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中国江蘇省の銀行で取り付け騒ぎがあったが、中国経済を注視しよう。

2014年03月27日 15時02分44秒 | 日記
ウクライナ、クリミヤ問題から視点をを移せば、やはり中国経済に筆者などは関心を持ってしまう。

 3月末を控えて、中国の理財商品などのデフォルトが起こるのではないかと言う報道もあったが、どちらにしても中国国内の投資家は戦々恐々としているであろう。

 ロイターによると、「中国・江蘇省塩城市にある江蘇射陽農村商業銀行の支店で取り付け騒ぎが発生」との報道が流れた。

 これは破綻の噂による取り付け騒ぎであったようだが、27日付けのロイターの記事では、うわさを広めた容疑者が逮捕されたと言う。

(以下に貼り付け)
2014年 03月 25日 19:38 JST
[上海 25日 ロイター] - 中国の通信社、中国新聞社によると、江蘇省塩城市にある銀行で24日、取り付け騒ぎが起きた。銀行が破綻するとのうわさが広がり、預金を引き出そうと数百人が押しかけた。

 中国新聞社によると、塩城市にある江蘇射陽農村商業銀行の支店で取り付け騒ぎが発生。現地の当局者はこれを確認した。同行の会長、Zang Zhengzhi氏は、すべての預金者に対する支払いを確実に行うと述べた。

 塩城市では1月にも、地元協同組合が資金不足から閉鎖しており、預金者の間に不安が広がっていた。

 江蘇射陽農村商業銀行には預金準備率など、預金者保護のための規制が適用されているため、預金者の間で突然破綻の懸念が広がった理由は明らかではない。

 支店がある塩城市亭湖区の共産党委員会のZhang Chaoyang氏は、「このようなうわさが存在するというのは事実だが、(銀行の破綻は)実際は不可能だ。協同組合の問題とは全く状況が違う」と述べた。

 江蘇射陽農村商業銀行の事務管理部門の職員は、間もなく声明を発表するとしている。同行のウェブサイトによると、同行の資本金は5億2500万元(8500万ドル)で、2月末時点の預金残高は120億元となっていた。

続いて
2014年 03月 27日 11:43 JST(ロイター)

中国塩城市当局、銀行取り付け騒ぎでうわさを広げた容疑者を拘束
(記事内容は省略)

といった具合だ。

 日本の経済評論家の中には、中国経済に破綻が起こると予想する人もいるようだが、確かに数年に渡り続いた高度成長が減速に入っている事は間違いないが、筆者などは中国の政治状況が中国共産党一党支配である事が、ある意味で最悪の事態に陥るのを防止できるのではないかと思っているくらいだ。

 しかし非常に関心を引く中国経済である事は間違いなく、今日のフィナンシャルタイムズ紙の評論が、筆者にも納得のいく内容であったので、貼り付けておきます。

 中国は国民1人当たりの国内総生産(GDP)が6700ドルという、中所得国の上位に位置する国になり、中国は先進国を目指している。

 世界の経済環境が余り良くなく、中国の経済規模が非常に大きくなっており、労働力が縮小傾向にあることなどから潜在成長率は7~8%に低下、都市化率は50%を超えて、都市の環境汚染問題もひどい。

 などなど問題点は多々あるが、中国の新指導部が国内に抱える問題解決に、意欲を持っている事をこの評論では評価しています。

 多くのリスクを抱えた中国は、それだけに目が離せません。下に貼り付けたFTの評論は、中国経済が抱える問題点を的確に解説されており、是非読まれる事をお勧めします。

(以下に貼り付け)

ニューエコノミーを目指す中国の奮闘
政府が計画する大改革は成し遂げられるのか?
(2014年3月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国経済はこれからどうなるのか? 今やこれ以上に重要な経済問題はほとんどあるまい。筆者はつい先日、北京で開かれた中国開発フォーラムに参加した。これは西側諸国の財界人や学者、そして中国の政府高官や学者が一堂に会するイベントで、参加者はみな上記の問いを強く意識していた。

 中国国外では、この大国があの高度成長を維持できるのかという悲観論が強まっている。過大な生産能力、過大な投資、そして過大な債務が特に懸念されている。今よりも緩やかでバランスの取れた経済成長に移行することは、中国が既に満たした基準に照らしても極めて困難だという見方については、筆者もその通りだと思う。

○中国政策立案者は成功してきたが、最上の名馬でも失敗する可能性

 しかし、中国の政策立案者は成功しないという予想は、これまでずっと外れている。駿馬(しゅんめ)が新たな障害に挑む時には、これを乗り越える可能性の方が高いに違いない。しかし、最上の名馬でも失敗する可能性はある。

 中国共産党の中央財経領導小組弁公室の楊偉民副主任は、非常に貴重な背景説明資料の中で、中国が新たに打ち出した「改革の全面的な深化のための指針」を解説してくれた。ここには新しい状況がいくつか記述されている。

○フォーブス誌の長者番付、アジアが富豪数で世界2位に

 第1に、中国は国民1人当たりの国内総生産(GDP)が6700ドルという、中所得国の上位に位置する国である。現在は、先進国になるという、あまり達成されたことのない目標に挑んでいる。

