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映画、瞳の奥の秘密

 年が押し詰まってくると、クリスマス映画が沢山公開される。クリスチャンで無い私にとってあまりぴんと来るものは少ないが、縁起物と見に行くことが多い。まあ、初詣に明治神宮と浅草寺に行く私だから特に矛盾は無いと思っている。

 今年の第一弾は恵比寿ガーデンシネマで見た、文字通りクリスマス・ストーリーだった。これがフランス映画とクリスマス映画と言う、私にとって二重苦の二乗のような映画でさっぱり、リベンジを誓ったものだ。

 そこで、予告編を見てよさそうだと思った「やさしい嘘と贈り物」を見に飯田橋のギンレイホールに出かけたのだ。ここは封切りから半年ほど後にミニシアター系の映画を二本立てで見せてくれる映画館である。「やさしい嘘と贈り物」と同時上映は「瞳の奥の秘密」。この映画は予告編も何回か見たが、犯罪系の映画と判断し、見ていなかった。

瞳の奥の秘密



 土曜日、早起きして11時35分の「瞳の奥の秘密」から見始めたのだが、これがすごい。まずこの映画から紹介しようと思うほど良い映画であった。

 「瞳の奥の秘密」は1974年と2000年のブエノスアイレスを舞台にしたアルゼンチン映画。

 74年はペロン大統領が亡くなった年。ペロンを引き継いだ政権は、目障りな知識人や政治家、ジャーナリストを次々と暗殺することになり、この映画は司法が全く機能しない状態だった時代を背景にしている。

 2000年、刑事裁判所を退職したベンハミンが、25年前の殺人事件を下敷きに小説を書き始める。

 新婚の銀行家、モラレスの妻が強姦殺人の被害者。ベンハミンは上司の女性検事イレーネとこの事件を担当することになる。警察はテラスを修理していた二人の職人を逮捕し、拷問により自白を引き出した。しかし、犯人は別にいるとの手がかりを得たベンハミンはモラレスの妻の知人、ゴメスを追うことになる。

 権力が犯罪者を便利に使い、政敵の暗殺をためらわなかった時代。政権に取り込まれたゴメスに対し、正義はなされるのか。

 この映画はストーリーが非常に緻密。ミスリーディングなプロットははさんでないし、首尾一貫している。映像も、列車の窓への映り込みなど、細部まで気配りがある。それになにしろ結末が良い。お勧めの映画だ。

 アルゼンチンはこの後1976年から1982年まで軍政に入り恐怖政治とハイパーインフレを迎えることになる。軍政末期1981年に一ヶ月ほどブエノスアイレスに滞在したが、レストランのメニューの価格が鉛筆書きで、毎日上がっていった記憶が懐かしい。ブエノスアイレスの風景とスペイン語に浸った2時間でもあった。



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