報恩坊の怪しい偽作家!

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“戦う社長の物語” 「ゲームだとクイックタイムイベント(QTE)が発生した件」

2018-06-29 19:12:36 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月23日11:30.天候:雨 宮城県栗原市郊外 廃坑入口]

 敷島:「……はい、そうです。エミリー達が一部始終を映像に記録していますので、これが何よりの証拠です」

 敷島は電話で東京の鷲田警視に連絡を取っていた。

 敷島:「……ええ。もちろん、銃火器は使用していませんよ。これも映像を観て頂ければ分かります。……分かりました。じゃあ、私達は帰京します。取り急ぎ、まずは映像だけを送信しておきますので。……はい。それでは、失礼します」

 敷島が電話している間、平賀がエミリーから送られて来た動画を鷲田に送信する作業を行っていた。

 平賀:「よし、送信っと」

 そんなことをしている間にエミリー達が戻って来た。

 村上:「おお、皆の衆。大儀であった」
 エミリー:「只今、戻りました」
 敷島:「お疲れさん、4人とも」
 鏡音レン:「ボク達は何もしていませんけど……」
 平賀:「しょうがない。想定内の事が起こったんだ。あのままお前達を進めるわけにはいかないさ。ですよね、敷島さん?」
 敷島:「その通り。それに、事件性ありと確定した以上、あとはもう警察に全て任せることになる。俺達の仕事はこれで終わりだ」
 シンディ:「結局、デイジーがいたかどうかは分かりませんでしたね」
 アリス:「アンタ達のレーダーでは?」
 シンディ:「捕捉できませんでした」
 平賀:「もしかしたら、デイジーが自分達を近づけない為の策だったのかもしれませんね。死体を発見した以上、民間人の自分達はもう動けないことを知って、わざと死体をあそこに置いたのだとしたら悪質です。しかも爆弾付きのヘルメットを被せておくなんて」
 村上:「解せんのは、山田君の行動じゃ。ロイドのお前達に死亡確認がされたというのに、あれではまるで……そう、ホラー映画のゾンビじゃ」
 敷島:「本当に死んでたんだよな?」
 シンディ:「ええ。体温も低かった上に、呼吸も脈拍も測定できませんでした。それ以前に、死後硬直が……」

 ズズン……!

 敷島:「ん!?」

 何か崩れる音がした。
 いつの間にか雨足が強くなっている。

 平賀:「敷島さん、一旦ここから待避しましょう。廃坑になってからロクに道の整備がされていなかったのでしょう。もしかすると、崩落の危険があります」
 敷島:「そ、それもそうですね。早く、車に乗ってください」

 敷島達は車に乗った。
 すぐに敷島がエンジンを掛けて、車を出す。
 一旦、バックして方向転換をしなければならない。
 と!

 敷島:「うわっ!?」

 車を止めていた所は崖っぷちであった。
 それが、急に強くなった雨足のせいで地盤が緩んでいたのだろう。
 後輪の部分が崩れ落ちた。

 敷島:「く、くそっ!」

 敷島は急いでギアをドライブに入れてアクセルを踏み込んだ。
 咄嗟の判断のおかげで車が落ちることは無かったが、かといって前にも進めなくなってしまった。
 このままではまた崩れて、今度こそ谷底へダイブとなるだろう。

 ロイ:「私が崖下に下りて、車を受け止めます!」
 鏡音リン:「さすがロイろい!自己犠牲!」

 ロイは車から飛び降りると、崖下に下りようとした。
 が!

 エミリー:「バカ!私達が車を前から引けば良いのだ!なに落ちる前提で行動している!!」
 鏡音レン:「そ、それもそうですよね」
 ロイ:「失礼しました!」

 ロイは言われた通りエミリーと2人で車の前に回り、車のバンパーを掴んだ。

 エミリー:「一気に引くぞ!」
 ロイ:「はい!」
 シンディ:「手ェ抜くんじゃないよ!姉さんに手間かけさせたら、シバき……!」

 シンディは助手席の窓からロイにハッパをかけた。
 だが、そんなシンディの髪をエミリーが掴んで引っ張る。

 エミリー:「お前が1番重いのだ。お前も降りろ」
 シンディ:「ゴ、ゴメンナサイ……」

 現時点におけるマルチタイプの自重、エミリーが120キロ、シンディが130キロ、ロイが100キロである。
 尚、リンとレンは50キロである。
 エミリーはシンディを引きずり降ろすと、再び車を引っ張った。

 敷島:「よし、上がれたぞ!さすがはエミリーだ!」
 村上:「ロイもよくやったぞい。最初の行動に問題はあるが……」
 エミリー:「お役に立てて何よりです」
 ロイ:「もっと学習させて頂きます……」

 敷島はエミリーとロイが乗り込んだのを確認すると、すぐに車を出した。

 敷島:「うわ、まるで洗い越しだな」
 シンディ:「まんま、洗い越しですね」

 洗い越しとは、道路を横切る川のことである。
 よくテレビなどで、大型のRV車(ハマーなど)が川の中をザブザブ進んで渡って行く映像を御覧になった方もいるだろう。
 それのことである。
 日本にも国道でありながら、そういった洗い越しのある所は今でも存在する。
 もちろん日本国内のそれは小川であり、テレビ映像のような大きな川ではない。
 しかし、天候状態の如何によっては【お察しください】。
 西日本では国道157号線(国道418号線と重複する区間)の岐阜県本巣市根尾黒津〜温見峠の間、東日本では国道352号線の福島県南会津郡の奥只見湖沿いにある。

 敷島:「天気が崩れるとは言っていたが、これほどとは……」
 村上:「山の天気は変わりやすいというからのぅ……」

 そして敷島達、何とか県道に復帰することができた。

 敷島:「ここまで来れば、もう安心だろう」

 そして、県道から今度は国道へと入った。

[同日12:00.天候:曇 宮城県栗原市(旧・栗原郡花山村村域) 道の駅“路田里はなやま”]

 敷島:「ちょうどお昼時なので、ここで休憩していきましょう」
 村上:「うむ。そうじゃな」

 駐車場に車を止める。

 敷島:「じゃあ、俺達は昼飯食って来るから」
 リン:「行ってらっしゃーい!」(^_^)/~
 村上:「『自然薯の館』とな?」
 平賀:「自然薯が名物みたいですよ」
 敷島:「アリスにとろろ芋が食えるかな?」( ̄ー ̄)
 アリス:「Tororo-Imo?」(・・?

 人間達が道の駅のレストランに向かったのを見届けるロイド達。

 リン:「レン、ヒマだからゲームでもしようYo〜」
 レン:「それしか無いね」

 ボーカロイド姉弟はPSPを取り出した。
 エミリーとシンディは車から降りて、周囲の警戒に当たる。

 シンディ:「デイジーのヤツ、本当に仕掛けて来たのかしら?」
 エミリー:「分からない。だけど、実は本当はもっとあの坑道を探索した方が良かったのかもしれない」
 ロイ:「真相に近づく為には、エミリー様の仰る通りだったと思います。ですが、安全性となると……」

 山の方を見ると、どんよりとした雲が空を覆っていた。
 この辺はまだ雨が降っていないが、敷島達を逃がした雨雲が今追い掛けて来ている最中なのだろう。
 そして恐らく、再び敷島達は雨に捕まることになるだろう。

 エミリー:「土砂災害に巻き込まれた恐れがある。確かに社長達の安全無くして、探索を続けるわけにはいかない」
 シンディ:「そうね……」

 それにしても、とエミリーは思う。

 エミリー:(あの時、坑道の奥にいたのは誰だったのだろう?他の犠牲者だったのだろうか……)

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