Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

取り残された漁師たち

2010-10-10 16:19:21 | アジア
先週のスリランカ滞在中、半日程フリーの時間があったので、首都コロンボの北40キロほどのところにあるネゴンボの魚浜を訪れた。

激しいにわか雨と青空が交互に混ざる空の下、ちょうど早朝の漁から戻ってきた漁師たちは、捕らえた魚を網からはずす作業で忙しくしている。浜に隣接する市場は人でごった返していたが、さすが捕りたてで新鮮な魚ばかりを扱っているせいで、その空気は全然生臭くない。

昨年5月、タミル人の分離・独立を求めて戦っていたタミル・タイガーを政府軍が制圧し、25年以上つづいた内戦が終結した。平和が戻ったことで、政府は経済復興に力を注ぐことが可能になり、その成果も出始めている。島国であるこの国の重要な産業でもある漁業もその復興例に漏れないが、必ずしもすべての漁師たちの生活が順調にいっているというわけではない。

市場で出会った漁師の一人は、政府の援助のほとんどは大会社にいってしまって、ここにいるような個人の小規模な漁師にはほとんどまわってこない、とこぼしていた。

「昨日も一昨日も漁にでられなかった。。。」別の浜で会ったレスリーという名の漁師は、小さな帆船しか持っていないので、荒波のためにここ数日沖にでることができない、と嘆く。あまりに切羽詰まっているようで、小銭を恵んでくれ、と懇願してきた。相当腹をすかしているようだった。

ニューヨーク・タイムズ紙が今年、31の観光地中スリランカをトップに挙げたように、観光をはじめこの国の産業はこれから大きく飛躍する可能性を秘めている。

レスリーのような一介の漁師たちにも、近い将来その恩恵がもたらされることを願うばかりだ。

(もっと写真をみる:http://www.kunitakahashi.com/blog/2010/10/10/left-behind/ )




最新の画像もっと見る

コメントを投稿