masumiノート

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エッソ「V10」がもたらした功罪

2018年06月25日 | ガソリンスタンド4

先ずは4月28日の燃料油脂新聞を取り上げた「運送業界に続きたいけど続けない体質の業界かも。」より

元売の販売戦略が低マージン・量販に舵を切る契機は、22年前の1996年4月
エッソ石油(当時)が導入したPTS-Vプログラム(通称V10)
経費削減・増販・油外収益の3つをマージン削減につなげるV10は元売他社が模倣し、戦略として差別化を図れなくなった。
1998年のセルフ解禁後は、戦略として陳腐化したV10は、V7、V6と目標マージンを下げ、過激化。
その結果、手段(戦略)は次第に目的化され、最後はV0やVマイナスを自慢する店も出てきた。
Vプログラムは自然消滅したが、いまでも空気のようにSS業界を覆っている。


※(青系文字がmasumi)
4月28日の燃料油脂新聞でエッソ石油が1996年に導入したPTS-Vプログラム(通称V10)に言及した部分に対し、エッソ石油のPTS-Vプログラム導入当時の常務取締役で、現在は自身のUDEXコンサルティング・インクの代表取締役として、SS業界向けに講演活動も行っている西尾直毅氏より「PTSプログラムの理解が不十分なまま記事が書かれている」という指摘を受け、意見交換をしたそうです。



6月23日燃料油脂新聞より



西尾氏の主張は、「安売り奨励ではない」

1.V10はガソリンリットル当たりの経費削減を目標にしたもので、マージンを下げることは目標にしていない。
2.小売価格は個々のSSが決めるが、周りとの競争状態で異なる。エッソが勝手に決められるものでなく、エッソ系SSが市況を形成することもできない。
3.エッソ系SSは東海道ベルトエリアに集中しており全国的なガソリン価格低下に関係はない
4.記事は米コンサルティング会社マッキンゼーがプログラム開発に関与したとあるが、その事実はない。エッソ石油が独自に開発したーというものだ。

西尾氏によるとマッキンゼー提案は「SSをどこに開発するか、設備・サービスはどのようなものが要求されてくrか、SSでの事故撲滅対策をどうすべきかなどを包括的にスタディしたものだったが、具体的に採用された中身はなかった」ということだ。

西尾氏は意見交換の中で、エッソは昔から「まずSSが儲かるべきだ。そうすればガソリンも高く売れるし、商品代回収も心配なくできる。長期的にビジネスが安定する」コンセプトのもと「SSが儲かるにはどうすれば良いか」を徹底追及してきた。
「第一に良い立地条件の場所に、顧客にって入りやすく出やすいレイアウトで、魅力的な設備のSSをつくる。過剰設備やSSの数だけを追いかけない」
「第二に、サービスを良くし、良い顧客を獲得し油外収益の向上を図る」
「第三に、無駄な経費を徹底的にカットし、ガソリンマージンが下がっても耐えられる体質にする」方針でリテールマーケティングを展開してきた。
PTS-V10プログラムはその線に沿ったものだと強調する。

SS業界が過度の価格競争に陥った要因については、
無秩序なSS建設ラッシュや元売各社の優遇策(新設SS補助など)を指摘した。
「低価格競争の原因がV10にあるーなど、それほど単純なものではない」



始まりは西尾氏の言う通りだったのだと思います。
しかし結果は、
赤字まみれ」「ピーク時の半数にまで減少」「減少止まらず」という有様です。


燃料油脂新聞の記者さんはこう書かれます。

SS現場は戦略の実践を通じて実績が求められる。
戦略よりも実績が優先される現場では、首を傾げることが平気で行われる。
これまでの取材活動を通じ“現場とはそういうもの”と感じる。
プログラム本来の趣旨からすれば「記事は理解が不十分」となろうが、現場は必ずしもそうした方向には行かなかった。

そして記事を通してもっとも訴えたかったことは
「V指数プログラムは自然消滅したが、今でも空気のようにSS業界を覆っている。元売はSS現場に新しい風を吹き込み、空気を入れ替える役割を果たすべき」という部分だ。



そして西尾氏もー
今から5年前、「エッソ石油50年史」への寄稿文でこう述べられています。

「V指数プログラムは、その後多くの他社が名前は異なるものの、同内容のプログラムを採用し、30年近く経った2013年現在でもまだ使われているが、現在ではまったく市場の現状に合っていないので、早急に改善されたら良いと思われる」

また西尾氏は最近の各地の講習でこう述べられているそうです。

「SSネットワーク維持には、ガソリン粗利20%は絶対必要」


*****




SSネットワーク維持には、ガソリン粗利20%は絶対必要


「リッターマージン30円必要」と以前記事にしたことがあると思いますが、静岡県の有力業者もそう述べておられますし、西尾氏もそうお考えです。
私の感ピューターも大したもんだ(笑)

なんていう冗談はさておき、

異業種が続々と新設店をオープンさせている昨今です。
粗利20%、ガソリンマージン30円は、果たして可能でしょうか?

それに、
「近隣より13円高く売ってもガソリンマージンは5円しかなかった」そういう経営を続けてきた当店店主の粗利感覚も麻痺してしまっているようです。


何はともあれ、
開発者の思いを他所に、エッソV10が不毛な価格競争のキッカケの一つになってしまったことは否めません。







追記


>無秩序なSS建設ラッシュや元売各社の優遇策(新設SS補助など)を指摘した。


新設SS補助=「安売り&モノクレ」⇒量販
量販⇒数量インセンティブ(安売り)+モノクレ⇒量販⇒を繰り返す。

価格競争に参加した周辺店は、“自業自得の”低マージン。
卸格差による高値仕入れの地場3者店は「これ以上にも、これ以下にも出来ない。」売価設定で低マージン経営を“余儀なくされた”。



この不毛な価格競争で地域への小口配達を担っている地場店の多くが廃業・撤退。

これ以上の減少はインフラ崩壊の危機だとして全石連が獲得した補助金。
その多くが、セルフ化&不採算だとして小口配達を切り捨て、好き好んで価格競争に参加してきた大手業者(全石連執行部役員)の手に渡っているーという茶番劇。





おまけ

>「第三に、無駄な経費を徹底的にカットし、ガソリンマージンが下がっても耐えられる体質にする」


なりましたよぅ(○`ε´○)ノ!!



>「第二に、サービスを良くし、良い顧客を獲得し油外収益の向上を図る」

“超”優良顧客を獲得していたー、ということを、サービスを行えなくなったことで認識することができました。