Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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チリングの将来 ~ ネパールのストリートチルドレン2

2012-09-07 07:38:36 | アジア
前回のブログで、路上生活から脱却し一年以上シェルターにいながら、そこを逃げ出して挙げ句に強盗で刑務所にはいってしまった男の子のことについて触れたが、これは非常に残念なニュースだった。彼は僕がここ2年以上追いかけているストリート・チルドレンのなかでは、うまく更生できるかも知れない、と期待をよせていた数少ないうちの一人だったのでなおさらだ。

とはいってもこれも彼の人生、僕がどうこうできる筋合いのものでもない。彼が刑務所からでてきたときに、また思い直してくれることを願うのみだ。

これで僕の撮影してきた子供達のなかで、路上生活から完全に抜け出しているのは一人だけになってしまった。彼の名はチリング。自分では14歳といっているが、小柄なこともあって12歳くらいにしか見えない。2009年に初めてカトマンドゥーを訪れた時に出会ったうちの一人だが、このときはまだ他の少年たちと同様、タバコやシンナーを吸い、野良犬のような生活を送っていた。2010年5月、3度目の滞在のあとから街で見かけなくなったが、その頃自ら進んで施設に入り、学校へも行くようになった。

「このままタバコ吸ったり、シンナーを吸ってたら自分の身体を壊すと思った。まともに寝られる場所が欲しかったし、学校にもいきたかった」

施設で再会した数週間前、チリングは僕にこう言った。多くのストリート・チルドレン達が、似たようなことを言って施設にやってくるが、ほとんどが数週間、時には数日で路上に戻ってしまう。そんななか、彼が路上生活から離れてすでに2年近くが経つ。

彼がこの先もストリートに戻ることのないことを願いたい。いうまでもなく、それは彼の意志次第ではあるが、同時に社会からのサポートも重要だ。しかし、世界最貧国のひとつとして、政治的、経済的に劣悪な状況にあるネパールでは、大卒の若者達さえ仕事にありつけない状態。ストリート・チルドレンたちが更生して自立するのには非常に難しいといわざるを得ない。

あまり楽観的にはなれないが、勿論人生どうなるかはわからない。チリング、そして施設の子供達がこの先なんとかうまくやっていくことを祈るしかない。

(もっと写真をみる http://www.kunitakahashi.com/blog/2012/09/07/hope-for-chhring-street-children-in-kathmandu-nepal-2/ )

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