Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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「硬派」雑誌の厳しい未来

2009-12-16 20:39:11 | 報道写真考・たわ言
個人的に付き合いのある東京の編集者からメールがはいった。

彼の関わっている雑誌「フォーサイト」が来年4月号をもって休刊することになったという。

原因は言わずとも知れた売り上げの問題で、会社として「収支改善の見通しが立たない」らしい。

「フォーサイト」は、僕も愛読させてもらっている数少ない経済誌だが、経済関係に疎い僕にも興味深く読める記事が多く、この雑誌からは多くを学ばせてもらった。だから今回の知らせはとても残念に思う。

雑誌休刊のニュースを聞く度に思うのは、出版社にとって、こういう「硬派」の雑誌を残すことはそんなに難しいことなのか?ということだ。勿論売り上げ事情があるのはわかるが、社の中でも売れている本や雑誌があるはずだし、そちらの利益で穴埋めしながら、何とかならないものなのか?

すべてを「売れる」、「売れない」だけで淘汰していけば、行き着く先は知れている。

そういう金勘定だけでなく、たとえ会社が望むほど売れなくても、社会にとって必要な、「発信し続けなくてはならない」情報、というものはあるはずだ。その辺を理解して、損得ではなしに、意義のある雑誌を守る姿勢を貫いてくれる上層部の人間というのはいないのだろうか?

さもなければ、「軽チャーばかりにどっぷり浸かった」日本の総白雉化がどんどん進んでしまうのではないかと、恐ろしくもある。

状況はやや違うが、僕も過去に何度か写真記事を掲載させてもらった「Days Japan」も苦境に陥っているようだ。こちらは報道写真家の広河隆一さんが個人で立ち上げたもので、購読数がそのまま雑誌の将来を決めることになる。海外在住ということで、僕もこれまで定期購読はしていなかったのだが、インドまで雑誌を送ってもらえるようなら遅ればせながら申し込もうかと思っている。

フォト・ジャーナリズムを全面に押し出したこの希有な硬派雑誌には、これからも長生きしてほしいからだ。

ちょっと長いが、先日転送されてきた広河さんからのお願いのメールを転載しておきたい。

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広河隆一からのお願い(転送歓迎)
 

 DAYSは12月9日に日本写真家協会賞を受賞しました。
写真界では日本でもっとも権威ある団体から評価を受けてうれしく思っています。
フランスのペルピニヤンでの審査員を務めるなど、海外での評価も高まっています。
世界で今ではほとんど唯一となったフォトジャーナリズムの雑誌を絶やしてはいけないという励ましも、多く受けます。
 
 東京都写真美術館では、サルガド展開催中に、DAYSのサルガド特集号は300冊以上を売ることができました。
週末の私の大阪講演で、年間定期購読者は19人増え、これでキャンペーン開始からの新規定期購読者は、370人になりました。
私の写真展を開催していただいている三重県の宮西さんのメールが発信されてたった1日半で、
21人の方々が定期購読を申し込んでくださいました。これで390人になりました。
(宮西さんのメールは添付しますので、転送歓迎で広めてください)。
DAYSが存続をかけたキャンペーンをしているということを聞いて、朝日ニュースターの上杉隆キャスターは、
22日(火)の8時から生放送を準備していただいています。
皆さんのおかげで、DAYSはなんとか6周年に向けて進んでいます。
「500人定期購読者が増えれば、存続できます」というキャンぺーンの500人という数字に、あと110人に迫ってきました。
 
 しかし正直言いますと、DAYSはまだ6周年を迎える3月以降も存続できるかどうか、
確約することはできない状況です。
お金が全くないというわけではありません。
DAYSはこれまでまったく借金をしないで、6年近く続けてきました。
そしてまだ私たちが手をつけていないお金があります。
それはDAYSにもしものことがあって、休刊せざるを得ないことが起こったら、
すでに定期購読をしていただいている方々に、残金を返金するためにとってあるお金です。
このお金に手をつけざるを得ない状態になりそうになったら、私は皆さんに事情をお話して、
DAYS休刊のお知らせをする覚悟でいます。
 
 営業や拡販をする立場から言いますと、年末年始の休暇は、恐ろしい時期です。
この時期には書店に行く人は激減し、すべての雑誌の売りあげが低迷するからです。
今出ている12月号は店頭からあと数日で姿を消し、1月号が書店に並びます。
しかし世間はすぐに年末・年始の休暇に入るのです。
 
 その前にこのメールを出しておきたいと思いました。
「努力すれば続けることができたのに、しなかったから休刊になった」
などと、あとで後悔したくないからです。
 
  これまでDAYSを支えていただいた方々にお願いします。
 
 まず定期購読をお申し込みください。
年内の特別キャンペーン中にお申し込みいただけますと、定期購読料は7700円と1000円引きになります。
かつて購読していただいたけれども、最近は購読を止めているという方は、もう一度購読をご検討ください。
すでにご購読いただいているは、周囲の人に広めてください。1人でも2人でも増やしてください。
定期購読期間がまだ残っている方も、継続手続きを今していただけますと、7700円になります。
 
 あと数日で書店から姿を消す12月号も、読んでいただいた方からは、高い評価をいただいています。
まだお読みになっていない方は、ぜひとも書店でのDAYSを購入してください。
書店の人に、「おや? DAYS販売の流れが変わってきたな」と思わせるような、動きを作りたいのです。
 
 ボランティアの方々にお願いします。さまざまなイベントでのご支援、本当にありがとうございました。
物販、定期購読拡大、周囲の人へのDAYS購読呼びかけなど、いま一度のご支援をお願いします。
 
 
 
DAYS JAPAN編集長
 
広河隆一
 
 
 
≪定期購読は下記の方法のいずれかでお願いします≫
 
方法①
DAYS本誌48ページ綴じ込みの振替用紙、または郵便局備え付け振込用紙にて7700円のご入金
(通信欄に、◆存続キャンペーンお申込みの旨◆お名前◆ご住所◆電話番号◆希望購読開始号をご記入ください)
 
方法②
FAXにてのお申込み
◆存続キャンペーンお申込みの旨◆お名前◆ご住所◆電話番号◆希望購読開始号
をご記入頂ければ別用紙でも結構です。
(後日お手元に払込用紙とDAYS JAPAN本誌をお届けします)
FAX 03-3322-0353
 
方法③
E-mailにてのお申込み
 
◆存続キャンペーンお申込みの旨◆お名前◆ご住所◆電話番号◆希望購読開始号
をご記入の上弊社まで送信ください。
(後日お手元に払込用紙とDAYS JAPAN本誌をお届けします)
E-mail info@daysjapan.net