 第2に、国外の環境は以前に比べると芳しくない。高所得国の経済が構造的に非常に弱いこと、中国経済の規模が他の国々に比べて非常に大きくなったことなどがその理由だ。

 第3に、中国経済自体も変化した。まず、労働力が縮小傾向にあることなどから潜在成長率は7~8%に低下している。生産能力は、中国の基準に照らしてみてもかなり過大になっている。地方政府の過大な借り入れ、住宅バブル、そしてシャドーバンキング(影の銀行)の拡大のせいで金融リスクも高まっている。

 都市化率は50%を超えたが、中国の都市は大気汚染など様々な問題に苦しんでいる。そして、資源集約的な経済成長のパターンは限界に――特に直接輸出入することができない水の面で――達しつつある。

○政府の描く青写真

 昨年11月に合意された「改革の全面的な深化における若干の重要問題に関する中共中央の決定」は、こうした問題への対応にほかならない。この「決定」は、次の段階の改革の青写真だ。「行政による命令的な統治」から「法による統治」への移行など重大な制度・政治改革が提案されていることに目を見張らされる。

 また、資源配分においては市場が「決定的な」役割を果たすと謳われている。そのため政府は「マクロ経済の規制、市場の規制、公共サービス、社会管理、環境保護」を担当するという。西側諸国の人ならいずれの改革も認めるだろう。

 この青写真からは、国有企業の役割が変化することが読み取れる。また、新規参入企業に示されるリストが、ポジティブリストからネガティブリストに変わることも読み取れる。原則禁止だが認可を得ればできるという方式から、禁じられたこと以外は原則自由に行えるという方式に変わるということだ。これは革命的な変化かもしれない。

 さらに、戸籍制度改革が提案されていることも重要だ。実行されれば、農村から都市に移った1億人の人々が恒久的な都市住民になることが可能になるだろう。

○中国の大気汚染に「宣戦布告」、李首相が約束した対策

 大半の部外者にとって、公的な宣言文書の言葉遣いは退屈きわまりない代物だ。しかし、筆者は李克強首相や張高麗副首相の話を聞いて、少なくともその分析においては説得力があると感じた。

 目の前の困難に対して抜本的な施策を講じる必要があることを、彼らは明らかに認識している。また、彼らがやりたいと思っていることは、経済問題にしても環境問題にしても理にかなっている。

 現在はエール大学に籍を置くスティーブン・ローチ氏による中期的な経済見通しの資料とプレゼンテーションによれば、中国はこれまでにも、資源集約的な経済成長から雇用集約的な経済成長への緩やかな移行を進めてきている。GDPにおけるサービスセクターの比率は、他のほぼすべての国々よりも大幅に小さいものの、2013年には史上初めて工業セクターのそれを上回った。

 また2008年以前は、GDPが1%成長しても都市部の雇用の増加幅は100万人に及ばなかったが、2008年以降は平均で140万人分の雇用が生み出されている。インフレはしっかり制御されており、経済成長率が低下したにもかかわらず企業収益は持ち堪えている。

 総じて言えば中国経済は、労働力を含む手つかずの資源をこれまでのように利用できなくなったことによる経済成長の避けがたい鈍化に、実にスムーズに適応しているように見える。

○極めてバランスの悪い経済が抱えるリスク

 しかし、中国は非常にバランスの悪い経済でもある。特に目を引くのは、GDPにおける消費(官民合計)の割合が極めて低く、逆に投資の割合が極めて高いことだ(どちらもGDPの半分近くを占めている)。昨年はやや低下したとはいえ、投資の割合は今世紀に入ってからほぼ休むことなくハイペースで伸び続けてきた。

 現在の中国のGDPにおける個人消費の割合は約35%で、米国のそれのざっと半分にとどまる。これまでは、極めて高いシェアを握る投資が経済成長を牽引してきたわけだが、これは余剰生産能力の増大や借り入れの膨張にも直接関係している。

 ローチ氏の中期的な経済見通しの資料が示している通り、中国経済のパフォーマンスを脅かす顕著なリスクは、金融パニック、崩壊しつつある不動産バブル、地方政府が抱える巨額の債務、そして余剰生産能力による互いに関連し合うリスクである。何かが急激に調整されれば、その影響が他にも及んで正のフィードバックが生じ、予想をはるかに超える景気減速に至る恐れがある。

○中国、成長率目標7.5%は達成可能か

 多くの重要な産業では、既に生産量が生産能力の75%相当の水準を割り込んでいる。しかし、中国経済は巨大であるため、この余力を輸出で解消することができない。

 例えば、中国の粗鋼生産能力は年当たり10億トンで、現在の生産量は7億2000万トン。この生産量は世界全体の生産量の46%に当たる。

 インフラや不動産への投資が大幅に減少すれば、製鉄所の稼働率は劇的に落ち込むだろう。同じことはセメントにも言える。そして不良債権が急増することになろう。

○調整圧力が当局の管理能力を上回る恐れ

 従って最大の問題は、中国経済における調整圧力が、必要な調整をスムーズに管理していく政府当局の能力を上回ってしまう恐れはないのか、というものになる。

 中国経済はまさに一度クラッシュする必要がある、との意見もあるかもしれない。中国当局はそれには同意しないだろうし、筆者も同意しない(筆者ごときがそうしたところで何も変わらないが)。それに、中国当局には利用できる政策対応手段がたくさんある。

 とはいえ、金融面のストレスやマクロ経済の調整のために景気が下振れするリスクは急激に増大している。そのリスクはどれほどの大きさなのか。取られ得る対応策にはどんなものがあるのか。それは来週論じることにしたい。

By Martin Wolf

(貼り付け終わり)