Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

人々の表情

2006-07-17 18:53:41 | 中東
ラマディでの従軍取材も終盤に近づいてきた。

別のキャンプに移ってから、何度か昼間のパトロールに同行することができた。

この付近はそれほどの戦闘地域でないせいか、兵士がパトロールにでると、子供たちが近づいてくることがある。勿論彼らのお目当ては玩具やお菓子などだ。米兵たちがそういうものをトラックに載せて配り歩くこともあるからだ。男の子たちの間で一番人気のアイテムはサッカーボール。ワールドカップの影響もあったのだろう、みなサッカーボールを欲しがるのだが、もともと数が少ないので、貰える確率はあまり高くない。

「フットボール(サッカーボールのこと)ちょうだい」といって兵士によってくるが、ほとんどはキャンディーに甘んじることになる。

対照的に、大人たちの表情は複雑だ。

無邪気な子供たちとは違って、米軍を大手を振って歓迎するような住人は勿論いないし、多くは遠巻きにじっと米兵を見つめているだけだ。こちらが挨拶をすれば挨拶が返ってくるが、住人から話しかけてくるということはほとんどない。

米軍と抵抗勢力との激しい戦闘で、市内の建物の多くは崩壊している。数多くの一般市民たちが巻き添えをくって殺されたことだろうか。親が殺された、いとこが殺された、子供が殺された。。。ここではそんな話はたいして珍しくもない。

「イスラム過激派を倒して、イラクの人達の自治と治安をとりもどすため。。。」

そんな名目で米軍は戦っているが、もともとアメリカが侵攻してこなければ、過激派もいなかったし、電気や水道も通っていたし、家が瓦礫と化すこともなかった。。。

彼らの表情を見ていると、多くのイラク人たちは内心そう感じているんじゃないかと思う。