[7月25日14:20.天候:晴 宮城県名取市・岩沼市 仙台国際空港→ANA3234便機内]
出発ロビーで待っていると、搭乗案内のアナウンスが流れて来た。
私達を含む乗客達は、飛行機に向かうことになる。
飛行機で帰京するのは2度目だ。
1度目は八丈島からだったな。
ただ、八丈島からの時とは2つ大きな異なる点があった。
それはターミナルビルの外に出て、直接徒歩で飛行機に向かうこと、そしてもう1つは……。
愛原:「プロペラ機か……」
ジェット機ではなく、プロペラ機であったことだ。
当然ながら機体は小さく、大型バス2台分くらいの定員といったところだろうか。
リサ:「あっ……!」
大型のジェット機ならまだしも、本当にこんな小型のプロペラ機は離陸できるのだろうか。
それくらい風が強くなっていた。
リサの被っていたパーカーのフードが風で外れ、内側にあったおかっぱの髪が風で靡くほどだ。
顔に掛かった自分の髪をリサは退かしながら、再びフードを被り直した。
空は相変わらず晴れているのだが、この風はやはりゲリラ豪雨のフラグとなっているようだ。
天気予報では夕方、ゲリラ豪雨に注意とある。
で、タラップを昇って機内に入る。
八丈島の時は中央に通路があって、その両側に3人席が並んでいる(エコノミークラスのみ)のだが、今回は中央に通路がある所は同じだが、その両側は観光バスや在来線特急のように2人席が並んでいることだった。
全てエコノミークラスで、プレミアムクラスやビジネスクラスは無い。
ましてや、ファーストクラスは言うまでもない。
愛原:「後ろの方だな」
高橋:「俺、先生の隣で」
リサ:「私も先生の隣で」
高橋:「おい!」
リサ:「なに!?」
愛原:「オマエらが仲良く2人で座れ。俺は前に1人で座るから」
高橋:「ええーっ!」
リサ:「そんなぁ……」
愛原:「2人とも、俺の言う事は?」
高橋:「絶対です!」
リサ:「絶対!」
愛原:「そういうことだから」
私は進行方向左側の窓側席に座り、リサはその後ろ、高橋はその隣に座った。
座ってみると、確かに小型機ならではの圧迫感があることはあるが、座り心地は悪くない。
これはボンバルディア製のDHC8-400という、比較的新しいタイプだからだろう。
時代が時代なら国産のYS11で運航されていただろうが、それはもう全廃となったので、似たような外国製の機種を見繕ってきたのだろう。
シートピッチもエコノミークラスなのでお世辞にも広いとは言えないが、しかし小型機のハンデは感じさせない。
つまり、他の機種と大差無いということだ。
但し、座席にモニターは付いていない。
……どころか、機内を見回してみてもモニターは存在しない。
スクリーンに投影するタイプでもないだろう。
それはいいのだが、その場合、離陸前に流される安全ビデオはどうやって流すのだろう?
ハットラックは大型・中型機と比べて小さく、その為に持ち込める手荷物に関しての制限は厳しい。
私達の荷物は余裕で入ったが。
うん、あのテディベアは宅配便にして正解だった。
オーディオのサービスはあるみたいで、イヤホンはあるし、機内にもBGMが流れている。
愛原:「これは……客少ないな」
ヘタしたら緊急事態宣言が出るかもしれないという時期、まだまだ国際線が軒並み欠航となっている中、それらへのアクセスを当て込んでいるこの便の乗客数は少なかった。
私の隣は誰も座らなかったし、空席が目立っている。
離陸前にはスッチーCAがハットラックの閉まり具合や、乗客のシートベルト着用の確認をして回る。
エンジン音が変わり、飛行機が動き出した。
確かに、ジェット機のそれとは音が違う。
プロペラ機は初めて乗るが、これは……何だろう?
とにかく、ジェット機と違うのは間違いない。
大東亜戦争をテーマにした映画などで、零戦やB29やP51が飛ぶシーンを見たことがあるが、それらもプロペラ機ながら、あれらの音とも違う。
とにかく、形容しがたい。
そんなことを考えていると、スピーカーから機内安全ビデオの放送が流れて来た。
やはり音声だけで案内するだろうか?
と、思ったら違った。
音声に合わせてCAが実演しているのだった。
特に、救命胴衣の使い方。
これは大事だからな。
まあ、2013年に起きた香港のバイオハザード事件で、アメリカのエージェント達を乗せた飛行機もまたバイオハザードに見舞われて墜落したそうだが、何故かそのエージェント達は無傷だったというエピソードがある。
私も主人公ではあるが、さすがに飛行機が墜落して無事ではないだろう。
最近の“バイオハザードシリーズ”の主人公達、彼ら自身が化け物じゃね?
そしてそんな安全講習が終わると、いよいよ離陸となる。
エンジンの出力を上げて一気に加速し、離陸するというところはジェット機と同じなのだが、やっぱり音が違うのと……。
愛原:「あー、そういうことか」
やっと気づいた。
この機種、翼が窓の上にあるものだから、他の機種と違って、翼が邪魔で景色があまり見えないということが無いのだ。
で、もう1つ言えるのは……まあ、揺れる揺れる。
揺れ方は高速道路を走行中の高速バスとか、高速走行中の在来線特急列車の中といった感じなのだが、同じような揺れでもやっぱり地上と空中では心境が違う。
例えば気流に襲われて揺れたとしよう。
列車だってポイント通過の時は大きく揺れる。
だけど、同じような揺れでも前者と後者とでは心境が違うのだ。
船舶だって、大型船より小型船の方が揺れやすいのだから当然ではあるが。
鉄道だって16両編成の新幹線より、1両だけのローカル線の方が揺れるだろう?
それと同じ。
〔「……本日は風が強い為、フライト中、機内が大きく揺れることがございます。座席にお座りの際は、シートベルトを着用したままでお願い致します。……」〕
という機長からの放送が流れる。
もっとも、一切席を立ってはいけないほどではないらしい。
安定飛行に移ってから、CAが飲み物を配りに来たし、トイレに立つ乗客もいる。
CA:「失礼致します。お飲み物は何になさいますか?」
愛原:「それでは、私はコーヒーで」
高橋:「俺もコーヒー」
リサ:「私はオレンジジュース」
CA:「かしこまりました」
因みに飲み物を飲んだ後で、私もトイレに立ってみた。
この機種のトイレは1ヶ所しか無い。
私の目的は、機内に怪しい者はいないかということ。
一応、見てみたが、テロリストらしき人物は見当たらなかった。
もっとも、当たり前と言えば当たり前だが。
出発ロビーで待っていると、搭乗案内のアナウンスが流れて来た。
私達を含む乗客達は、飛行機に向かうことになる。
飛行機で帰京するのは2度目だ。
1度目は八丈島からだったな。
ただ、八丈島からの時とは2つ大きな異なる点があった。
それはターミナルビルの外に出て、直接徒歩で飛行機に向かうこと、そしてもう1つは……。
愛原:「プロペラ機か……」
ジェット機ではなく、プロペラ機であったことだ。
当然ながら機体は小さく、大型バス2台分くらいの定員といったところだろうか。
リサ:「あっ……!」
大型のジェット機ならまだしも、本当にこんな小型のプロペラ機は離陸できるのだろうか。
それくらい風が強くなっていた。
リサの被っていたパーカーのフードが風で外れ、内側にあったおかっぱの髪が風で靡くほどだ。
顔に掛かった自分の髪をリサは退かしながら、再びフードを被り直した。
空は相変わらず晴れているのだが、この風はやはりゲリラ豪雨のフラグとなっているようだ。
天気予報では夕方、ゲリラ豪雨に注意とある。
で、タラップを昇って機内に入る。
八丈島の時は中央に通路があって、その両側に3人席が並んでいる(エコノミークラスのみ)のだが、今回は中央に通路がある所は同じだが、その両側は観光バスや在来線特急のように2人席が並んでいることだった。
全てエコノミークラスで、プレミアムクラスやビジネスクラスは無い。
ましてや、ファーストクラスは言うまでもない。
愛原:「後ろの方だな」
高橋:「俺、先生の隣で」
リサ:「私も先生の隣で」
高橋:「おい!」
リサ:「なに!?」
愛原:「オマエらが仲良く2人で座れ。俺は前に1人で座るから」
高橋:「ええーっ!」
リサ:「そんなぁ……」
愛原:「2人とも、俺の言う事は?」
高橋:「絶対です!」
リサ:「絶対!」
愛原:「そういうことだから」
私は進行方向左側の窓側席に座り、リサはその後ろ、高橋はその隣に座った。
座ってみると、確かに小型機ならではの圧迫感があることはあるが、座り心地は悪くない。
これはボンバルディア製のDHC8-400という、比較的新しいタイプだからだろう。
時代が時代なら国産のYS11で運航されていただろうが、それはもう全廃となったので、似たような外国製の機種を見繕ってきたのだろう。
シートピッチもエコノミークラスなのでお世辞にも広いとは言えないが、しかし小型機のハンデは感じさせない。
つまり、他の機種と大差無いということだ。
但し、座席にモニターは付いていない。
……どころか、機内を見回してみてもモニターは存在しない。
スクリーンに投影するタイプでもないだろう。
それはいいのだが、その場合、離陸前に流される安全ビデオはどうやって流すのだろう?
ハットラックは大型・中型機と比べて小さく、その為に持ち込める手荷物に関しての制限は厳しい。
私達の荷物は余裕で入ったが。
うん、あのテディベアは宅配便にして正解だった。
オーディオのサービスはあるみたいで、イヤホンはあるし、機内にもBGMが流れている。
愛原:「これは……客少ないな」
ヘタしたら緊急事態宣言が出るかもしれないという時期、まだまだ国際線が軒並み欠航となっている中、それらへのアクセスを当て込んでいるこの便の乗客数は少なかった。
私の隣は誰も座らなかったし、空席が目立っている。
離陸前には
エンジン音が変わり、飛行機が動き出した。
確かに、ジェット機のそれとは音が違う。
プロペラ機は初めて乗るが、これは……何だろう?
とにかく、ジェット機と違うのは間違いない。
大東亜戦争をテーマにした映画などで、零戦やB29やP51が飛ぶシーンを見たことがあるが、それらもプロペラ機ながら、あれらの音とも違う。
とにかく、形容しがたい。
そんなことを考えていると、スピーカーから機内安全ビデオの放送が流れて来た。
やはり音声だけで案内するだろうか?
と、思ったら違った。
音声に合わせてCAが実演しているのだった。
特に、救命胴衣の使い方。
これは大事だからな。
まあ、2013年に起きた香港のバイオハザード事件で、アメリカのエージェント達を乗せた飛行機もまたバイオハザードに見舞われて墜落したそうだが、何故かそのエージェント達は無傷だったというエピソードがある。
私も主人公ではあるが、さすがに飛行機が墜落して無事ではないだろう。
そしてそんな安全講習が終わると、いよいよ離陸となる。
エンジンの出力を上げて一気に加速し、離陸するというところはジェット機と同じなのだが、やっぱり音が違うのと……。
愛原:「あー、そういうことか」
やっと気づいた。
この機種、翼が窓の上にあるものだから、他の機種と違って、翼が邪魔で景色があまり見えないということが無いのだ。
で、もう1つ言えるのは……まあ、揺れる揺れる。
揺れ方は高速道路を走行中の高速バスとか、高速走行中の在来線特急列車の中といった感じなのだが、同じような揺れでもやっぱり地上と空中では心境が違う。
例えば気流に襲われて揺れたとしよう。
列車だってポイント通過の時は大きく揺れる。
だけど、同じような揺れでも前者と後者とでは心境が違うのだ。
船舶だって、大型船より小型船の方が揺れやすいのだから当然ではあるが。
鉄道だって16両編成の新幹線より、1両だけのローカル線の方が揺れるだろう?
それと同じ。
〔「……本日は風が強い為、フライト中、機内が大きく揺れることがございます。座席にお座りの際は、シートベルトを着用したままでお願い致します。……」〕
という機長からの放送が流れる。
もっとも、一切席を立ってはいけないほどではないらしい。
安定飛行に移ってから、CAが飲み物を配りに来たし、トイレに立つ乗客もいる。
CA:「失礼致します。お飲み物は何になさいますか?」
愛原:「それでは、私はコーヒーで」
高橋:「俺もコーヒー」
リサ:「私はオレンジジュース」
CA:「かしこまりました」
因みに飲み物を飲んだ後で、私もトイレに立ってみた。
この機種のトイレは1ヶ所しか無い。
私の目的は、機内に怪しい者はいないかということ。
一応、見てみたが、テロリストらしき人物は見当たらなかった。
もっとも、当たり前と言えば当たり前だが。
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