木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

奇しくも誕生日当日に祖先ゆかりの地を散策して

2022-09-06 11:25:10 | 随想
 主催者が全く私の誕生日を知らないままに日程を
組んだ見事な奇跡的なシンクロニシティーとなった
日に皆様と奈良県明日香村を散策しました。
 前日の明日香村での私の講演会の模様は別の投稿
で述べる事にします。

 飛鳥京跡にてしばし風に吹かれました。

 伝飛鳥板葺宮跡ともなっていますが蘇我入鹿はこの
場所付近で討たれました。
 蘇我本宗家滅亡により一族だった私の祖先は亡命して
尾張のくにへ。
 恐らく大和川をくだり当時の大阪湾に出て船路により
紀伊半島を経由しながら尾張に辿り着いたのだろうと推察
しています。
 当時、陸路の徒歩で一族が亡命のために大移動する事
は考えにくいからです。
 祖先は以降、蘇我の名を名乗れず名を変えて生きていき
ました。

 甘樫丘を背後に蘇我入鹿の首塚にもお参りしました。
 甘樫丘には当時、蘇我氏の邸宅が並び丘の中腹には朝廷文庫
という今における国立公文書館に相当する機関があり蘇我氏が
管理していました。
 645年の蘇我入鹿殺害による乙己の変によりこの朝廷文庫
が全焼し、古来の日本の様々な記録や文書が灰燼に帰してしまい
ました。
 これにより後世の日本人はいにしへの記録の多くを失い、
それにより古代史には謎の空白が生じてしまいました。
 日本人にとっては痛恨の極みだと言えます。

 明日香村にて皆様と散策しながら風に吹かれつつ祖先に
想いを馳せました。
 私の祖先は大きく2度の滅亡に際しています。
 先ず乙己の変による蘇我本宗家の滅亡。
 そして時代が下り小早川家に祐筆として仕えていた祖先は
関ケ原の戦いの後に小早川家が御家取り潰しになったことに
よる小早川家滅亡に遭遇しています。
 今に置き換えるなら一部上場企業が廃業になったような
状況でしょう。
 その都度、私の祖先は多くの困難を乗り越えながら時代を
生きて行きました。
 その祖先の足跡、生きる姿、逞しさに何か力を頂いたような
思いになりました。
 
 滅亡に際しても滅びない祖先の逞しさ。
 まるで不死鳥のような姿を感じます。
 フェニックス・・・・・。
 不死鳥の存在を感じながら深呼吸をしました。
 蘇我氏の蘇我とは「我は蘇る」という意味です。
 我は蘇る、という復活的な意味合いを家名に掲げた祖先は
いかなる命題を担っているのでしょうか。
 我は蘇る・・・・・それはもしかしたら今の時代かも知れません。

 この日は前日の天気予報とは異なり明日香ブルーとでもいう
ような爽快な青空と野を覆う草色とが美しいコントラストを
生んで郷愁を感じる中で皆様と過ごしました。
 
 石舞台古墳を久しぶりに訪れて案内ガイドの年配の男性に
「明日香村の地域住民の感情としては蘇我氏と中大兄皇子&
中臣鎌足とではどちらを支持しているのですか?」
と尋ねたら、
「勿論、蘇我氏ですよ。今でも明日香村のほとんどの者は
蘇我氏を神様のように思っていますよ。蘇我氏は悪ではない。」
との回答でした。
 私は思わず指でいいね、をしました。
 そのガイドの年配の男性の方に私は
「そうでしょう、私も蘇我氏のファンですよ。」
と返事しました。
 蘇我氏一族の末裔ですと喉元まで出かかりましたが。

 やはり。
 権力闘争で勝ち残った側により記された古事記や日本書紀
など歴史においては悪とされてきた蘇我氏ですが私は常々、
違和感を感じていました。
 特に日本書紀は645年の乙己の変により朝廷文庫が焼失
し古来の日本の記録や文書がことごとく灰燼に帰して後、
75年後の西暦720年に編纂されたもので、いかに体制側
に正当性があるかを記すために蘇我氏を悪に仕立て上げ貶めた
ものだと私は認識しています。
 ですから数々の学者や識者には申し訳ないのですが古事記や
日本書紀は多分に改竄されたものですから、全てを真に受ける
ことはあまり意味を感じません。

 やはり地域住民の地域感情を知る事が大切で、その中に
封じられた歴史の風景を垣間見る事が多々あります。
 後世に伝わる歴史には公的なものとは違う所に様々な事実
が埋もれています。
 いかなる風景がそこにあったのか・・・それがいかなるもの
であれ、私は真相の風景を限りなく知りたいと思いますし、
そこに立脚して今の時代の日本を生きていきたいですね。

 皆様と散策した奈良県明日香村で時にノスタルジーに包まれ
ながら良い時間を過ごしました。

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