映画の廉価版ビデオテープが発売され始めたのは、昭和が「もうすぐ終わる」ころ。
すでに映画好きだった自分は、お小遣いやらをそれに注ぎ込み、少しずつコレクションを増やしていった。
そのなかのひとつが、『誰が為に鐘は鳴る』(43)。
ゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマンが共演、「キスをするとき鼻はどうするの」の台詞で知られるが、個人的評価をいえば映画作品としては「まあまあ」で、ヘミングウェイによる原作小説のほうが圧倒的に質が高い。
「きょうね、これ買ってきたんだよ」
夕食時、家族にビデオパッケージを見せると父親はニヤリと笑い、
「なんて読む?」と聞いてきた。
ほんとうの読みかたを知らぬ自分は、大きな声で「だれがためにかねはなる」といった。
父親は「為」が読めるかどうか、テストしているのだろう・・・そう思ったわけ。
「たがためにかねはなる」と読むことを知ったとき、正直腹が立った。
日本語のヤツ、なんだバカヤロー! ってね。
それ反則じゃないんだべか、と。
こうした「あるある。」の代表格は未だ「月極駐車場」なのだろうが、つくづく日本語って難解だ。
若かったころは無知で誤魔化せるが、この歳になると・・・
自分で発したことばの読みがちがっていて、他者に指摘されるのは恥ずかしい。
逆に、間違いを指摘するのも「立場上」難しいときもあって。
以下、印象に残る「指摘した/された、あるいは、そういうのを見た・聞いた」エピソード。
(1)映画の同志と会話をしていたとき、「場末」を「じょうまつ」といった自分に対し、同志は自分のプライドを傷つけないよう、合いの手みたいな感じで「うん、ばすえ」と訂正してくれた。
(2)かーちゃんがテレビに映った「一期一会」を、声に出して「いっきいっかい」と読んだ。
すぐさま、とーちゃんが「いちごいちえだよ」と訂正、かーちゃんは恥かいたかもしれないが、それでこの四字熟語を正しく読めるようになった。
(3)有吉弘行が自身のラジオ番組で「造詣が深い」を「ぞうしがふかい」と発する。
誤りかたとしては「あるある。」で、おぉ有吉ちゃんでもこういうミスをすることがあるのか、、、と不思議に親近感を抱いた。
(4)仲の良かったバイト仲間が「御用達」を「ごようたつ」といっていて、一般的には「ごようたし」だが、「ごようたつ」でも間違いではなく、ツッコむほどではないなぁとスルーした。
「どっちも正解」、こういうケースがあるところが日本語をより難しくしているのだろうね。
(5)元SMAPの中居くんが「この度は」を「このどは」とそのまま読み、石橋貴明に「このたびは、だよ!」と激しくツッコまれる。
音読み・訓読みの話ではあるけれど、激しいツッコみが出来る関係性が、ちょいと羨ましく思ったのであった―。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『シネマしりとり「薀蓄篇」(247)』
すでに映画好きだった自分は、お小遣いやらをそれに注ぎ込み、少しずつコレクションを増やしていった。
そのなかのひとつが、『誰が為に鐘は鳴る』(43)。
ゲイリー・クーパーとイングリッド・バーグマンが共演、「キスをするとき鼻はどうするの」の台詞で知られるが、個人的評価をいえば映画作品としては「まあまあ」で、ヘミングウェイによる原作小説のほうが圧倒的に質が高い。
「きょうね、これ買ってきたんだよ」
夕食時、家族にビデオパッケージを見せると父親はニヤリと笑い、
「なんて読む?」と聞いてきた。
ほんとうの読みかたを知らぬ自分は、大きな声で「だれがためにかねはなる」といった。
父親は「為」が読めるかどうか、テストしているのだろう・・・そう思ったわけ。
「たがためにかねはなる」と読むことを知ったとき、正直腹が立った。
日本語のヤツ、なんだバカヤロー! ってね。
それ反則じゃないんだべか、と。
こうした「あるある。」の代表格は未だ「月極駐車場」なのだろうが、つくづく日本語って難解だ。
若かったころは無知で誤魔化せるが、この歳になると・・・
自分で発したことばの読みがちがっていて、他者に指摘されるのは恥ずかしい。
逆に、間違いを指摘するのも「立場上」難しいときもあって。
以下、印象に残る「指摘した/された、あるいは、そういうのを見た・聞いた」エピソード。
(1)映画の同志と会話をしていたとき、「場末」を「じょうまつ」といった自分に対し、同志は自分のプライドを傷つけないよう、合いの手みたいな感じで「うん、ばすえ」と訂正してくれた。
(2)かーちゃんがテレビに映った「一期一会」を、声に出して「いっきいっかい」と読んだ。
すぐさま、とーちゃんが「いちごいちえだよ」と訂正、かーちゃんは恥かいたかもしれないが、それでこの四字熟語を正しく読めるようになった。
(3)有吉弘行が自身のラジオ番組で「造詣が深い」を「ぞうしがふかい」と発する。
誤りかたとしては「あるある。」で、おぉ有吉ちゃんでもこういうミスをすることがあるのか、、、と不思議に親近感を抱いた。
(4)仲の良かったバイト仲間が「御用達」を「ごようたつ」といっていて、一般的には「ごようたし」だが、「ごようたつ」でも間違いではなく、ツッコむほどではないなぁとスルーした。
「どっちも正解」、こういうケースがあるところが日本語をより難しくしているのだろうね。
(5)元SMAPの中居くんが「この度は」を「このどは」とそのまま読み、石橋貴明に「このたびは、だよ!」と激しくツッコまれる。
音読み・訓読みの話ではあるけれど、激しいツッコみが出来る関係性が、ちょいと羨ましく思ったのであった―。
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明日のコラムは・・・
『シネマしりとり「薀蓄篇」(247)』