「ケルン大聖堂、リヒターさんのステンドグラス」

2015年09月15日 | ドイツ・ヨーロッパの「旅」

ドイツのケルン大聖堂の威容は、世界的に有名ですが、中に入ると
歴史的なステンドグラスも見事です。



その中で一つ風変わりですが、その色彩構成が実に見事で、基督教や
西洋の宗教画の歴史に詳しくなくとも魅力的な、大きなステンドグラス
が南側(正面向いて右側)の大きな窓にあります。



ドイツの現代芸術家、ゲルハルト・リヒターさんが10年ほど前に
新たに制作した作品だそうです。

太陽の光が軽やかに明るく、人間の中に内在する希望の力、その可能性
を浮かび上がらせる、映し出すようで、異教徒の心も素直に敬虔な
気持ちになれるようです。

聖書やキリスト教の言い伝えに基づいた他のステンドグラスとは異なり、
西洋、中東文化圏に発祥するヨーロッパの地方宗教、キリスト教の重苦しさ、
圧迫感がありません。またこのキリスト教の中で、アプリオリとして絶対視
されている唯一神への帰依だとか、荒唐無稽な作り話への違和感、反発的な
距離感が、見る者の中に一切生まれてきません。

今年82歳くらいのリヒターさん、本当にいいですね。



夜になってから、もう一度目の前を通る機会がありました。
闇の中に浮かび上がる姿、人の手が作り出したものとしては
本当に荘厳な姿です。中世から近代まで、人々に畏怖の感情
を引き起こし、「虎の威を借る」ことを生涯の職業とした
多くの教会関係者には、まさに歴史的な恰好のツールだった
のだと思います。本当に貴重な文化遺産です。

 

もしよければ2010年11月11日に記した昔の記事

『ケルン大聖堂』− 彼岸と比岸


も併せてお読みください。


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下記はインターネットで、見つけた記事
の貼り付けです。

 

ケルン大聖堂へのリヒターの贈り物

 
第二の作品は、2006年にケルン大聖堂の南側翼廊のために作られたリヒターの
ステンドグラスである。聖職者から厳しく攻撃されたこの作品は、変化する光の
中で輝く色彩の奇跡で、大聖堂を訪れる人すべてを強く惹き付ける場所となっている。
11,500個の正方形から成るこの抽象的なパズルは、72色の本物のアンティーク
口吹きガラスで出来ており、乱数発生装置によって組み合わされたものである。
しかしながら線対称的な反復により、ある美学的な配列が生み出されている。

この、大聖堂へのリヒターの贈りものは、一方では彼の初期からの美術的イメージを
裏書きするものであり、他方では一つの遺産として見なすことができる。 
レナーテ・プフォーゲル
美術史家、美術評論家

Copyright: Goethe-Institut e. V., Internet-Redaktion
2011年9月
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