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アルフレードとトト

 映画を立って見たことはあるだろうか?昔は当たり前だったが、最近は座席が指定されることもあり、立ち見は少なくなった。最後の立ち見が、日比谷シャンテシネで見た「イル・ポスティーノ」。入場を待って、劇場の外をとぐろを巻いて並んでいるのを見たのも久しぶりで、いったいこの人気は何なんだと思った記憶がある。
 
 立ち見と言っても、日比谷シャンテシネは通路が階段状になっていて、ふかふかの中央通路に腰掛けて見ることになる。これが前に邪魔な頭もないし、なかなか快適だった。

 この10年くらだろうか、シネマコンプレックスが増えてきた。今までの映画館とは異なり、ひとつの建物の中に5スクリーン以上を持ち、外国映画も日本映画もロードショー公開されているほとんどの映画を一ヶ所で見ることができる。通常料金で座席も選べるし、本当に便利になったものだ。

 映画は映画館で見るのが好きだ。上映館を調べて、時間を調べて、チケットを買って、予告編から始まる。テレビのコマーシャルも好きだが、予告編も、こんなものをただで見ていいのだろうかと思ったりする。

 映画館で見られなかった映画にトルナトーレ監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」がある。ハリウッド映画が大好きだったから、イタリア映画ということで敬遠していたのだろう、封切りから10年もたった2000年にDVDで見た。1990年にアカデミー賞外国語映画賞をとっている。

 ローマで成功した映画監督、サルヴァトーレのところに「アルフレードが死んだ」という知らせが届く。30年前、シチリアのパラダイス座で映写技師をしていたアルフレードは、トトと呼ばれていた少年時代のサルヴァトーレにとって、映画だけでなく人生も教えてくれた、年の差を越えた友達だった。

 3時間の大作だが、トトの少年時代、青年時代、そして現在のサルヴァトーレという3本の映画が一本になっていると思えばお買い得。この三本をつなげているのがアルフレードとエンニオ・モリコーネの音楽だ。

 オープニングの風に揺れるレースのカーテン、その向こうに見えるきらきら光っている地中海、エンニオ・モリコーネが流れる。これだけで鳥肌が立つ。もちろんこの映画は映像だけでなく、ストーリーも俳優も音楽も全てがそろった名作だ。

 映画館で見られなかったのは残念だが、DVDのいいところもある。メニューにパラダイス座の上映作品と言うのがあって、クリックするとその映画の説明と、本編のその場面へのジャンプが可能なのだ。「やっぱり駅馬車か」とつぶやいたりする。

 「友達は顔つきで選ぶ、敵は頭の良さで選ぶ。お前は賢すぎる。」アルフレードがトトに言った言葉だ。アルフレードがトトにしたこと、本当にあれでよかったののだろうか。見ていない方は是非ご覧になることをお勧めする。

 アルフレードを演じていたフィリップ・ノワレは2006年11月23日癌のため亡くなった、76歳だった。「イル・ポスティーノ」に詩人として出演していたのも彼だ。

 「ニューシネマパラダイス」を見直した。2回続けて見てしまったので、6時間、何も手つかずになってしまった。


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