東京電力福島第1原発の汚染水問題で、“切り札”となる多核種除去装置(ALPS(アルプス))が今月下旬に試験運転を再開する。たまり続ける汚染水の抜本策としてALPSで処理した水の海洋放出が計画されているが、放射性物質のトリチウムだけが取り除けず、地元漁業関係者が放出反対を表明している。実はトリチウムは国内外で日常的に海へ流されており、専門家は「健康への影響は少なく、必要以上に恐れることはない」と指摘する。
海外でもフランスのラ・アーグ再処理工場では年間9950テラベクレル、英国のセラフィールド再処理工場では1390テラベクレルといった海などへの放出実績がある。環境科学技術研究所の久松俊一環境影響研究部長は「各国でもこれまで大きな健康被害があったという報告はない」と話している。
@その通りです。強欲な漁業組合が、どうのこうのといつも反対していますが、あんた達は悪いけど一度でも魚に餌をやった事があるのでしょうか。
◆汗や尿で排出
トリチウムは三重水素で自然界にも存在し、放射性セシウムやストロンチウムに比べて、人体への影響は少ない。産業医科大アイソトープ研究センターの馬田敏幸副センター長(放射線生物学)は「水素の同位体のトリチウムは全身に分散し、ストロンチウムのように骨に蓄積し残ることはない。飲み込んだとしても、汗や尿で排出され、10日ごとにその半分が体外に出る」と説明する。
◆「健康被害なし」
国内ではこれまで、トリチウムを海に放出してきた。各原発では、原子炉施設保安規定で「放出管理基準値」を独自に規定。年間の放出量による一般公衆への影響が年間0・001ミリシーベルト未満に抑えるようにしている。
青森県六ケ所村の核燃料再処理工場では平成20年、再処理試験で出た1300テラベクレル(テラは1兆、管理基準は1万8千テラベクレル)のトリチウムを海に放出。希釈のため、沖合3キロまで放水口を離すなど工夫をこらした。これに対し、福島第1原発のトリチウムの総量は、再処理工場の半分以下である500テラベクレルと推計されている。六ケ所村の管理基準を準用すれば、10日間で放出できる計算だ。