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フォトグラファー高橋邦典
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リビア反体制派・「偉大なリーダー求む」

2011-08-01 13:17:38 | アフリカ
数日前、リビア反体制派のユニス参謀長の暗殺のニュースを目にした。

そのときの状況や犯行の動機などはまだはっきりとしないようだが、この暗殺によって反カダフィ体制派の内部分裂が起こることが懸念されている。2月に反体制派に寝返るまでカダフィー政権で閣僚を務めていたユニスは、それが理由で反体制派の一部指導者たちからの信頼を得られていなかったようだ。

この事件は、僕にあることを思い出させた。

5月のある晩、ベンガジで一人のリビア人の若者と国の将来について話をしていたときだった。彼はきっぱりとした口調でこう言ったのだ。

「民主主義とか選挙なんてものは信じてないよ。偉大な指導者さえいれば、俺はその傀儡でいい」

教育レベルも高くて(英語なんぞ僕よりうまかったし)、自由・進歩的な彼の口からでたそんな言葉にはさすがに驚いたが、なんとなくその気持ちはわかるような気がした。それでも、彼に全面的に合意するわけではない。やはり選挙というのも、彼の言う「偉大な指導者」を選ぶ手段の一つでもあり得ると思うからだ。しかし彼の意味することは、統治の実力とカリスマ性を備えていれば、独裁者でも王様でも軍指揮官でも偉大なリーダだ。選挙なんて必要ない、ということだった。

それ以上深くこのことについて話し合わなかったことが少々悔やまれるが、ユニス暗殺のニュースを聞いてこの晩のことを思い出し、リビアの次期リーダーについて少しばかり思いを巡らせることになった。

カダフィーが国のリーダーとしての座に返り咲くことはまず不可能だろう。しかし、暗殺をきっかけに反体制派の内部武力抗争が勃発するとしたら、彼らにとっては最悪の事態になる。反体制派の闘争が始まってからすでに5ヶ月。NATOを後ろ盾にしながらカダフィーを追い出すのにこれほど時間がかかっているのは、反体制派に偉大なリーダーが存在しないという理由も大きいのだ。

しかし、いまは選挙でそのリーダーを選んでいる場合では勿論無いのだけれど。。。

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