日曜日に突然衛星モデムが故障し、修理不能になった。
コミュニケーションの手段がなくなっては仕事にならないので、木曜あたりまで従軍する予定だったところをやむなく早めに切り上げて昨日イラクを後にしたのだが、しかしなんと言うタイミングか。。。故障したのが締め切り日の翌々日。これが数日前だったらエライことになっていたなあ。
以前にも書いたように、今回は写真のみならずビデオの編集、電送まで撮影と並行しておこなわなくてはならず、この時間のかかる作業のおかげで従軍中は一日4時間ほどしか睡眠がとれなかったのだが、昨夜は久しぶりにホテルの柔らかなベッドでゆっくり寝ることができた。
6月にはじめたこのイラクのプロジェクトは、ひとつのプラトゥーン(小隊)の米兵18人と、彼らの家族を数ヶ月ごとに追っていくドキュメンタリーだが、そのパート1と今回のパート2が先日トリビューンのサイトにアップされた。
http://www.chicagotribune.com/platoon
パート2のストーリーのひとつにもなっているが、僕らが今回イラクに戻ってくる直前に、この小隊から一人の脱走兵がでていた。
小隊のなかでも一番若い20歳のムニースが、8月に休暇でアメリカに帰ったきり、期間を過ぎてもイラクに戻ってこなかったのだ。(陸軍兵士には12-15ヶ月の派兵期間のうち2週間の休暇が与えられている)
米国での脱走の罪は重く、法的には死刑になる可能性もある。それほどのリスクを犯してまで、ムニースはイラクという戦場に戻ることを拒んだのだ。
6月にムニースと話をする機会があったが、彼は兵士になる前、麻薬の密売人だったという。マイアミに住んでいた彼は、儲けた金で豪遊し、ナイトクラブで一晩に2000ドル、3000ドルを使うことも珍しくはなかったらしい。
そんな派手な生活をしていた自称プレイボーイのムニースだったが、陸軍にはいってからは随分更正したようで、「もうあんなことはやっていられない」「落ち着きたい」とこぼしていたし、パトロールでは、歩兵としてバグダッドの街を歩くのが怖いので、車から降りなくていいドライバーを志願していたという意外に小心な面もみせていた。
彼はすでに妻の出生地であるメキシコあたりにでも逃亡していることだろう。スピード違反ひとつで捕まっても身元が割れてしまうし、正式に就労もできないので、アメリカで暮らしていくのは難しいからだ。
イラクで死ぬくらいなら一生逃亡者となるほうがいい、とでも思ったのだろうか。。。死刑のリスクを犯してまでなぜムニースが脱走したのかはわからない。いずれにせよ、彼の脱走は残された小隊の兵士たちには随分なショックだったようだ。
「あのくそったれ野郎。。。」兵士達の多く、特に彼と歳の近い若い連中はいまだにムニースを許せないでいる。派兵前の基礎トレーニング時代からイラクの戦場まで、苦労を分かち合ってきた彼ら「兄弟」たちにとって、ムニースの行為は 裏切り以外の何物でもないのだ。
残された兵士達の怒りはもっともだし、よく理解もできたが、実は彼らの話を聞きながら僕はちょっと冷めた頭で冗談半分こんなことも考えていた。
「一掃のこと米兵全員が脱走してしまえば、また世界も変るかな。。。」
(写真:軍用車の運転席でたたずむムニース)
コミュニケーションの手段がなくなっては仕事にならないので、木曜あたりまで従軍する予定だったところをやむなく早めに切り上げて昨日イラクを後にしたのだが、しかしなんと言うタイミングか。。。故障したのが締め切り日の翌々日。これが数日前だったらエライことになっていたなあ。
以前にも書いたように、今回は写真のみならずビデオの編集、電送まで撮影と並行しておこなわなくてはならず、この時間のかかる作業のおかげで従軍中は一日4時間ほどしか睡眠がとれなかったのだが、昨夜は久しぶりにホテルの柔らかなベッドでゆっくり寝ることができた。
6月にはじめたこのイラクのプロジェクトは、ひとつのプラトゥーン(小隊)の米兵18人と、彼らの家族を数ヶ月ごとに追っていくドキュメンタリーだが、そのパート1と今回のパート2が先日トリビューンのサイトにアップされた。
