Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
English: http://www.kunitakahashi.com/blog

ちひろさんをとおして

2006-03-01 22:01:43 | 写真展・雑誌掲載
東京のちひろ美術館で僕の写真展がスタートした。

といっても、シカゴにいる僕は、自分の写真展だというのに企画の段階からほとんど手伝いらしきこともせずに、いつもの如く主催者の方々におんぶにだっこ状態。。。申し訳なく思っているのだけれど。

ちひろとは、言わずと知れたあの絵本画家いわさきちひろさんのことであるが、彼女が生前過ごした自宅兼アトリエあとにつくられたのがこのちひろ美術館だ。

やわらかいタッチで、子供を瑞々しく描いた彼女の絵は、彼女が亡くなってから30年以上たったいまでも愛され続けているが、青春時代を戦争の真っただ中で過ごしたちひろさんは「戦火のなかの子どもたち」といった著書も残している。

「軍靴の音が迫るなかで少女時代を過ごし、戦争の最中に青春を生きたちひろが、絵筆にたくして描き続けたものは、彼女の残した言葉『世界中の子ども みんなに平和としあわせを』に象徴されているでしょう」

ちひろ美術館ホームページに記されたこんな言葉からも、彼女がどういう思いで子供たちを描いていたのかを伺い知ることができるし、詳しいいきさつは尋ねそこねたが、コドモシャシン展と題された今回の展示も、そんなちひろ氏の願いを受け継ぐ展示の一環として企画されたことは容易に察しがつく。

だからこの写真展も、僕がこれまで紛争地で出会った子供達の写真を中心に編成されており、これまでのものとは少し毛色が違って、戦争の悲惨さよりも、どちらかというと人間の暖かみがより感じられるものになっているかも知れない。

ちひろさん、という媒体をとおして、人々が僕の写真と、そしてそこに写された子供たちと出会うことができる。。。そんなことをとても嬉しく、また光栄にさえ思う。尽力してこのような機会をつくっていただいた方々に感謝します。

(写真展の詳細はちひろ美術館のサイトを参照。http://www.chihiro.jp/top.html )