ザ・コミュニスト

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NHKからNKHへ

2014-02-23 | 時評

会長以下、新経営陣の右翼的逸脱発言が相次ぐNHKだが、驚くには当たらない。現在、安倍政権はいまだかつてないほど公共放送への影響力を強めようとしている真っ最中だからだ。会長以下、多数の取り巻きを送り込んだのはその手始めにすぎない。

その行き着く先にあるのは、NHKの事実上の国営放送化である。もともと受信料という名の事実上の税金を徴収し、経営計画に政府・国会が関与するNHKは限りなく国営放送に近く、その政治番組はおおむね政府見解に沿うものであるが、公共放送は一定の自律性を保持することから、従軍慰安婦問題などでは、安倍首相とその仲間たちを激怒させるような番組を制作しようとしたこともあった。

安倍首相は就任前、自己の価値観に敵対するようなNHKの番組作りの現場に圧力をかけ、番組内容を変更させたのではないかとの疑惑の渦中に立たされたことへの“反省”に立って、個人的にもNHKの統制に並々ならぬ関心を持っているはずである。

だが、公共放送のタテマエを維持しながら、政府の非公式な統制を及ぼし、事実上国営放送化するような不透明なやり方はすべきでない。政府も自身の情宣機関を持ちたいならば、事実上でなく、法的にもNHKを国営放送化すればよい。幸いにして、日本放送協会ならぬ日本国営放送はNHKをNKHに一文字入れ替えれば済むことであるから、簡単だ。

こうして日本放送協会(NHK)を日本国営放送(NKH)として再編し、その番組作りもすべて政府の承認の下に行うほうが、公共放送の自律性に対する幻想から視聴者を解放することができるだろう。要するに、NHKならぬNKHの放送はすべて政府の意を体しているという事実を承知のうえで視聴すればよいのである。

もう一つ、国営放送化されれば、その経営には国費が直接充てられるから、受信料という根拠も曖昧な強制献金から国民が解放されるということも、大きな利点である。二段階消費増税を予定しているご時勢、家計負担の軽減策にもなるはずだが。


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