報恩坊の怪しい偽作家!

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“新アンドロイドマスター” 「明らかになる陰謀」

2015-10-25 21:51:52 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月18日04:00.ヘリコプター機内 敷島孝夫、3号機のシンディ、鷲田警視、村中課長]

「まさか、いきなりへりで東北に向かうことになるとは、私もVIPになった気分です」
 敷島がそんなことを言うと、鷲田が答えた。
「KR団殲滅は使命だからな。その黒幕が確保できるかもしれないとあれば、ヘリの1機くらい飛ばすさ」
「さすがは警視」
「お前さんの部下、井辺君とやらは、本当に東北にいるのだろうな?」
「確率は高い、という意味です」
「なにっ?」
「エミリーが高確率で受信したのだから、ほぼ確実ですよ」
「いや、しかしたかだかロボットが受信したくらいで……」
「その高性能さ、目の当たりにすることになりそうですよ。幸い、今度の『ボカロ・フェス』は宮城県のセキスイハイム・スーパーアリーナですから、場所的にもちょうどいい」
「意外とその辺りなんじゃないのか?」
「可能性は無きにしもあらずですが、まだ結論を出すのは早いですよ。今までKR団を相手にしてきましたが、どうも戦う相手が小粒ばかりだと思ってはいたんですよ。もっと戦闘ロボットとかいても良さそうなのにいないし……。最悪、マルチタイプのコピーくらい出てくるかと思ったんですが、それも無いし」
 恐らく、計画はしていたのだろう。
 まずレイチェルがそうだし、アルエットを手に入れようとしていたのも、それが原因なのかもしれない。
「エミリーやシンディが電波を送って、向こうのバージョン達に命令を送っています。それで分かるかと思います」
「ていうか、もう既に分かったんだけどね」
「おっ?」
「なにっ!?」
 シンディの開いた口に警察幹部2人は反応した。
「何故かバージョン3.0が多く集まる箇所がある。そしてそこにアタシの命令を送っても、姉さんが命令を送っても、うんともすんとも言わない連中がいる。そこしか無いと思うね」
「場所はどこだ!?」
 シンディはその場所を話した。
「よし、向かうぞ!」

[期日不明 時刻不明 天候:晴 井辺翔太&シー]

