日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

東京電力をあまりにも知らなさすぎた 関西電力は?

2011-03-23 20:07:40 | Weblog
福島原発事故で東京電力の初動があまりにも遅いので、福島原発の「電源」と「水」への対応が超スローモーなのは何故なのかと疑問を呈したが、作業現場では次ぎのような対応を期待していた。ささやかな経験にもとづく私なりの「常識」だったからである。

「想定内」であれば日ごろ訓練に用いられたマニャルに従い定められた対応をすれば十分であろう。しかし「想定外」の事態ではそれが効かないからこそ、現場にいる原子炉を熟知して経験豊かで判断を的確に下すことの出来るリーダーの臨機応変の采配と、現場の作業員のチームプレイが底力を発揮する。これ以外の対処はないと言ってよかろう。東京電力の関係者は現場の働きを阻害する一切の動きを全力を挙げて排除すべきなのである。
福島原発の現場で作業している人たちを信じて応援しよう

現役時代にある実験装置を作ったことがある。いろいろと創意工夫を加えて出来上がった装置は当時世界唯一のもので、狭い専門分野ではあるが結構注目を浴びた。装置の作動原理は私のアイディアであったが、基本設計にはじまり液体制御や気体制御の機械部分、さらにはレーザー装置との組み合わせに全システムの電子制御装置とソフトウエアなど、必要なものすべてを信頼していたメーカーの技術スタッフと共同で作り上げた。おもに試験研究など科学研究費の支援を受けて始めて可能になったもので、おそらく総額は3000万円を上回ったであろう。既成装置を購入したわけではないので、なにかトラブルがあると自分で解決しなければならなかった。問題点を探り当てるのはすべてを知る私の仕事で、それを解決するには技術者の助けを借りることもあった。だから定年間際まで続けた共同研究でも、装置は私が動かさなければならなかったのである。

規模も内容も比べるべきものではないが、東京電力にはすべてを知る生え抜き、たたき上げの技術者集団があって、その束ね役のトップ技術者が原発を動かす要の位置にいるのだろう、と私は勝手に想像していた。それがたとえば福島原発ならその所長であろうし、また本社では技術担当重役であろうと。原発とともに育った経験豊かな技術者が緊急時に指揮を掌握してこそ始めて迅速な対応が可能になる。だからこそ日ごろからその態勢で非常事態の訓練をしていたのであろうと思っていた。ところがいろいろと洩れ伝わる情報では東京電力のトップに技術系が不在とか。それに現場で実際に作業しているのはメーカーである東芝とか日立の技術者であるとか。では束ねているのは誰なのだろうか。

蓋を開けてみれば私の疑問、福島原発に放射能防御の作業車両がなかったのかも当たっていたようである。それならそれで核戦争の戦場にも出かける装備を持った米軍特殊部隊に福島第一原発に即刻米軍専門部隊の投入を!でも述べたように、場合によれば米軍に指揮権を委譲するぐらいの覚悟で助力を仰ぐべきなのにそれも出来なかった。その一方でやっていたことは、自衛隊の方々にはご苦労であったものの、自衛隊ヘリコプターから海水をジャーと撒いて終わりであった。あれでは山火事でも消えるまい。やることなすことすべて児戯に等しい。東京電力は、そしてわが国は原発事故に山火事かもしくはそれ以下の対応しかできなかったことを、あれで世界にさらけ出してしまった。

東工大出身の菅直人総理を東京電力のトップにすげ替えたら、少しは技術者を重視する布陣が期待されるかも知れないが、今となっては手遅れである。近いところでは関西電力であるが、もし出来ていなかったら技術者重視の運営システムを早急に構築して欲しいものである。



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4 コメント

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今朝の新聞から (ある主婦)
2011-03-23 22:36:08
度々のコメントで失礼します。
今朝の中日新聞に、元東芝の社員2名が取材に応じた記事が載っていました。
下手な要約で申し訳ありませんが、大体下記のとおりです。     
       
1・2号機のプラント設計は米ゼネラル・エレクトリック社が受注していて、東芝は部品の設計を担当していた。
米ゼネラル社の設計には地震多発国・日本特有の条件が十分反映されていなかった。
40年前の当時の日本のメーカーは原発設計の経験がなく、改善したくとも改善することもできなかった。
3号機からは、米ゼネラル社に頼らない「原発の国産化」が目標になった。
しかし、実態は米ゼネラル社とライセンス契約を結んで規格を踏襲した。
電力会社からは、3号機以降も慎重に同じ物を作れと言われていた。
当時は、M8.0以上の地震は起こらない、津波は最高5㍍と想定されていた。
それ以後、より高い危機管理について提案すると、「原発が数十年しか稼働しないのに、
千年に一度とか万年に一度とか、そんな想定をしてどうする」と上司に一笑に付された。
元社員は、原発を抱える全社長に「稼働中の原発を止めて欲しい」とファックスした。
原発は人間が扱いきれるものではない。
と福島第1原発の設計などを担当した60代の元社員が語ったそうです。

原子力保安院の記者会見を聞いていると、緊張感がありません。
現場へ行って、指揮をしてみたらどうだ!と言いたくなります。
とにかく昼夜を問わず現場を固めている、担当者と作業員・自衛隊・消防隊員・民間のオペレーターさん方に感謝するのみです。
特別手当を差し上げて欲しいです。

ながいコメントで申し訳ありません。
今後は控えます。
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私のスタンス (lazybones)
2011-03-24 00:25:49
たびたびのコメントを有難うございます。

いろんな情報が巷に溢れていますね。外国のメディアにYouTubeにも。到底すべてをフォローすることは出来ませんし、沢山の重要な情報を見落としていると思いますが、それは次のような私のスタンスによるところが多いようです。

私のアンテナにたまたま引っかかった情報が思考を刺戟しし始めると、そこでニュース漁りよりあれこれと考えることに興味が移り、その経緯をブログに書き連ねることになっているようです。そんな癖のあるサイトによくぞお立ち寄り下さったことに感謝いたします。
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原発・震災 (nurserygoverness)
2011-03-24 09:20:30
さきほど、メールを送らせて頂きました。
こちらのブログでも紹介されているロバート・ピーター・ゲイル氏が来日され、昨日記者会見が行われました。
以下が英文ですが、紹介記事です。
http://www.fccj.or.jp/node/6490
私もこのホームページでロバート氏の
書籍を知り、参考になりました。
情報が錯綜し皆、混乱しているのは確かです。正しい情報というのは一体何なのか。ただ、情報を得た後どうするかが要なのかと思っています。


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Galeさんはすでに福島原発に? (lazybones)
2011-03-24 18:45:46
コメントとお便りを有難うございました。

24日、福島第一原発3号機で、ケーブルの敷設をしていた作業員3人が被曝して2人が病院に搬送されたことに関連して、Galeさんが福島第一原発の作業員の健康問題の相談に与っているとの記事がLos Angeles Timesに先ほど出ておりました。

もう現地に入られたのでしょうか。いろいろと発信していただけたらと思います。18:44

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