月間ガソリン・スタンド12月号より引用しつつ・・・。
被災地復興を妨げる過酷な現実
(真の復興には地元企業の再生が不可欠)
国からの支援金は本来なら地域経済の復興のために使われるべきだが、実態は復興利権として大手ゼネコンを太らせているだけで、地元にお金が落ちていない。
軽油の需要が増えているといっても、入札で契約してしまうので地元SSに入ってくるのは下請けなどの微々たる分だけに過ぎない。
緊急対応が求められた復興については仕方がないとしても、これから本番を迎える復興事業でも仕事が奪われるようなことがあれば、地域経済の再生は絵に描いた餅となる。
そんななか、岩手県石油組合の宮田謙理事長(宮田燃料社長)は、復興の狭間で起きている、もう一つの現実的な問題を指摘します。
「生活者の方々が不遇を囲っているのも忘れてはなりません。
とくに、限られた高台での仮設生活により、お年寄りなどを中心に交通弱者が続出している。
SS業界としては、寸断された石油流通のサプライチェーンの回復・維持に努める一方で、そうした方々にも利便性を提供できる仕組みを考えなければならない。
未曾有の震災により、石油の重要性が再認識された今、地元のエネルギー事業者としての使命が問われているはずです」
支援の名を借りた安売り
そんな岩手県マーケットに現在、暗雲を立ち込めさせているのが、県外から進出してきた灯油の巡回販売業者の存在だ。
震災以降、花巻地区へ支店を登記し、自社ローリーを駆使して主要地区をくまなく巡回。
それもスタート時はリッター77円30銭という、東北の最安値で知られる生協やホームセンターの価格をリッター10円も下回る破格値。
「“被災者支援”の名のもとに、マーケット需要を根こそぎ押さえようとしている。
県外業者は冬場に儲けるだけ儲けて撤退すればいいかも知れないが、我々地元業者はこの地で生活していかなければならない。
彼らの打ち出す価格は我々の仕切価格を下回るもので、到底理解できないレベル。
はっきり言って火事場泥棒に他ならない」
(花巻地区の民族系販売店主)
岩手県石油組合の野中範夫専務理事は、地元業者の嘆きをこう代弁する。
「仮設住宅への灯油配送については、敷地スペースの問題からローリーが侵入できないのです。
それも、高齢者の方々が多いため、ポリ缶を入り口まで取りに来てくれとも言えず、一戸一戸手押し車に乗せて訪問しなければならない。
このように効率が悪く、コストもかかるような仕事は、県外業者は絶対に行いません。
採算が合わないと知りつつも、被災者のためを思って泣く泣く引き受けるのが、地元のSS業者なのです」
また、岩手県石油組合の副理事長で、岩手県石油政治連盟の会長も務める村田欣也社長(ムラタ社長)も
「もちろん、地域住民の方々に十分な量の灯油を供給するのが、我々業界に与えられた第一の使命です。
しかしそれは、地元の暮らしのエネルギーを支えるためであって、短期的な利益を追求するものではありません」
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>地元の暮らしのエネルギーを支えるためであって、短期的な利益を追求するものではありません
地元の業者はその地域で生活しているわけですから、利益追求よりも責任感や使命感の方が強いのです。
以前記事にしたように採算が取れないような過疎地では、“組合員のため”を謳っている農協(JA)ですら撤退するのです。
J○は100リッター以上でないと灯油の配達もしません。
大企業は表向きは顧客満足とかお客様の為にとか何とか、キレイゴトばかり言いますが、
実際は採算が合わないことはしません。
つづく