30坪+20坪の菜園

BIG FARMの農事日誌です。

古都の山旅Ⅱ(3)ー大峰山(行者還隧道-八経ケ岳-弥山-天川川合)

2015-05-13 | 登山

2015年古都の山旅Ⅱ
5月 7日(木)我孫子⇒京都 西本願寺、京都御所、鞍馬寺から貴船神社、京都御所近くのホテルで宴会 (泊)京都市内BH
5月 8日(金)大原(三千院から寂光院)、近鉄京都駅⇒下市口駅⇒天川村 (泊)天川の宿
月 9日(土)大峰山登山(行者還トンネルー弥山ー八経ケ岳ー天川川合)、天川村⇒下市口⇒奈良 (泊)奈良市内BH
5月10日(日)奈良・唐招提寺、奈良⇒京都 三十三間堂、豊国神社、方広寺 京都⇒我孫子


古都の山旅の3日目は、大峰山脈の最高峰・八経ヶ岳に登る。コースタイムは10時間。いまの体調だと歩けるだろう。

山行日 2015年5月9日(土)
天気 くもりときどき小雨
メンバー 単独行
コース&タイム
天川川合の宿6:00(タクシー)6:30行者還トンネル6:40-7:33奥駈道出合-8:03弁天の森-9:20弥山小屋-9:45八経ヶ岳10:07-10:34弥山(昼食)11:00-11:40狼平避難小屋-13:22栃尾辻-15:40天川川合バス停16:09(バス)17:05下市口駅17:24(近鉄)橿原神宮乗換で奈良駅 (泊)奈良市内BH


奈良県南部の大峰山脈、というより大峯奥駆道といったほうがわかりやすいかもしれない。この山を登ることはその意思があればいつでも行けるのはわかっているのだが、気分的にだいぶ遠く感じていた。もうこの先、この山を歩くことはないだろうと思っていた。それが実現した。今回の京都での飲み会に出席するついでに歩こうと意を決した。これが最後のチャンスだという思いがあるからだ。

この山を思うたびに、2003年に大台ケ原を歩いたとき合わせて登っておくべきであったと悔やむ。雨が続いたため大峰山をあきらめて熊野三山へ下りてしまった。それからなかなか歩く機会がなかった。この山を歩きたいという意欲が起こらなかった、といったほうがいいかもしれない。

それがなぜに歩こうと急に思い立ったのか。ことし3月末に大和葛城山から金剛山を縦走し、ふもとに下り立ったとき南東方面に高い山がそびえていた。それを見ていい山だなと素直に思った。大峰山脈か。地図を出して確認した。たぶんそうだ。その時だ。登りたいと思ったのは。

コースの選択に迷った。山上ヶ岳から八経ヶ岳まで縦走するか。しかし今回の旅は前半が飲み会と観光だ。そのあとに避難小屋泊まりでの縦走は気が重い。反対に行者還トンネルからの往復ではピークハンターみたいだし、遠出してまでこのコースではなんとももったいない。それなら天川川合まで歩こう。これならコースタイムは10時間になる。これぐらい歩けば、行って来たぞ、という充実感があるはずだ。9日は天気がよくないが、この日しか登るチャンスがない。

午前6時。予約していたタクシーが天川川合の宿にやってきた。登山口となる行者還トンネルへ向かう。運転手さんが途中車を止めては山を教えてくれる。

あれが大日岳。



また少し走ると、あれが行者還岳

こんどは弥山だ



これは山上ヶ岳、と親切に教えてくれる。



きょうの天気はわるくなる確率が高い予報だ。峰峰がガスに覆われて姿を隠してしまう前に見ておくに越したことはない。

30分ほどで行者還トンネル登山口に到着。土曜日にしてはきょうは登山者が少ないという。

6時30分スタート。10時間コースだから午後4時30分までにはゴールの天川川合に下りたい。



新緑が視界いっぱいに広がる。期待して通りの展開だ。
最初から急登が続く。



土曜日だからそれでも登山者は多い。たいがいは行者還トンネルからの往復だ。



大峯奥駆道との出合い。ここで急登から開放され、アップダウンの少ない快適な道になる。
体調もよさそうだ。これならいける。

気持ちよく歩ける道が続く。
さきほど追い抜いた学生?グループ6,7人が後からついてくる。おしゃべりがすぎる。うるさい。ここは我慢しよう、と思いながらもだめだった。後ろを振り向きて、トップを歩くたぶんリーダーの若者に向かって大きな声をかけた。「おしゃべりがうるさい。静かに歩いてくれないか。せっかく山に来たんだから、この山の静けさを楽しもうよ。新緑を楽しもうよ。小鳥のさえずりを楽しもうよ。静かに歩いてくれないか」。言ってしまった。若者は素直に「すみません」と言ってくれた。なかなかいい青年だ。しかしそれからもわたしの耳にはおしゃべりが届いたがいつのまにか聞こえなくなった。うるさいジジイが前にいるから、少し距離を置いて歩こうとしばらく休憩してしているのかもしれない。

これでやっと静かに歩ける。
弁天の森に到着。かみさんが以前5月末にここを歩いたときはシロヤシオが満開だったという。シロヤシオはわたくしの恋人。しかし5月上旬だから無理だろうと思いながらも、もしやとさがしてしまった。 



白い花があちこちに見られるようになった。もしや? オオカメノキだった。シロヤシオであるはずがないのに一瞬そう思ってしまった。



弁天の森から八経ヶ岳が見えるようになってきた。まだまだ先だ。



芽吹いたばかりの新緑が続く道。気分がいいね。山は単独に限る、グループや団体で登るやつらの気がしれない、なんてあいかわらず憎まれ口を叩きながら歩いてる。



見えてきたぞ。左に八経ヶ岳、右に弥山。



谷筋には残雪。



木道を登りきると弥山小屋が目の前に迫った。小屋の手前は展望がよく、大峯奥駆道の北部の山々が見渡せる。くもり空だから見通しが効かないのではと心配していた。ひと安心といったところである。 



弥山小屋。苦労せずにここまで来てしまった。そんな感じだ。



弥山小屋から八経ヶ岳を目指す。姿がきれいですね。
振り返るとガスが出てきた。やっぱり来たか。ぽつぽつと雨も降ってきた。



オオヤマレンゲの群生地は、シカによる食害を防ぐため柵が設けらている。

登り返すと八経ヶ岳の山頂だ。ガスに覆われる前に着いた。間一髪といったところ。もう展望はない。きょうの天気予報からそうなるのではと覚悟していても、やはり残念だ。

こんかいはセルフタイマーを使わずに撮ることができた。伊勢市から車できたという夫婦の奥さんが何枚も撮ってくれた。違うポーズで撮りましょうといって、トップに載せたのとは違うこんな写真も。ガスで展望はない。山頂にいてもしょうがないのだが、それでも一縷の望みで少しばかり長居してしまった。



弥山小屋で昼食を摂る。下山コースはこの先長い。
ゆっくりもできない。
さあ、下山開始だ。予定通りにここまできている。下山のコースタイムは4時間30分。
小屋前に「狼平 栃尾辻」の標識。

その前に 弥山神社にお参り。
あっというまにガスに包まれて川合への道に入る。

道はいい。少し下るとガスは消えた。1720メートルあたりから木道になった。ずっと続く。狼平避難小屋まで続く。標高差100メートル続いていた。木道はやっかいだ。足を踏み外さないよう下を向いて歩かないといけない。



狼平避難小屋。きれいである。計画段階でこの小屋に泊まってもいいかなと思っていただけに興味があった。テントなら小屋前に2張り、少し離れたところに1張りのスペースがある。水もすぐ近くの沢から得られる。



小屋のすぐ先にある吊り橋から小屋を振り返る。



下り一方ではなくアップダウンがあるが歩きやすい道が続く。なかなか高度が下がらない。



1570メートルあたりからブナの林が出てきた。淡い新緑が目いっぱいに広がる。ブナ林の新緑と黄葉は素晴らしい。東北の山を歩いてブナ林の豊かさを知った。いいですね。この山でこんなに素晴らしいブナの新緑に出合えるなんて思ってみなかったから嬉しくて仕方ない。

 

 

さらにブナの林が続いたものだから驚いた。もう終わりかなと思っていたらまたブナの林が現れる。うーん、じつに素晴らしい。単調な下りにいい加減飽きもしないで歩けたのはブナの林のおかげだ。

栃尾辻まできた。避難小屋がある。
ここからはあと2時間だ。

 尾根に鉄塔が立ってところが2回所あった。東方面の眺めがいい。最初の鉄塔にはぜひ立ち寄るべきだ。しかし生憎のこの天気。それでも奥駆道の山々が見え隠れする。ここで展望とはお別れだ。



下るほどに雨が降ってきた。ザックカバーを掛けた。合羽を着るほどではない。傘をさした。この日は風がなく静穏だ。小雨でも気持ちよく歩けた。ゴールの手前に長い吊り橋。

吊り橋を渡りながら渓谷を眺める。これを渡って右に行くと天川川合のバス停だった。

休憩を含めて9時間で歩くことができた。栃尾辻からペースダウンしたもののそれほどの疲れはない。快調な一日だった。「歩いたぞ」という充実した気分になっている。そんな気分だから、帰りのバスと電車は来るときよりも長く感じずに今夜の奈良市の宿に着いた。明日はこの旅の最終日になる。


        
    気まぐれ山旅リポート  ようこそ!ビッグファームへ


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする