報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「やまびこ137号」

2019-06-22 13:57:53 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月19日11:55.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・東北新幹線ホーム]

〔23番線に停車中の電車は、12時ちょうど発、“やまびこ”137号、仙台行きと“つばさ”137号、山形・新庄行きです。グリーン車は9号車と11号車、自由席は1号車から5号車と16号車、17号車です。……〕

 東北新幹線ホームに上がると、既に23番線にはこれから乗車する列車が停車していた。
 しかしドアは閉まっており、まだ乗車できない。

〔「23番線に停車中の電車は只今、車内整備清掃を行っております。終了までしばらくお待ちください」〕

 この間、売店に行って駅弁などを購入する。

 稲生:「因みに車内販売のアイスもここで買える」
 ミク人形:「♪」
 ハク人形:「♪」
 ルーシー:「勇太、いつになったら乗れるの?」
 稲生:「あの信号が白に変わったら乗れますよ」
 ルーシー:「?」

 ホームに吊り下げられている白と赤の2灯式信号。
 確かに今は赤だ。
 で、それが白に変わる。

〔「23番線、お待たせ致しました。まもなくドアが開きます。乗車口までお進みください。……」〕

 旧国鉄時代から使用している信号なのか、同じものが東海道新幹線ホームにもあり、使用法は同じである。
 ドアが開いて、ホームで列を作っていた乗客達がぞろぞろと乗り込む。
 自由席は熾烈な席取り合戦だろうが、指定席の方は淡々としており、グリーン車に至っては【お察しください】。

〔「ご案内致します。この電車は12時ちょうど発車の東北新幹線“やまびこ”137号、仙台行きと山形新幹線“つばさ”137号、山形・新庄行きです。停車駅は上野、大宮、宇都宮、郡山、福島です。“やまびこ”号は福島を出ますと、白石蔵王、終点仙台の順に止まります。“つばさ”号は福島を出ますと、米沢、赤湯、かみのやま温泉、山形、天童、さくらんぼ東根、村山、大石田、終点新庄の順に止まります。……」〕

 指定された3人席に座る。

 稲生:「お腹空きましたねー」

 通路側に座った稲生はテーブルを出して、その上に買った駅弁とお茶を置いた。
 マリアの人形達は荷棚の上に乗せられると、買ってもらったアイスを口にする。
 因みにメーカーは東京めいらくのスジャータである。
 新幹線で買えるアイスと言えばこれ。
 釈尊が悟りを開く前に乳粥を御供養した少女の名前から取ったのは明白である。
 概ね仏教界では好意的に捉えられており、日蓮正宗でも釈尊のことを説明される時、たまに登場したりする。
 多分、それと合わせて御供養の大事さを伝える時に登場させていたと思う(主に“妙教”辺り)。

 ルーシー:「“こだま”が止まってる」
 稲生:「ああ。すぐ隣は東海道新幹線ホームです。元々、14番線・15番線ホームも東北新幹線ホームとして使われるところだったんですが、東海道新幹線の本数が逼迫したので、そちらに転用したとか……」

 旧国鉄時代の話である。
 今の分割されたJRでは、絶対にそんなことはない。
 もちろん、旧国鉄時代の話なので、民営化後に14番線と15番線が東北新幹線に戻されるということも無かった。
 そうこうしているうちに北陸新幹線の建設が進み、今度はJR東日本側のホームが足りなくなった為、増設したというわけだ。
 しわ寄せを食らったのは、1番丸の内側にいた中央線だったりする。

 稲生:「じゃあ、いただきまーす」

 稲生は主に牛肉の詰まった駅弁を購入していた。
 それはマリアも同じ。
 ルーシーはどちらかというと魚の方が多く入ったものを買っていた。

〔「お待たせ致しました。12時ちょうど発、東北新幹線“やまびこ”137号、仙台行きと山形新幹線“つばさ”137号、山形・新庄行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕

 発車の時刻が迫る。
 東海道新幹線では発車メロディが流れるが、東北新幹線では未だにベルである。

〔23番線から、“やまびこ”137号、仙台行きと“つばさ”137号、山形・新庄行きが発車致します。次は、上野に止まります。黄色いブロックまで、お下がりください〕
〔「23番線、まもなくドアが閉まります。お見送りのお客様、お下がりください。ドアが閉まります」〕

 東海道新幹線では重低音響くブザーだが、東北新幹線では甲高い客終合図のブザーが響く。
 旧型のE2系のドアはガラガラ、ガッチャン!と随分賑やかな閉まり方をする。
 そして車内に在来線のものとはまた違うインバータの音を響かせて、列車は定刻通りに発車した。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は1号車から10号車が東北新幹線“やまびこ”号、仙台行き。11号車から17号車が山形新幹線“つばさ”号、山形・新庄行きです。途中、福島で切り離しを致しますので、お乗り間違えの無いよう、ご注意ください。次は、上野です。……〕

 稲生:「大宮駅までは徐行運転ですけど、そこを過ぎたら最高速度で走りますから」
 ルーシー:「何キロ?」
 稲生:「“やまびこ”だと時速275キロです」

 だいぶ速くなった。
 まだE1系やE4系が現役だった頃は時速240キロの世界だったのだが。
 鈍重な2階建て車両を排除したら、“やまびこ”でさえ、かつての“はやて”の最高速度と同じになった。

 ルーシー:「275……。うっ……頭が……!JRA……メインレース……3連単2-7-5……」
 稲生:「! ちょっと藤谷班長に電話して来ます!」
 マリア:「なに?!ルーシーも競馬の予想するの!?」

 藤谷は全く予想だにしていなかった番号だったらしいが、後でしっかり取れたとホクホク顔で電話してきたことから、ルーシーの予知能力も大したものだったのだろう。
 もちろん、分け前はしっかり頂いた稲生であった。
 尚、折伏中のケンショーレンジャー、ケンショーブルーは再び大ハズレして石化していたという。

 マリア:「ユーロスターには乗ったの?」
 ルーシー:「まだ。というか、まだ高速列車にすら乗ってない」
 マリア:「ルーシーのダディ、鉄道員だったのに?」
 ルーシー:「鉄道員は鉄道員でも、地下鉄職員だったから……」
 マリア:「そうなの!」

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