http://www.chicagotribune.com/platoon
パート2のストーリーのひとつにもなっているが、僕らが今回イラクに戻ってくる直前に、この小隊から一人の脱走兵がでていた。
小隊のなかでも一番若い20歳のムニースが、8月に休暇でアメリカに帰ったきり、期間を過ぎてもイラクに戻ってこなかったのだ。(陸軍兵士には12-15ヶ月の派兵期間のうち2週間の休暇が与えられている)
米国での脱走の罪は重く、法的には死刑になる可能性もある。それほどのリスクを犯してまで、ムニースはイラクという戦場に戻ることを拒んだのだ。
6月にムニースと話をする機会があったが、彼は兵士になる前、麻薬の密売人だったという。マイアミに住んでいた彼は、儲けた金で豪遊し、ナイトクラブで一晩に2000ドル、3000ドルを使うことも珍しくはなかったらしい。
そんな派手な生活をしていた自称プレイボーイのムニースだったが、陸軍にはいってからは随分更正したようで、「もうあんなことはやっていられない」「落ち着きたい」とこぼしていたし、パトロールでは、歩兵としてバグダッドの街を歩くのが怖いので、車から降りなくていいドライバーを志願していたという意外に小心な面もみせていた。
彼はすでに妻の出生地であるメキシコあたりにでも逃亡していることだろう。スピード違反ひとつで捕まっても身元が割れてしまうし、正式に就労もできないので、アメリカで暮らしていくのは難しいからだ。
イラクで死ぬくらいなら一生逃亡者となるほうがいい、とでも思ったのだろうか。。。死刑のリスクを犯してまでなぜムニースが脱走したのかはわからない。いずれにせよ、彼の脱走は残された小隊の兵士たちには随分なショックだったようだ。
「あのくそったれ野郎。。。」兵士達の多く、特に彼と歳の近い若い連中はいまだにムニースを許せないでいる。派兵前の基礎トレーニング時代からイラクの戦場まで、苦労を分かち合ってきた彼ら「兄弟」たちにとって、ムニースの行為は 裏切り以外の何物でもないのだ。
残された兵士達の怒りはもっともだし、よく理解もできたが、実は彼らの話を聞きながら僕はちょっと冷めた頭で冗談半分こんなことも考えていた。
「一掃のこと米兵全員が脱走してしまえば、また世界も変るかな。。。」
(写真:軍用車の運転席でたたずむムニース)
何か、何だろう。上手く言い表わせません
日本は総理の辞任と国技の他国横綱の事柄をメディアは叫びまくってます
「くそったれ野郎」の言葉の中に自分がやりたくても出来ない悔しさも含まれている、、、と思いたいです
毎回幼稚な思考ですね^^;;。。。。。
"兵士の自殺"の項での回答ありがとうございます。
が、期待していた回答とは違っていました。
ある兵士が暴挙にでようとしたが、ジャーナリストがいたので
思いとどまった、という実例でないと根拠に乏しいです。
高橋さんのいう、「起こらなかったこと」の事例は
「当然のこととして起こらなかった」だけのことです。
高橋さんが従軍した小隊は極、平均的な兵士たちのグループで
問題兵士たちの集団ではないわけです。
したがって、兵士が暴発する可能性が極めて低い。
ジャーナリストが同行しているから兵士たちの行動に乱れが
ないということにはなりません。
それから、「僕がここにいなかったら、もっと手荒に
扱っているんだろうなあ」と思うことはしばしばあります、
というのは一般的に想像と表現されるもので、事実では
ありません。
高橋さんが目の前の兵士に、「僕がここにいなかったら
もっと手荒に扱うんでしょう」と質問をして
兵士が「はい、そうです」と答えれば、これが事実です。
2005年のハディサから、以下の件も仮定の話しです。
事実ではありません。
「もしその場にジャーナリストがいたとしたら、
恐らく起こらなかったと思います」
とあるように想像話しです。
起こらなかったという事実ではありません。
いみし。
深夜の家宅捜査の写真の掲載の際には写っている
イラク人家族から同意を取っているのでしょうか?
いみし。
とりあえず質問はおしまいの@えどしんです。
高橋さんはムニース氏から「自分が脱走兵である」と
認めるコメントを取ったのでしょうか?