「翔太さん!」
 シーが見たのは、豹変したエリオットにライフルで狙撃される井辺の姿だった。
 幸い、被弾は免れたようで、井辺はジグザグに逃げ出した。
 そんな井辺は、敷島が前に言っていたことを思い出した。
『ショットガンは近距離戦には向いているが、遠距離戦には不向きだ。それと同様、ライフルは遠距離攻撃に向いているが、近距離には不向きだ。それと、ポンプアクション式だとリロードが遅いから、そこに隙ができる』
 と。
 今のシンディはライフルを着装しているが、前期型と後期型で種類が違う。
 前者は手動式だった為、リロード中に隙があったという特徴があった。
 後期型はオート式になった為、リロード中の隙が無くなった。
「あれは何ですか!?」
 しかし、敷島ほど銃火器に詳しくない井辺には、あれがそもそもライフルかどうかも分からなかった。
 スコープが付いているので、狙撃銃としてのライフルかなと思っただけだ。
 しかし、例えどんな銃でも、弾には限りがある。
 弾切れになってリロードしている間がチャンスだと思うのだが。
 こっちにだってハンドガンくらいある。
「しまった!」
 井辺が逃げ込んだ先は、隠れる場所の少ない広々としたダンスホール。
「逃げても無駄ですよ!あなたには、これからもっと協力してもらう!」
「テロ組織の手先なんて勘弁です!」
「さすがはレイチェルが見込んだ男だ。私は……むっ!?」
「えっ?」
 リロードしながら近づくエリオット。
 しかし、彼の目線は井辺の頭上に向けられた。
 井辺がつられてその先に目を向ける。
 すると、ダンスホールの吹き抜け2階廊下の上に老人が立っていた。
「今頃のこのこ現れやがって!老害ジジィ!」
「……随分と騒がしいと思ったが、やはりエリオットだったか」
「あ、あなたは……!」
 その老人は旧館スイートルームの室内に掲げられていた肖像画の人物だった。
「ヤツはケイン・ローズウェル。この研究所の所長だった男だ」
 エリオットがしれっとこの建物の正体について語る。
「だったって?」
「エリオット。確かにワシは、お前に所長のイスを譲って引退した。じゃが、まだ顧問なんじゃろう?何故ワシに相談も無くこんなことをした?」
「…………」
「ダニエラの費用もタダではないのじゃぞ?」
「あなたがケインさんですか。あのお手紙……」
「いかにも。ワシの名はケイン・ローズウェル。KR団のリーダーじゃ。ま、世界からはテロ組織とされているがな」
「いや、テロ組織でしょ!?」
「御隠居は御隠居らしく、縁側でネコでも抱きながらお茶でも飲んでなさい!全く!老害博士達のせいで、組織をこんなガタガタにしやがって!」
「達って……まさか、十条博士もですか?」
「そうだよ!俺達はテロ組織じゃなく、純粋にサイボーグの研究がしたかっただけだ!」
「サイボーグ?」
 ケインが口を開いた。
「愚かな。人はいずれ老いて死ぬ。人間を機械化して、ムリに長命化するなど愚かの極み……」
「黙れ!テロ・ロボットしか作れない老害は、おとなしくそこで老いて死ね!」
「サイボーグ?……ああっ!?」
 ケンショー・レンジャーのサイボーグ化、そしてダニエラの正体……。
「イエローだけサイボーグ化に失敗したって……」
「年寄りは手術に耐えられないからな。しかし、あんたならそれが可能だ。世界一強いサイボーグ化への実現だ!」
「いや、カンベンしてくださいよ!」
「……最初はタカオ・シキシマという男が狙いだったのではないか?」
 ケインがまた口を開く。
「最初はそのつもりだったんだが、気が変わった。あんたも適性だ!」
「だから、お断わりだって!」
 直後、エリオットがライフルを発砲した。
 慌てて床に伏せる井辺。
「ぐおっ!?」
 しかし被弾したのは、井辺ではなかった。
 ケイン・ローズウェル。
 呆気ない死であった。
「さあ、来てもらおうか!ここで死にたくなかったらな!」
「くっ……!」
 ライフルの銃口は井辺に向けられている。
 逃げられはしないだろう。
「わ、分かったよ」
 井辺は両手を挙げて立ち上がった。
「では、向こうのドアを開けて進んでもらおうか。……逃げようしたらどうなるかは、言わなくても分かるな?」
「分かってるって」
 答えながら井辺は何となく周囲を見渡した。
 だが、シーの姿は無かった。
 エリオットに怯えて逃げてしまったのだろうか。

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3 コメント

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つぶやき (作者)
2015-10-27 18:12:39
実技試験(訓練)……やべェな……。
今まで2つの資格に合格してきたが、第三関門はハードルが想定外に高い。
さすがに冷や汗かいた。
返信する
つぶやき 2 (作者)
2015-10-27 19:39:38
 何か小耳に挟んだ話なのだが、最近の交通誘導警備業務検定2級の講習で、実技訓練中に逆ギレしたアホがいたらしい。
 自動車学校の教官と同じで、特に実技訓練の指導には熱が入るのが当たり前で、私も今回は特に警戒杖の扱い方で厳しい指導を受けたものだ。
 私は素直に、「はい!はい!」とリアクションし、それが普通だと思うのだが、中には逆ギレするアホもいるのが警備業界ってことだ。
 キレる若者よりも、実はキレるジジィの方が多いってことを公表しておこう。

 舞台を編成する場合は警戒棒の携帯が許されていないのだが、公営競技場「だけ」許されているのは、そういうアホジジィ対策の為だと今さらながら思った。
 大宮競輪場に出入りされているポテンヒットさんなら見たことあるんじゃないかな?
 ……え?競輪場の警備員もバイトのジジィばっかですって!?
 大変、失礼致しました。
返信する
失礼! (作者)
2015-10-28 16:58:23
誤字があった。
「舞台」ではなく「部隊」ですな。
訂正します。
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