税理士 倉垣豊明 ブログ

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棚卸資産と減価償却資産(不動産会社における建物)

2011-01-18 06:27:23 | 法人税
おはようございます。税理士の倉垣です。

棚卸資産と減価償却資産(不動産会社における建物)

不動産会社が取得した建物につき資産の分類で悩ましいことがあります。
それは建物を棚卸資産と減価償却資産のいずれで処理するかという問題です。
購入した建物を短期間で売却する、又は賃貸物件として会社で長期間保有するということなら何も問題はありません。その建物は前者は棚卸資産ですし、後者は減価償却資産です。

1、棚卸資産の定義
イ、棚卸資産とは商品、製品、半製品等で棚卸をすべきものとして政令で定めるものをいう。(法人税法2条20号)

2、減価償却資産の定義
イ、減価償却資産とは、建物、構築物、機械等で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
ロ、上記イの政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く)とする。(法人税令13条)
(イ)建物及びその付属設備
(ロ)構築物
(ハ)機械及び装置
(ニ)工具、器具及び備品
(ホ)その他

3、損金算入
その建物が棚卸資産に分類されるとそれが売却時に取得価額が損金(売上原価)に算入される。他方、減価償却資産であると、減価償却費としてその耐用年数にわたって損金算入される。

4、建物の保有目的の変更等
もし、建物の保有目的が変更されたらどうなるのだろうか。
例えば、当初販売目的で取得したマンションがなかなか転売できないので、保有期間中の金利やその他の維持費用を賄うために賃貸をすることにした場合です。
その建物は購入から賃貸直前までは棚卸資産(商品)です。賃貸期間中は減価償却資産です。理論的にはこうなると思います。したがって、賃貸期間中の賃貸料は益金算入し、期末にはその建物の減価償却費を損金算入することとなります。
販売目的で購入した建物を、購入と同時に賃貸した場合はどうなるのでしょうか。購入時に、その建物の短期売却が困難であることがわかっており、販売の直前まで賃貸をしようとする場合はどうなるのでしょうか。購入時の保有目的は販売と賃貸の両方を有しています。
この場合は、やはり客観的な現在の保有状況により償却資産として取り扱うのが妥当でしょうか。

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