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Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

シンガポールの戦争博物館

2010-11-10 13:09:40 | アジア
数日前シンガポールから戻って来た。

かなり長文の執筆の仕事があったため、美味しい食べ物を満喫する以外にはあまりあちこち町をみてまわることはできなかったのだが、ひとつだけ是非見ておきたいものがあった。

シンガポール一の観光地、セントサ島にある戦争博物館だった。

1941年の日本軍によるマレー、シンガポール侵攻から、1945年に占領が終わるまで、そしてその後のイギリスによる占領統治の様子が詳しく展示されている。実物大のマネキンをつかった再現展示も精巧で、その生々しさには感心するほどだ。

日本人として、ここに展示されているような日本に関わりのある歴史を学ぶことは重要だと思う。現代になっても似非右翼のような偏狭な国粋主義者たちが、南京虐殺はなかっただの、従軍慰安婦は自発的な売春だったなどといって歴史をねじ曲げ、国外に住む僕もたびたび恥ずかしい思いをさせられるが、過去の過ちにきちんと向き合うことなしに被災国とあらたな関係を構築することなど無理がある。

この博物館の展示はかなり勉強になったし、行って良かったと思うのだが、ひとつだけ気にかかることがあった。

来館者がほとんどいなかったことだ。

セントサ島には年間500万人もの観光客が訪れると言われているが、一体そのうちどれだけの人がこの博物館を訪れるのだろう?この日もショッピングセンターやビーチなど、島のあちこちは家族連れや若いカップルで賑わっていたにも関わらず、僕が博物館で見かけたのはせいぜい6、7人といったところだ。

島の観光パンフレットをみて驚いた。博物館のあるシロソ砦の位置は地図にのっているが、博物館についてはなにも言及されていない。大体この場所は島の西端にあってそれほど便利な場所ではないので、観光客が偶然にみつける、という可能性は低いだろう。

この日はたまたま来館者が少なかった、と願いたいものだ。特に若い世代の人たちにとって、こういう歴史から学ぶべきことは多いはずだ。毎年100万人を超える日本人がシンガポールを訪れるというが、そのほとんどはショッピングが目的だ。彼らの幾ばくかでも、たったの数時間でもいいから時間を割いてこの戦争博物館を訪れてみてほしい。入館料もたかだか500円ほど。ブランドものを漁ることに比べればたいした額ではないだろう。

(もっと写真をみる:http://www.kunitakahashi.com/blog/2010/11/10/war-museum-in-singapore/

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