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瑕疵の多い安保法案を成立させた、安倍政権の危険性。

2015年09月21日 07時25分04秒 | 日記
 内田樹氏の痛烈なコメントが出ている。

 多くの憲法学者などから違憲立法であると指摘されながらも、強引な解釈変更で安保法制を成立させた安倍首相。

 その一番の原因は、四月の米議会での演説の中で、安倍首相が「この夏までに、成就させます」と誓言したからであると、内田樹氏は言う。 筆者もその通りだと思う。

 その理由は、日本が米国の政治的属国だからである。

 内田樹氏は、敗戦国の日本が立ち上がる為には、属国であるのは、ある意味仕方がなかったと見ている。

 過去の政治指導者は属国にありながらも、「対米従属を通じての対米自立」という国家戦略をとる一定の合理性があった。 日本はサンフランシスコ講和条約で国際社会に復帰し、小笠原と沖縄の返還を勝ち取ったと、内田建氏は評価している。

 しかし、いつしか日本国内の指導層に、ひたすら対米従属する人物だけが評価され、米国に人脈やチャンネルを持つことがキャリア形成の必須条件になった。ある時期から「米国の国益増大に資するとみなされた人」しか、国内の重要な政策決定に与ることができないという仕組みが出来上がったと見ているのだ。

 筆者も、これは官僚だけでなく、政治家、最大手のメディアなど幅広い分野にわたって、はっきりその傾向が読み取れると思う。

 そして安倍首相の持つ野望、「いつでも戦争の出来る国」になる為には、どうしても米国の許諾が必要であり、そのためには国内の法律もなにも無理やり無視しても平気なのだ。

 その道は、かって東南アジアなどで君臨した、小型の独裁者と同じ道を歩んでいると手厳しい。

 内田樹氏の鋭い観察眼で指摘されると、筆者はこのままこの政権を放置しておくと、本当に日本が奈落の底に落ちてしまう危険性を予感させられる。


(内田樹の研究室より貼り付け)

2015.09.19
共同通信で配信されたコメント

 安保法案が成立した。これほど瑕疵の多い法案を私は過去に見たことがない。

 憲法学者も元最高裁判事も元内閣法制局長官もその違憲性を指摘した。歴代内閣が踏襲してきた憲法解釈は「安全保障環境の変化」という一語によって覆された。立法事実は次々と変遷し、どのような危機的事態に対応するための法律なのかはついに明らかにならなかった。廃案を求める多くの国民の声に政府はまったく耳を貸さなかった。そのようにして戦後日本を律してきた安全保障政策の決定的な転換が行われ、日本は「戦争ができる国」になった。

 これほど否定的条件が整いながら、あえて安倍内閣が法案の早期成立にこだわった合理的な理由は一つしかない。それは四月の米議会での演説の中で、首相が「この夏までに、成就させます」と誓言したからである。

 彼は「米国に対してなした誓約の履行義務はあらゆるものに優先する」と信じている。それが国内法に違反しようと、法的安定性を揺るがそうと、国民世論と乖離しようと、「米国との約束」は最優先されねばならないと信じている。

 なぜか。

 それは日本が米国の政治的属国だからである。

 勘違いして欲しくないが私はそれが「悪い」と言っているのではない。

 日本が米国の従属国であるのは否定しようのない歴史的事実である。敗戦国が生き延びるためにはそれ以外の選択肢がなかったのだから仕方がない。戦後70年間、先人たちは「対米従属」を通じての「対米自立」の道を必死で模索してきた。この「対米従属を通じての対米自立」という国家戦略に一定の合理性があったことを私は喜んで認める。事実、その成果として、日本はサンフランシスコ講和条約で国際社会に復帰し、小笠原と沖縄の返還をかちとった。
 
 けれども、沖縄返還後、わが指導者たちは「対米従属」の作法にのみ熟達して、それが「対米自立」という国家目的のための迂回に過ぎないことを忘れてしまった。政官財どこでも米国に人脈やチャンネルを持つことがキャリア形成の必須条件になった。ある時期から「米国の国益増大に資するとみなされた人」しか国内の重要な政策決定に与ることができないという仕組みが出来上がった。

 安倍首相には、戦前の全体主義国家の再建という個人的な夢がある。彼の『1984』的な暗鬱なディストピア志向は、靖国参拝や特定秘密保護法やメディア支配や派遣法改定やマイナンバー制度への好尚からあきらかである。そして、何よりも「絶えず戦争をしている国」であることこそ『1984』的社会の基本条件なのである。

 ただ、これほど大がかりな政治的ヴィジョンを実現するためにはどうしても米国の許諾を得なければならない。

 逆説的なことだが、戦勝国が「押しつけた」憲法九条を空洞化し、「戦争ができる国」になるためには戦勝国の許可が要るのだ。そして、そのための必須条件は「米国と交わした約束を履行するためには自国民を裏切ることさえ厭わない人物である」という評価を得ることだった。

 安倍首相はその誓言を誠実に履行した。そして、彼はかつて韓国の李承晩、ベトナムのゴ・ディン・ジエム、インドネシアのスハルト、フィリピンのマルコスを迎えた「開発独裁の殿堂」入りを本日果したのである。

(貼り付け終わり)

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