裏取りはジャーナリズムの鉄則だと思いますが、
いかがでしょうか?
いみし。
VIDEO三回繰り返してみてます。
さて、えどしんさんの話が興味深かったので参加させてください。
だいたい戦争の根拠が乏しかったと私には思えるのです。ヒトは根拠が整って行動するのではないんだろうなあと思うのです。むしろ行動の後に根拠を後づけしていたりして。
「起こらなかった」ということの確率は、もしかしたら、予防の確率と同じかも知れません。予防というのは、「起こらなかった」ときには「やらなくてもやっても起こらなかった」と思われるので、関係者(研究者や実行するヒト)が日本には少ないと言われていました。
誰でもが「起こってから行動する」ことが好きで、その方が「やった!」と実感できる。確率だってそっちの方が証明しやすい。
けれど、予防はそうはいかない。
やっていても、ダメなこともあるし、思わぬ効果を産むこともある。予防の場合は、効果があると思われると根拠より事実を重んじることもあると思います。その目的は、数を減らすということであり(もしくは増やす)、問題が加速化している時には根拠よりも数を減らすことが先になるとも思います。
この話の場合ももしかしたらそうで、実は第三者の眼がある場合には(メディアなど)理性を効かせようとするのかもしれない、ということなのかな?とか思ったりしました。その根拠はなく、小学校のときに悪ガキが、怖い先生の前ではおとなしくしていたのと似ている感じで。そして、高橋さんの語ることの基本は「これ以上過剰で、暴走することにより人が傷ついたり、傷つけることを避けたいので根拠よりも現場の感覚でそれを選んだ」という話なのかな、と思って私は読んでいました。
と、書いてから、うーん、まとまっていないと思いました。
申し訳ないです。
質問の部分ですが、写真については写っている家族から直接の同意はとりません。法的に、広告写真と違って報道写真の場合は、被写体からの許可を必要としないからです。ムニースについては、休暇期限を過ぎても部隊に連絡もなしに帰ってこない場合は自動的に「脱走兵」になります。ちなみに、トリビューンのレポーターがムニースの自宅を訪れましたが、すでにもぬけの殻になっていました。
私の納得がいかないに対し、構わない、とした高橋さんに
「机上の論理」と片付けようとする権利を認めます!
色々回答いただきありがとうございます。
結局のところ、ジャーナリストが兵士の暴発を抑止した実例が
無いということが分かっただけで十分です。
ですが、ジャーナリストの抑制力の可能性を否定はしていません。
が、私は高橋さんほど過度に期待をしていないということです。
今後はブログの読み方を変えようと思います。
「また大風呂敷広げた」「芝居がかりな」と読めば適当でしょう。
さて、深夜の家宅捜索の写真の件
この家族から同意を取っているのか?
「はい。取りました」「いいえ、取っていません」のどちらかで
回答いただければ十分でした。
「直接の同意はとりません」というのは、念のために質問しますが、
間接的には何かされましたか?
それと、同意を取らない根拠として「法的に被写体からの許可を
必要としない」とありました。
これは余談ですが、冷たい表現ですね。
もう少し、読み手の心を逆撫でしない言いかたがないものでしょうか?
なるほど、報道の看板を掲げれば、勝手に撮って、勝手に載せられると
法で保障されている。したがって、報道写真は撮られる側への配慮は
不要。高橋さんはそういう考えであると了解しました。
ムニース氏の件
これも高橋さんが、確認したのか、していないのか、とだけ
回答いただければ十分でした。
>休暇期限を過ぎても部隊に連絡もなしに帰ってこない場合は
自動的に「脱走兵」になります。
#これは米軍の「脱走兵」の定義でしょう?
高橋さんが知人を写真入りで「脱走兵ムニース」と
キャプションを付けた根拠を知りたいのですよ。
米軍がそう言っていたから、ではないですよね。
>このブログは僕が「現場」で経験し、感じ、考えたことを
一方的に発信しているだけ
#「一方的に発信しているだけ」は気に入らないが、
上の文章に照らし合わせて、現場でどう取材して
「ムニースは脱走兵である」と
高橋さんが断定したのか、ぜひ知りたいです。
いみし。