5000円程度で買えるからか「各地で」トラブルが続出、
ルールが決まらないうちに浸透してしまうと、こういうことも起こるのだなと興味深かった。


※ドローンの可能性は、こういうところにあるのかと




(9)新幹線内で男が焼身自殺

巻き添え喰らってしまったひとの不条理感といったら、ない。

火をつけた男は、最期くらい派手に・・・と思ったのだろうか、『気狂いピエロ』(65)の主人公のように、誰も居ないところで勝手にやってくれと思う。

(10)フランスの同時テロ

連鎖がなかなか止まらない。

なにをどうすればいいのか、はっきりいって分からない・・・。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『「きき」ビールなら、そこそこ自信あり。(たぶん)』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする