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日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

福島原発事故 やっぱり圧力容器の下の方に穴が開いている

2011-03-28 20:33:04 | Weblog
原発事故発生の翌12日、原子力安全・保安院が記者会見で行った状況説明が私にはさっぱり飲み込めない。まずは事故が一体どのような段階にあってどのような手段を取っているのか、具体的な説明が欲しいと思った。そこで私は「原子力発電所の原子炉が、原子爆弾のように爆発を起こすということはありえない」 しかし・・・で述べたように、R.T.ゲイル・T.ハウザー著、吉本晋一訳「チェルノブイリ―アメリカ人医師の体験―」(岩波新書)からメルトダウンにいたる経過の部分を引用し、とくに次の部分を強調した。ここに再掲する。

 一般に、原子炉の炉心は水漬けになっている。しかし、新たな冷却水の供給が途絶えると、圧力容器にすでに入っている水は加熱し、沸騰し、蒸発してしまう。この現象が起きると、原子炉内の温度が上昇を初め、粒状の燃料を収容している燃料棒の被覆菅が溶融する。やがて、ウラン燃料も溶融を始め、炉心を溶融した放射性金属の塊に変えてしまう。 そうした経過をたどったあと、最終的には炉心は圧力容器の底部に「たまり」となって崩れ落ちる。やがて温度は華氏5000度(摂氏2760度)にも達し、炉心は容器を突き抜け、原子炉を封じ込めている外部構造物の底部へと溶融してゆく。これら構造物は放射能の漏洩と爆発に耐えられるように設計されているが、メルトダウンに対しては抗する手段は与えられていない。

そして翌13日の福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかでは次のように述べて容器かパイプ類にヒビがはいった可能性を指摘した。

東京電力福島第一原発1号機の炉心は、水位低下が止まらずとのことであるが、炉心の水位低下が燃料棒を水面から露出させることになり、これが危険だから水を供給して水面を上昇させようとしているはずなのに、なぜ水位低下がとまらないのかが分からない。地震で容器かパイプ類にヒビがはいり、そこから漏れ出したのだろうか。私が取材者ならそれを問いただすだろうにと思った。

この日より15日目になる今日(28日)のasahi.comの記事(抜粋)である。

東電、核燃料の圧力容器損傷に言及「健全性は維持」

 しかし1~3号機いずれでも、圧力容器の水位計の数値は思うように上がっていない。東電は28日未明の会見で、注水しても圧力容器が満杯にならない原因を、「(圧力容器の)下の方に穴が開いているイメージだ」と認めた。穴が開いた理由は「わからない」という。

 圧力容器は燃料ペレット、燃料被覆管、格納容器、原子炉建屋と合わせた5重の放射能閉じ込め機能の中で、最も重要な位置づけだ。福島第一原発の圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄でできており、底部には、計測装置などを外部から差し込む貫通部などがある。その周辺から漏れている可能性が考えられる。

 東電は、水面から露出した核燃料が過熱して損傷した可能性を認めている。専門家によると、核燃料を束ねた燃料棒が損傷して崩れ、圧力容器下部に落下してかたまりになると、表面積が小さくなって効率よく水で冷やせなくなる。極めて高温になった燃料が圧力容器の壁を溶かして穴を開けた可能性もある。
(2011年3月28日15時0分)

素人が一般常識で予測した「容器破損」の可能性に東電がいつ気づいたのかは分からないが、今頃になってその事実を発表するこの超スローモー振りはやはりただ事ではない。危機管理の鉄則はその状況下で最悪の事態を想定し対策を講じるべきではないのか。それが出来ていなかったからこそ今に至るまでに圧力容器内の燃料棒に由来する放射性物質が大量に外部に漏出し、先ほどの午後6時前のニュースで《福島第一原発2号機タービン建屋の外にある地下溝に水がたまり、表面から毎時1千ミリシーベルト以上の放射線を計測》と報じられるまでになってしまった。

私が福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!と声を上げてもう10日になるが今からでも遅くない、一刻も早く米軍投入に踏ん切るべきであろう。米軍も怖じ気付く事態になっていないことを祈るのみである。

原子炉を作った人と動かす人

2011-03-27 20:03:53 | Weblog
以前に東京電力をあまりにも知らなさすぎた 関西電力は?なんて記事を書いた。ところがこの記事を読み返しているうちに、私は東京電力の実像をまだ理解出来ていないことに気がついた。それは私が次のように書いていることからも分かる。

東京電力にはすべてを知る生え抜き、たたき上げの技術者集団があって、その束ね役のトップ技術者が原発を動かす要の位置にいるのだろう、と私は勝手に想像していた。それがたとえば福島原発ならその所長であろうし、また本社では技術担当重役であろうと。原発とともに育った経験豊かな技術者が緊急時に指揮を掌握してこそ始めて迅速な対応が可能になる。だからこそ日ごろからその態勢で非常事態の訓練をしていたのであろうと思っていた。ところがいろいろと洩れ伝わる情報では東京電力のトップに技術系が不在とか。それに現場で実際に作業しているのはメーカーである東芝とか日立の技術者であるとか。では束ねているのは誰なのだろうか。

この強調部分であるが、まさに私は実像とは異なることを勝手に想像していたようなのである。では何が実像なのかであるが、その前にそもそも東京電力は何をする会社かを明らかにしないといけない。それは簡単、東京電力は電気をつくって顧客に販売する会社なのである。そう考えると私の頭も少々整理されてくる。

話が変わるが、現役時代に私が最もお世話になった測定装置といえば、化学物質に特有に吸光スペクトルを記録するいろんな種類の分光装置であった。その一つがCary 14 UV/Vis/NIR Spectrophotometerで米国からの輸入品であった。最初にお目にかかったのは創設時の阪大蛋白研にある佐藤了先生の研究室で、測定試料を持っては当時中之島にあった阪大理学部から蛋白研まで日参したものである。その後私たちの研究室でもCary 15型分光器を購入することになり、摂氏20度に保った恒温恒湿の測定室におさまり、私がそのお守り役を買って出た。日常のメンテナンスなどはなんとかこなせたが、手に負えないトラブルは巡回してくるメーカーの技術者に頼らざるを得なかった。その技術者の仕事ぶりの凄いこと、いったん仕事を始めたら食事も摂らずに一心不乱に装置に取り組む。日本人を遙かに上回る勤勉さに度肝を抜かれた覚えがある。私も四六時中付き合って習得するものを逃さないように心がけたが、へとへとになってしまった。出張修理費がかなり高額だったと思うが、十分それに値する仕事ぶりでトラブルは見事に解決された。

なぜこのような話を持ち出したかというと、東京電力にとって原子炉や発電機はメーカーの製品で、私にとっての分光器のようなものではないのか、と思い始めたからである。単純ではあるがこのように類推すると、東京電力は原子炉や発電機を買ってそれを動かすだけが仕事という考えが成り立つ。原子炉に発電機、さらには発電設備すべてが東京電力にすればメーカーからの購入品である。正常に動くのが当たり前で、なにかトラブルが起きるとそれを修理出来るのもメーカーである。

ではこの原子炉の性能・仕様について、主導権を握るのは作る側か使う側の何れなのだろう。使う側としては出力がこれくらいで、この程度の地震には耐えるようにとしか言いようがないのではなかろうか。それとも東京電力側に性能・仕様について、メーカー側とも対等に渡り合って一緒に設計から出来る専門家・技術者集団が存在するのだろうか。私はそういう状況を想像したが、実際は注文はつけながらも、メーカーの売り込むものを買うだけになっていたのでは、と思うようになった。それは最近のThe New York Timesが、ロシアの国営原子力会社Rostomがチェルノブイリを経験したからこそ作ることの出来る安全な原子力発電所を謳い文句に、中国、印度をはじめ発展途上国にセールス攻勢をかけていると報じていたからである。そのRostomは福島原発事故の発生後、原子力協力協定を結んでいる米国と共同で地震の衝撃に対する原子炉の強度テストを数ヶ月中に終了することをはやばやと発表している。主導権を握っているのはあくまでもメーカーである。だから原子炉にトラブルが発生したときは製造責任のあるメーカーが対応するの当然で、福島原発事故現場でメーカーである東芝の技術者達が作業しているのであろう。

では原発の操業に関して東京電力の担う責任は何かと言えば、管理責任であろう。しかしその管理責任がどこまで及ぶかが問題である。火事が起これば消防署に急報はするだろう。では今回のように放射能洩れが発生すればどうするのだろう。元来なら放射能対策を施した消防隊に通報すればそれでよいのだろうか。この辺りになると次第に分かりにくくなる。私は福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかなんて、東京電力を決めつけるような言い方をしたが、東京電力側にしてみるとメーカーが地震にも耐えられると言ったから買ったまでで、地震で原発が壊れたら修理するのはメーカーの仕事、という認識だったのだろうか。そう言えば3月26日付けのThe New York Timesに次のような記事(抜粋)があった。

Nuclear Rules in Japan Relied on Old Science
By NORIMITSU ONISHI and JAMES GLANZ

After an advisory group issued nonbinding recommendations in 2002, Tokyo Electric Power Company, the plant owner and Japan’s biggest utility, raised its maximum projected tsunami at Fukushima Daiichi to between 17.7 and 18.7 feet ― considerably higher than the 13-foot-high bluff. Yet the company appeared to respond only by raising the level of an electric pump near the coast by 8 inches, presumably to protect it from high water, regulators said.

“We can only work on precedent, and there was no precedent,” said Tsuneo Futami, a former Tokyo Electric nuclear engineer who was the director of Fukushima Daiichi in the late 1990s. “When I headed the plant, the thought of a tsunami never crossed my mind.”

私には信じがたい話であるが、海に面した福島第一原発の所長ですらこの程度の認識だったのである。しかし考えてみれば津波も地震と同じく、一原発所長が考えていたからとてどうなることではない。それ以前の問題であろう。そうなると福島第一原発を作ることを決めた時点での話に遡ることになる。かれこれ半世紀前のことになるから、今とは事情が大きく異なるかも知れないが、東京電力が福島に原発を作りたいと思っても原子力が絡むだけに必ずや政府の認可が必要であっただろう。それ以上に地元の協力無くして実現は不可能であっただろう。その折衝過程で当然地震、津波に対する備えが問題になったことだろう。そうすると地震学者、津波学者がどこかで顔を出したことであろう。どのような意見でそれがどのように生かされたのだろう。(すでに行われているのかも知れないが)ぜひ検証が必要である。いずれにせよこの時点で、究極的な責任が政府、経産省にあるような気がし始めた。もしかして東京電力は「哀れな」存在で、そもそもが「スケープゴート」的存在だったのかも知れない。


福島原発事故 実情を知れば知るほど気が重い

2011-03-26 21:36:21 | Weblog
福島第一原発3号機のタービン建屋内で被曝した作業員3人は早ければ週明けにも退院の予定とのことなので、まずは大事に至らなくてよかったと思う。しかし伝わってくる作業現場の状況があまりにもちゃらんぽらんで言う言葉を失った思いである。たとえば今日の朝日朝刊からの引用である。

人手不足 放射線管理甘く 警報後も作業継続

「東電の原発では以前から安全管理がずさんだった」。東電の作業実態に詳しい原子力技術者はこう明かす。
 この技術者は、「かなり前の話」とことわりつつ、「下請け企業の作業員は放射線計のアラームが鳴っても止め、そのまま作業を続けることはこれまでにもよくあった」と指摘した。「下請けにはノルマがあり、時間通りに終えないと、契約額の減額などのペナルティが科せられることなどが背景にある」という。

おそらくそうなのであろう。切ない、としか言いようがない。

 一方、復旧作業に従事する作業員と連絡を取り合っている元東電社員の証言は、さらに深刻な事態をうかがわせる。「放射線の安全管理はひどいとしか言いようがない状態のようだ」

これも真実なのだろう。今、起こっていることを見れば納得出来る。さらには

 東京電力福島第一原子力発電所3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)事故をめぐり、東電側が1号機の同建屋でも同様の放射線量を6日前に把握しながら、注意喚起していなかったことが判明。東電側は26日、後手にまわった対応への釈明に追われた。専門家らは、ずさんな安全管理を批判している。
(asahi.com 2011年3月26日17時0分)

3号機タービン建屋内に深さ15センチほどの水たまりが出来ていて、その水にはコバルト60やヨウ素131のほか、セシウム137が含まれており、1立方センチメートルあたり390万ベクレルの放射能量が検出された。それと同じ程度の放射能量を1号機タービン建屋内ですでに6日前に把握していたのに、その情報が3号機側に伝わっていなかったと言うのである。信じられな~い、である。この390万ベクレルとは、昨日述べたように私の体内に入った5400万ベクレルの十分の一に迫ろうとしている。さらに追い打ちをかけたのが次のデータである。

東日本大震災:福島第1原発事故 海水から1250倍ヨウ素 タービン建屋から漏出か

 経済産業省原子力安全・保安院は26日、東京電力福島第1原発の放水口から南へ330メートル離れた場所で25日午前8時半に採取した海水から、放射性物質のヨウ素131が法律で定められている値の1250・8倍の放射能濃度で検出されたと発表した。東電は「放射性物質を含んだ水が海水に漏れ出している可能性が高い。(1~3号機のタービン建屋地下で見つかった)水たまりから出ている可能性も否定できない」とし、海水の調査を1日1回から2回に増やす。
(毎日新聞 2011年3月26日 東京夕刊)

放水口から300メートル離れた場所の値である。では、放水口では?もうこれは燃料プールにある使用済み燃料ではなくて、明らかに原子炉圧力容器内の燃料棒が破損して放射性物質が外部に漏出したからであろう。さらには少なくとも1号機、2号機、3号機の原子炉建屋には放射線濃度が高くて作業員が入ることができないとのことである。したがってどのように「燃料棒の冷却」を行うことになるのかその手だてが見えてこない。

1979年3月に発生した米国スリーマイル島原発第二原子炉の原発事故も、冷却水の供給が止まり、冷却水が沸騰し始めて炉心上部が部分的に露出し、原子炉のウラン燃料棒が過熱により膨張して破裂した。その結果放射性物質のあるものは原子炉圧力容器内に排出され、放射能で汚染された大量の水が貯水タンクの収容されている別の建物にポンプで送られていったが、水そのものが外部には洩れなかった。そして給水回復措置がとられて事故は終息した。これにくらべると、福島第一原発では放射能に汚染された水がすでに外部にかなり大量に流れ出しており、また「燃料棒の冷却」が制御下に置かれてはいないので、過熱で燃料棒が破裂する危険性がいぜんとして続いている。いや、その一部はすでに破壊されているのかも知れない。福島第一原発事故が放出された放射能の推定量によって、国際評価尺度では米スリーマイル島原発事故(レベル5)を上回るレベル6相当とされたことが素直に理解出来そうである。それほど大きな事故も元を正せば初動の遅れが原因で、その規模がますます広がりつつある。それなのに、われわれに出来ることがただ眺めるだけとは。世界にまき散らす放射性物質の量が、チェルノブイリ原発事故の規模を上回ることにならないことを祈るしか仕方が無い。



東京電力をあまりにも知らなさすぎた 関西電力は?

2011-03-23 20:07:40 | Weblog
福島原発事故で東京電力の初動があまりにも遅いので、福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかと疑問を呈したが、作業現場では次ぎのような対応を期待していた。ささやかな経験にもとづく私なりの「常識」だったからである。

「想定内」であれば日ごろ訓練に用いられたマニャルに従い定められた対応をすれば十分であろう。しかし「想定外」の事態ではそれが効かないからこそ、現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。
福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しよう

現役時代にある実験装置を作ったことがある。いろいろと創意工夫を加えて出来上がった装置は当時世界唯一のもので、狭い専門分野ではあるが結構注目を浴びた。装置の作動原理は私のアイディアであったが、基本設計にはじまり液体制御や気体制御の機械部分、さらにはレーザー装置との組み合わせに全システムの電子制御装置とソフトウエアなど、必要なものすべてを信頼していたメーカーの技術スタッフと共同で作り上げた。おもに試験研究など科学研究費の支援を受けて始めて可能になったもので、おそらく総額は3000万円を上回ったであろう。既成装置を購入したわけではないので、なにかトラブルがあると自分で解決しなければならなかった。問題点を探り当てるのはすべてを知る私の仕事で、それを解決するには技術者の助けを借りることもあった。だから定年間際まで続けた共同研究でも、装置は私が動かさなければならなかったのである。

規模も内容も比べるべきものではないが、東京電力にはすべてを知る生え抜き、たたき上げの技術者集団があって、その束ね役のトップ技術者が原発を動かす要の位置にいるのだろう、と私は勝手に想像していた。それがたとえば福島原発ならその所長であろうし、また本社では技術担当重役であろうと。原発とともに育った経験豊かな技術者が緊急時に指揮を掌握してこそ始めて迅速な対応が可能になる。だからこそ日ごろからその態勢で非常事態の訓練をしていたのであろうと思っていた。ところがいろいろと洩れ伝わる情報では東京電力のトップに技術系が不在とか。それに現場で実際に作業しているのはメーカーである東芝とか日立の技術者であるとか。では束ねているのは誰なのだろうか。

蓋を開けてみれば私の疑問、福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかも当たっていたようである。それならそれで核戦争の戦場にも出かける装備を持った米軍特殊部隊に福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!でも述べたように、場合によれば米軍に指揮権を委譲するぐらいの覚悟で助力を仰ぐべきなのにそれも出来なかった。その一方でやっていたことは、自衛隊の方々にはご苦労であったものの、自衛隊ヘリコプターから海水をジャーと撒いて終わりであった。あれでは山火事でも消えるまい。やることなすことすべて児戯に等しい。東京電力は、そしてわが国は原発事故に山火事かもしくはそれ以下の対応しかできなかったことを、あれで世界にさらけ出してしまった。

東工大出身の菅直人総理を東京電力のトップにすげ替えたら、少しは技術者を重視する布陣が期待されるかも知れないが、今となっては手遅れである。近いところでは関西電力であるが、もし出来ていなかったら技術者重視の運営システムを早急に構築して欲しいものである。



テレビを見て 9日目に救出 広告 原発避難者 リビア  追記あり

2011-03-21 18:34:33 | Weblog
昨夜のNHKニュースが80才の祖母と16才の男の孫の救出を伝えていた。津波で押し流された自宅に閉じ込められ、乾いた毛布で暖を取り、冷蔵庫の食料品・飲料で命をつないでいたとのことである。女性が救護隊員の問いかけに力強い口調で的確に答えている姿に感動した。震災後9日目の救出である。まだまだ救出の手をゆるめるべきではないと思った。

テレビの映像で感動してから言うのもおかしいが、報道陣がその周りを取り囲んで救護隊員の動きの邪魔をしているように見えたのが気になった。さらに今日のお昼には入院中のその孫にカメラを向け、取材者が程度の悪い質問を浴びせかけていたが、アホと違うかと思った。カメラの暴力である。なぜ静かにさせてあげないのだろう。阪神・淡路大震災を経験した私には、大津波による惨禍の遠景だけでも十分である。ひたすら手を合わすのみなのだから。

コマーシャルと言うべきなのかどうか、わけの分からぬ広告がテレビで繰り返し繰り返し流されている。サッカーの元監督とか元女優?が顔をだしては脳卒中とかなんとかガンだとかのナレーションがしつこいほど繰り返される。この時期にこれらの広告の意図が分からないだけに不気味に感じる。この広告主の金、どこから出ているのだろう。なにか洗脳の狙いでもあるのだろうか。

福島原発の周辺から避難もしくは屋内待避をさせられた方々の生活が気になる。いつまで強いられるのか、見通しが立たないからである。集団疎開を真剣に考えるべき時なのではなかろうか。文部科学省がホームページで「福島原発周辺放射線モニタリングデータ」を発表している。しかし私が一番知りたいデータ、すなわち福島第一原発周辺20キロ以内のデータがたとえば3月21日16時00分時点では皆無である。たとえ住民は避難していても、これは基本的データである。せめてデータがあるのか無いのかぐらいは明らかにして欲しい。

そういえば消防車などが大量の海水を原発の内部設備に放水しているが、どこに消えていっているのだろう。蒸気になって空中か、溢れて流れ出して地下に潜るか海に戻るか。地下水、海水の放射線モニタリングデータが発表されていないのはデータが無いのか隠しているのか。肝腎な情報を公表すべきなのに誰も何も言わない。

リビアでカダフィ政権の軍事施設にたいする国連多国籍軍の攻撃が始まった。「飛行禁止空域設定の条件を整えることが目的」として、国連軍の監視飛行を妨げる恐れがあるとしてミサイル発射施設や早期警戒システムの破壊を狙ったとのことである。リビア情勢に疎いせいでもあろうが、かっての植民地宗主国の正体が剥き出しされているようにも感じる。もし北朝鮮で民衆が金政権に対して立ち上がったら同じように支援するぞとのメッセージでもあるのだろうか。その時、かっての宗主国日本は?

追記(3月22日)
海水汚染の状況を東京電力がようやく次のように公表した。

 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発から16キロ離れた海水から、安全基準の16.4倍にあたる濃度の放射性物質が検出されたことを、東京電力が22日午後の記者会見で明らかにした。同原発では、放水口付近での放射性物質の濃度が最大で百倍を超えたことがわかっており、海水汚染が広範囲に広がりつつあることがわかった。

 東電によると、21日午後11時45分ごろ、福島第一原発から南に16キロ離れた地点で海水を採取して調べたところ、放射性物質のヨウ素131が原子炉等規制法が定める基準の16.4倍、検出された。

 東電は、「普通ではない汚染が広がっていると受け止めている。大変申し訳ない」としている。
(asahi.com 2011年3月22日16時2分)



The New York Times(NYT)の福島第一原発現状報告

2011-03-19 12:42:54 | Weblog
日本の新聞などで報じられていない情報がNYTに出ている。その真偽を日本政府は速やかに明らかにすべきであろう。疑心暗鬼を払拭するためにも。引用は抜粋部分である。

Japan Races to Restart Reactors’ Cooling System

This article is by Ken Belson, Hiroko Tabuchi and Keith Bradsher.

●Japan’s Nuclear and Industrial Safety Agency said that the crisis now had wider consequences, and raised its assessment of the accident’s severity to a Level 5 on a seven-level scale established by the International Atomic Energy Agency. Hidehiko Nishiyama, a senior official at the agency, said the assessment was retroactive to Tuesday and based on the fact that officials now assumed that more than 3 percent of the nuclear fuel at the plant had experienced meltdown.
(Published: March 18, 2011)

朝日新聞朝刊では1号機から3号機までが18日に「レベル5」に上げられたと報じられたが、その評価が火曜日(15日)に遡るとは報じていない。その間政府は重大性を過小評価し、したがって対策に遅れがあったことになる。さらに(at the planが第一原発全体なのかどうなのかがはっきりしないが)核燃料の3%以上がすでに「メルトダウン」したとの部分を朝日は《炉心に重大な損傷があり》と伝えるのみである。

●In a further sign of spreading alarm on Friday that uranium in the Japanese plant could begin to melt, Japan planned to import about 150 tons of boron from South Korea and France to mix with water to be sprayed onto damaged reactors, French and South Korean officials said Friday. Boron absorbs neutrons during a nuclear reaction and can be used in an effort to stop a meltdown if the zirconium cladding on uranium fuel rods is compromised.

Tokyo Electric Power said this week that there was a possibility of “recriticality,” in which fission would resume if fuel rods melted and the uranium pellets slumped into a jumble on the floor of a storage pool or reactor core. Spraying pure water on the uranium under these conditions can actually accelerate fission, said Robert Albrecht, a longtime nuclear engineer.

“recriticality”とは地震発生時にいったん停止した核分裂反応が再び起こる、ということであろう。燃料棒が溶けたり(燃料棒の内部にある)ウラニウム・ペレットが燃料プールや炉心の底部に落下してゴチャゴチャの状態になり、核分裂反応が再発する可能性があると東京電力が今週発表したというのである。こんな重大なニュースを私は見逃したのだろうか。

●Additionally, a senior Western nuclear industry executive said Friday that there also appeared to be damage to the floor or sides of the spent fuel pool at Reactor No. 4, and that this was making it extremely hard to refill the pool with water. The problem was first reported by The Los Angeles Times.

4号機の使用済み核燃料プールの底か側壁が損傷しておれば、その水漏れの程度によるが、いくら給水してもプールを水で満たすことは出来なくなる。このような具体的な損傷の指摘がこれまであっただろうか。さらに記事はこのように続く。燃料棒プールの洩れを再確認しているのである。

The senior executive, who asked not to be identified because his comments could damage business relationships, said that a leak had not been located but that engineers had concluded that it must exist because water sprayed on the storage pool had been disappearing much more quickly than would be consistent with evaporation.

そしてこのような記事があった。

●At the request of the Japanese military, a Massachusetts company, iRobot, said it put four robots on a plane for Japan on Friday. Colin Angle, the chief executive, said it had sent two small robots that could measure radiation levels close to the reactors and two larger ones that could pull hoses to spray water on the fuel rods.

He said the robots might be able to tug the hoses for 200 to 300 yards. Japanese soldiers could operate the robots from a protected vehicle, he said.

私が福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかで、なぜ福島原発には無かったのかと不思議に思った注水ロボットが米国にはちゃんとあるではないか。

追記(4月12日)
 上の記事は3月19日に認めたもので、「福島第一原発の現状」で検索し、お立ち寄り頂いた方々にとっては旧聞に属することゆえ申し訳なく思う。その現状がなかなか見えてこない状況を福島第一原発の現状 なぜ見えてこないのかにまとめたので、ご覧いただければと思う。

福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!

2011-03-19 09:12:42 | Weblog
昨日の福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかで、《今からでも遅くない、米軍、露軍に緊急配備して貰ったらどうなのかと思う。》と述べた。放射能防御作業車両を始め放射能の充満した環境下で、連続的に作業可能な装備を備えた専門部隊の投入が原発事故の沈静化に欠かせないと思ったからである。どの程度に放射能防御態勢が欠けているかは今朝の朝日新聞がこのように伝えていることからでも分かる。

 作業員を守るため、消防車の前方に、鉄板やコンクリートの厚い壁をたて、放射線を遮るといった後方支援も必要だという。

今時このような話が取り沙汰なんて論外である。

次は今朝の産経ニュースである。

米軍、放射能専門家部隊450人派遣準備 日本はアドバイザー利用が有効

 東日本大震災で米国防総省は、東京電力福島第1原子力発電所の事態悪化に備え、放射能被害管理などを専門とする約450人の部隊を日本に派遣する準備に入った。日本政府も18日、受け入れ先の検討に着手したが、大規模部隊派遣は日本の情報発信に不信感を高める米側の最悪事態回避を迫る強いメッセージだといえる。自衛隊への支援が中心になるとみられる。日本側としては米軍の知見を生かす「活米」の発想が必要との声も出ている。
(2011.3.19 01:08)

「燃料棒の冷却」制御が地震発生後1週間を過ぎてしまっても、まだままならぬ現状はまさに非常事態である。私は福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しようで、《現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。》と述べたが、もはや事態はこの時点での規模を遙かに大きく上回り、総力戦に入っている。ところが肝腎の「指揮・命令系統」がおそらく未だに確立していないのであろう、私には見えてこない。

「指揮・命令系統」が存在する組織の代表例が「軍隊」である。たとえば関東大震災の時は関東戒厳司令部が地震発生後2日目の9月3日に設置され、陸軍大将が司令官となった。軍隊においては「指揮命令系統」は日常運用されているものであるが、とくに非常事態に際しての運用には事態を想定しての訓練が欠かせない。自衛隊はもともと「軍隊」ではないが、それでも「指揮・命令系統」がそれなりに存在して運用されているであろうが、一地域を完全に掌握して「指揮・命令系統」を一元化する事態を想定していたとは思えない。

時間があれば非常事態における「指揮・命令系統」の構築を考えていけばよいが、今はその時間がない。となると福島第一原発における「燃料棒の冷却」に集中して、米軍専門部隊への「指揮・命令系統」の委譲を念頭に入れつつ、なにはともあれその助力を要請すべきではなかろうか。とどのつまりは「人事を尽くして天命を待つ」である。まだまだ人事の尽くし方が足りていない。原発現場で必死の作業にあたっている作業員の方々の気力・体力も限界に達していることを憂う。一刻も早く次なる手を打つべきである。ここでいう米軍専門部隊は「核戦争」の戦場での行動が想定されているものと思う。その実態を知る絶好のチャンスでもあろう。

福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのか

2011-03-18 16:25:34 | Weblog
朝、外を見ると日陰の部分に雪が残っている。遙か北の被災地の方々のご無事をひたすら念じるのみである。

テレビを入れる。福島原発が出てこない。なんとか持ちこたえているようなのでほっとする。

3月11日に東日本大震災が発生、福島第一原発で稼働中の原子炉1号機、2号機、3号機とも緊急停止したが、停電とともに作動するはずだった13機ある非常用のディーゼル発電機が全滅して「電源」確保が破綻した。さらには「水」不足で炉心ならびに使用済み核燃料貯蔵プールの冷却に支障を来したことが現在にいたる数々の異常事態を引き起こした。

「電源」と「水」を一刻の遅滞も許さずに確保すべきであるのに、その動きが地震発生後48時間たってもほとんど伝わってこない。それが私をして福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかと言わせた。ところが地震発生後150時間になろうとするのに、いまだに「燃料棒の冷却」が制御下に置かれていない。現場で事態の沈静化に向けて決死の作業を続けている方々には頭の下がる思いであるが、一方、あまりにも杜撰としか言いようのない原発の「非常時対策」と、非常事態における「指揮・命令系統」が浮かび上がってきたのには驚きを禁じ得ない。私はもともと原子力発電については一般教養的知識しかないが、私なりに常識的に考えてみた。

●昨夜5時ごろのNHKニュースではもう10分もすれば警視庁機動隊の高圧放水車が放水を開始する予定と伝えていたが、予定が遅れに遅れて午後7時ごろになってようやく放水が始まったが、放射線量が基準を超えたので2回目の放水をせずに撤退してしまった。少々期待を持たされたがさもありなんと思った。もともと高圧放水車は暴徒鎮圧用のもので、放射能が充満しているようなところで作業をするように設計された車ではないからである。

そして驚いたのが、強い放射能環境下でも作業可能な放水車やポンプ車が福島原発には一台もなかったのかということである。放射能が周りに充満していても海水を汲み上げて注水や放水ができる作業車が一台でもあれば初期対応は遅滞なく行われたはずである。またロボット注水・放水車でもよい。このような特殊車両が備えられておればその動きが報じられるだろうに、そのような話がないので、もともと無かったのであろうと思わざるをえない。もしかして、日本中の原発のどこにも放射能防御作業車両が無いのだろうか。もしそうならこれは「想定外」で決して許されることではない。恐らく「秘密兵器」なのであろうが、今からでも遅くない、米軍、露軍に緊急配備して貰ったらどうなのかと思う。

●東京電力は17日になってようやく東北電力の近くの送電網から福島第一原発への送電ラインを復旧させる計画を発表した。当初の予定では17日午後にも「電源」が確保される見通しと言われたが、それが18日にも復旧しそうだに変わった。先ほどのニュースでは18日中に1、2号機に接続できて3、4号機も20日を目途に回復を目指すとのことであるが、あまりにも対応が遅すぎる。阪神・淡路大震災の時にわが家でも水道、ガスよりも電気の回復が一番早く、48時間程度であったように思う。「電源」確保が最優先であるはずなの何故ここまで遅れるのか、ぜひ説明を聞きたいものである。全体を統括する「指揮・命令系統」が不在であったせいだろうか。

●原発現場での作業を阻んでいるのがその周辺の高い放射能であると言われている。少しでも作業時間を稼ぐために作業員の被曝線量を100シーベルトから250シーベルトに引き上げたとのことである。やむを得ざる処置なのであろうが、もしこの放射能が噴出した蒸気に含まれる放射性物質によるものならどうせ外に出たものである、巨大なジェットエンジンでも使って原発周辺から海の方にでも追い払えば作業がしやすくなるように思うが、素人考えであろうか。

●東京電力福島第一原子力発電所への放水・冷却作戦に、東京消防庁の消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)が参加することになったとのニュースが流れてきた。

 派遣されたのは車両30台と隊員139人。毎分3.8トンの水を22メートルの高さから放水できる屈折放水塔車や、毎分5トン放水できる大型化学車、40メートル級のはしご車などで構成。大量の水を継続してくみ上げられる送水車やホースを延長する車両、放射線量を測定できる特殊災害対策車などもある。
(asahi.com 2011年3月18日14時9分)

心丈夫ではあるがやっぱり出動が遅い。それにしても、ここまであなた任せの原発であったとは、発電量のほぼ50%を原発に依存している関西電力の管内に住んでいる私としては認識不足であった。学ぶべきことがあまりにも多い。


被災者の「疎開」を一刻も早く組織的に

2011-03-17 11:11:36 | Weblog
東日本大震災による避難者は原発事故による避難者を合わせると43万人を超えるとのことである(朝日朝刊)。ご苦労は察するにあまりある。この状態がいつまで続くことやら恐らく目途はたっていないことであろうが、この困難な状況から脱する最も有効で唯一の手段が「疎開」であると私は確信する。

これまでもこのブログで折に触れて書いてきたが、私たち家族は前の戦争の敗戦を当時の朝鮮・江原道鉄原で迎えた。ソ連軍に追われるような形でなんとか京城に脱出して、父の勤める会社の寮の一室での避難生活が始まった。避難生活といっても家屋はなんの損傷もなく、巷には食料品をはじめあらゆる物質が溢れかえっていたのだから、震災の惨状にくらぶべきもない。11月の中頃であろうか、ようやく貨物列車で釜山に運ばれて引き揚げ船に乗船するまで寺院の本堂で1週間ほど雑居生活を送った。引き揚げ船で博多に上陸してふたたび貨物列車で父母の故郷播州に辿り着き、会社の準備してくれた社宅に落ち着いたのは11月も終わりであったと思う。3月半におよぶ浮き草生活からようやく解放されたのである。もちろんこの間、学校とはまったく無縁であった。今でいうと小学5年の2学期は抜けてしまって、年を越した3学期から教室に戻った。

私たちのような朝鮮からの引き揚げ者は民間人だけで72万人に達した。さらに言えば海外からの引き揚げ者総数は軍人・軍属が310万人、民間人は318万人で合計628万人に達する。この巨大な人口をおなじく戦争の惨禍に打ち拉がれた祖国が一手に受け入れて、そして国民が一丸となって復興に立ち向かったのである。この時の状況に比べれば、今回の震災被災者を西日本をはじめ被災地周辺の府県が受け入れるなんて児戯に等しいものである。

私の家が阪神・淡路大震災で半壊になり、同居の母をとりあえず妹の嫁ぎ先にあずかって貰い、補修も済みライフラインのようやく回復したわが家に母が戻ってきたのは3、4ヶ月後であった。半壊といっても家の形が残っていたからこそ出来たことであって、家が全壊した被災者は当面の目途さえたたなかったのが実情であった。この方々と同じような状況に大津波に家を奪われた方々が今おられることになる。

避難所に救援物資を送り届けることは目下の急務である。しかし避難所での生活には限度があり、とくに高齢者や乳幼児をはじめ体調を崩した方々には先の見えない生活を強いることはもう出来ない。今や「疎開」を積極的に行うしかこの窮状を脱する手立てはないものと思い定め、国が即刻基本計画を立てて実行に移すべきであると思う。

被災者で東海・西日本地方に縁者・知己のある方々は、そういう個人的な繋がりを活用して「疎開」先を確保するのもよかろう。すでにこれらの地域で公営住居などを提供する動きがが早くも広がっている。縁故に頼るだけではなく、被災地の自治体がしかるべきネットワークで積極的に「疎開」の斡旋を行い、一方、国はあらゆる便宜を図ることで支援すべきである。自衛隊車両による輸送をはじめJRの無料化などはその手始めであろう。そして故郷との連絡手段を確保する。被災者の方々にはそれぞれの思いがあり、なかなか「疎開」に踏ん切れない方も多いことだろうが、「疎開」こそが最善の選択枝であることを、引き揚げと阪神・淡路大震災の経験者として確信する。


「原子力発電所の原子炉が、原子爆弾のように爆発を起こすということはありえない」 しかし・・・

2011-03-12 20:35:56 | Weblog
今日の午後3時36分、福島第一原発1号機で爆発音がしたことに関して、原子力安全・保安院は12日午後6時に記者会見を開いた。 事故が発生してから2時間半も経っているのに、明らかにしたのはただこれだけである。

 保安院によると、同日午後3時36分、1号機の原子炉とタービンの建物の周辺で縦揺れと爆発音がし、白煙が上がった。けが人が4人いると東京電力から報告を受けた。周辺の放射性物質の量については「これから確認する」と述べた。

 テレビ映像で1号機周辺の建物の外壁が落ちているような状況になっていることについては、「映像を見る形以外の情報を得られていない。放射性物質を閉じこめるときにどうすればよいかをよく調べて、情報を入手して判断する必要がある」とした。
(asahi.com 2011年3月12日18時29分)

これではテレビを見ているのと何も変わらない。このような仕事ぶりでは原子力安全・保安院なんぞは要らない。ただのでくの坊である。

次の文章を注意深くお読みいただくと、私たちが本当に欲しい情報は、今はどの段階でどのような手段をとっている、という具体的な説明であることがお分かりいただけよう。。

 原子力発電所の原子炉が、原子爆弾のように爆発を起こすということはありえない。いろいろな理由からして、そうした爆発は不可能なのだ。しかし、一年間運転した中型の原子炉には、広島で放出された1000倍に相当する放射性物質が蓄積されており、そのうちのほんの一部分が放出されても、人体や環境に重大な影響を及ぼす。
 この危険性を防止するため、たいていの原子炉は、強化コンクリートで造られた封じこめのための構造物のなかに鎮座し、ステンレス製圧力容器のなかに収容されている。しかし、水蒸気の大爆発とかあるいは爆弾やハリケーンといった外部の大きな力が加わると、これらの防御手段は破壊されてしまうことがある。
 さらに、究極的には原子炉の炉心が溶融して下に落ちこむという現象、すなわち「メルトダウン」するという脅威がある。原子炉が正常に機能しているときには、冷却水が原子炉の燃料集合体の間隙を通過して、炉心を冷却している。
 この冷却系が、停電、ポンプの故障、冷却水の配管の破損といったいずれかの理由で停止すると、一連の予備冷却系がその作動を始める。しかし、そうした装置がすべて作動しないときは、メルトダウンがさけられないことになる。

 一般に、原子炉の炉心は水漬けになっている。しかし、新たな冷却水の供給が途絶えると、圧力容器にすでに入っている水は加熱し、沸騰し、蒸発してしまう。この現象が起きると、原子炉内の温度が上昇を初め、粒状の燃料を収容している燃料棒の被覆菅が溶融する。やがて、ウラン燃料も溶融を始め、炉心を溶融した放射性金属の塊に変えてしまう。 そうした経過をたどったあと、最終的には炉心は圧力容器の底部に「たまり」となって崩れ落ちる。やがて温度は華氏5000度(摂氏2760度)にも達し、炉心は容器を突き抜け、原子炉を封じ込めている外部構造物の底部へと溶融してゆく。これら構造物は放射能の漏洩と爆発に耐えられるように設計されているが、メルトダウンに対しては抗する手段は与えられていない。

福島原発原子炉は紫色で強調した経過をたどっているようである。赤色で強調したようになるとこれは破局的である。原子炉の関係者はこの赤色にならないよう全力を傾注しているところであろうと固唾を飲んで見守っている。最悪の事態を逃れたとの記者会見が待ち遠しい。なお上の文章は次の新書の28-30ページからとったものである。この本を読んだとき、まさかこのような事態が日本で起こるとは夢にも思わなかった。日本人の科学・技術者魂に私なりに信頼を置いていたのである。