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本、エボラ出血熱とエマージングウイルス

 山内一也著、岩波科学ライブラリー235「エボラ出血熱とエマージングウイルス」を読んだ。


 1960年代、西ドイツで致死的な出血熱が発生した。ポリオワクチンの製造のためにザイールから輸入されたミドリザルが感染源だとされていた。

 その後ウイルスが分離され、オオコウモリが宿主とされた現在エボラ出血熱と呼ばれているこの感染症との戦いの歴史が書かれた本だ。

 感染の広がったアフリカでの医療従事者の感染、医療崩壊の実態など、現在の新型コロナウイルス感染症の現場を想像させるものがある。

 エボラ出血熱のワクチンと治療薬はいろいろなものが試され、開発されている。その中で日本の富山化学工業が開発したファビピラビルがエボラウイルスの増殖を抑え、発病防止効果が確かめられたという。

 その後富山化学工業は富士フイルムに買収され、開発された薬は「アビガン」という名前で新型インフルエンザ発生時対策として国が備蓄をしている。このアビガンが中国で新型コロナウイルス患者に投与され、効果があるとの報告もあるようだ。

 現在、新型コロナウイルスに関する国からの情報は圧倒的に少ないし、矛盾しているものもある。情報を出しすぎるとパニックになるからというのだが、パニックになると何が起こるのだろう。街中から人影が消え、電車に乗客はないということが起こるのだろうか。 これらは中国では国家主導で行われている感染対策だ。
 
 エボラ出血熱ウイルスの怖さは、ウイルスが長期間体内に留まることがあるということだ。数ヶ月経っても精液等の体液中にウイルスが検出される患者もいて感染源になり得るという。今回の新型コロナウイルスは14日で体内から消えるという前提で対策をとっているようだが、再検討の必要はないのだろうか。

 5年前、2015年に書かれたこの本からは、バイオテロに対する危機感のない日本は世界からバイオテロ容認国とされ、研究もままならないというボヤキも聞こえてくる。機会があれば読んでみることをお勧めする。
 
 

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