Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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仕事の意義

2006-06-01 18:43:13 | 報道写真考・たわ言
アフリカにいる知人からメールが届いた。

彼女は西アフリカで国際協力関係の仕事をしているのだが、文面にはこんな彼女の気持ちが綴ってあった。

「世界中に開発ワーカーがたくさん働いているはずなのに紛争も貧困も悪化する一方で、自分の仕事を空しく感じてしまいます」

彼女の気持ちはよく理解できる。

戦争や飢饉、貧困問題はなくならないし、そういう視点からみれば世界が良くなっているとはとても思えないからだ。彼女のように、身を粉にして弱者のために働いている人にとっては、歯がゆいものがあるのだろう。

開発ワーカーに限らず、僕らのようなジャーナリストにしても同じことだ。世界中で大勢のジャーナリストが働いているにも関わらず、状況が良くなっているとは思えない。

僕らも貧困地域の取材などでよくこんな言葉を投げつけられる。

「お前らが何度取材にきたり、写真を撮ったりしたって、俺たちの生活は全然変わらないじゃないか!」

僕らのような仕事をしていると、その仕事に対するはっきりとした結果というものは見えにくい。しかし、だからといって仕事に対して空しさを感じてしまっては少し悲しすぎるだろう。

僕は彼女にこんなような返事をだした。

「確かに状況は良くなっていないかもしれないけれど、もしあなたのような開発ワーカーや、ジャーナリストがいなかったら、現状はもっと悪くなっていたと思います。。。」

僕らの仕事は、世界のプラスにはなっていないとしても、少なくともマイナスになることは食い止めているんじゃないか、と。

そうでも思っていないと、こんな仕事の意義など見出せやしない。